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別世界で俺は体感バーチャルTPSの才能がとてもあるらしい。  作者: 風祭 風利
第26章 従属神に誘われ
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第321節 反応と協力申請、やるべきこと

 神殺し。 その言葉を言っただけで、会議室の空気が極端に重たくなった。 とても当たり前の反応だ。 だからこそ俺は続きをそのまま話し始める。


「まずはみなさんに謝らなければいけないことがあるのです。 今世界で起こっている事の一端。 それを引き起こしたのは俺なのです。」


 会議室がざわめき始める。 だがここで話を止めてしまっては俺がいくら証言しても信じて貰えなくなる。 質問をされる前に俺は答えを言う。


「勘違いをしないで欲しいのですが、俺は引き起こしたと言いましたが、正確には引き起こした元凶を止められなかったのです。 実際俺は、後一歩のところで犯人を逃した。 それについては今も悔やんでいます。 そしてその事で他の国に影響を与えてしまうのは明白だった。 だからこそ、今回同盟を組むことによって、情報交換が出来るようにしたのです。」

「少しいいか?」


 そう挙手をしてきたのは幸坂先輩だ。 いや、幸坂先輩は代表的な立ち位置で、みんなが疑問に思っていることを一手に担うつもりなのだ。


「俺はあの時、一緒に捜査をしていたが、俺はそこまでの事実を知らない。 志摩川と山本がぐったりとしていたお前を運んできた以前の事は全く介入していない。 それを踏まえて問おう。 お前はあの時、本当に犯人を逃したのか? 庇った訳ではあるまいな?」


 当然の質問をされる。  実際の答えは「NO」なのだが、いかんせんそれを証明できるものが何もない。 最も、残せれたかどうかも今となっては怪しいものだが。


「それなら私が証明してあげる。」


 そんな受け答えに困っていた俺に助け船を出したのは志摩川先輩だ。 と言うのも確かにあの時一番近くに来ていたのは志摩川先輩と夭沙だった。 肝心な部分は見えてはいないだろうが、どうだろうか?


「飛空はおそらく何者かと対峙をしていた。 ところがそいつはなんかしらの方法で飛空の前から消えた。 後少し早ければ私達も介入出来たんでしょうけど、入る事は出来なかった。 でも会話は私の耳が覚えている。 あの時ギリギリ聞こえてきた会話があった。 飛空ともう一人、男の声がね。 それで状況証拠は立証したけど、どう?」


 志摩川先輩の説明は立証をさせるには些か不十分である。 しかしそれはあの場に一緒に来ていた夭沙も同じこと。 それで信じて貰えずにこの会議室を去ってもらっても構わないと思っていると、幸坂先輩は「フッ」と笑った。


「少し意地の悪いことをしたな。 津雲という人間を知って貰うこと、そして今後の行動に嘘偽りが無いことを知らしめるためにやったことだ。 気を悪くしたなら謝ろう。」


 俺を試したって奴なのだろうか? でも心臓にはあまりよろしくないよ。


「では話を戻します。 俺は奴の、今回の元凶である神・・・いや、奴はもう神ではないか。 とにかくそいつの居場所を把握することが出来ました。 今はまだ準備のために出発するようなことはまだしません。 しかし近い内に奴と接触するつもりではあります。」

「それで我々を呼んだ理由とは?」


 聞いてきたのはガリトス様だ。


「俺は親玉のところに行きますが、その間に奴がなにもしてこないとは思えないのです。 もしかしたら現実世界に電脳世界のものを放出するかもしれない。 信者を寄越すかもしれない。 それの対処に当たって貰いたくありたいのです。 それと、被害が出てしまった場合の復旧作業や補給物資の供給などもお願いしたい。」

「ちょっと待ちたまえ。」


 俺の言葉に制止をかけたのはコレン公爵だ。


「君一人で行くのかい? あまりにも危険なのではないのかい?」

「ご心配ありがとうございますコレン公爵。 ですが奴がおられる場所は俺にしか行けない場所なのですよ。 なので、助けを求めようにも求められなかったのですよ。」

「そんな遠い場所なの?」

「遠い、という表現も最早間違いだなレラ。 奴は本来なら俺達では手の届かない領域にいる。」

「その領域に、君は行けると言うのかね?」


 ワレイドさんの言い分も無理はないだろう。 なぜその領域に俺だけが行けるのか。 それを知りたいのはみんな同じなのだから。


「行ける、と言うよりは誘われた、といった方が正しいでしょうか。 別に俺は行く予定なんて無かったのに奴が直接誘ってきたんだ。 それが俺が奴の領域に行ける理由です。」

「我々では本当に行けないのか?」


 聞いてきたのはユレスト王子。 その事についても色々と説明をしなければならないか。


「行く方法が無い、とは断言出来ません。 ですがそれは危険を伴うし、なにより下手に介入しに行けば抹消されかねません。 何もかもを。」


 その言葉に周りはゾッとするのを確認した。 当然だ。 俺だってダージリンからの「死」に直結するような攻撃を受けたあの感覚は忘れたくても忘れられない。 それほどに協力な感覚だった。 ゲームの世界だからなんていうものが通用しない世界で。


「あんな危険をするのは、俺だけで十分だ。」

「それでも、わっちたちにもなにか協力できんしょ?」


 カナヅさんがそう言ってくる。 危険な事をするのは俺だけでいい。 だが危険じゃないことならばいくらでも協力してもらいたい。


「その辺りは私達が全面協力させてもらうわ。 私達「電子科」に!」


 志摩川先輩がどこから用意したのかホワイトボードに書いてあることを説明に入る。


「まずは電脳犯罪を抑制することから始めるわ。 正確に言えば私達の国で行われているバーチャルな戦いが、現実世界に現れ始めている。 まずはそれから止めるのよ。 暴走してしまえば取り返しのつかないことになるのは明白よ。」

「それなら自分も協力出来そうだ。 自分の国ではホログラムによる暴走がある。 止められなければ、被害は計り知れなくなってしまう。 そうなる前に手を打ちたいんだ。」

「電脳抑制に対することなら、我が国アスベルガルドを利用してくれ。 我々の国の最高研究員を派遣しよう。」

「もし物資の供給が必要になったときは、バジネルノから出しんしょ。 世界の一大事、溜め込むだけでは役に立ちまへんからのぉ。」


 皆が皆、各々決めることが出来たようだ。 この世界は何だかんだで助け合える世界だ。


「のぉ飛空。 わらわたちはどうするのじゃ?」


 エレアからそんな疑問が飛んでくる。 そこに関しては実はなにも考えていなかったりする。 確かにこれは俺の問題であり、みんなを巻き込みたくはなかったが、最早それも今更な気がしてしょうがないのだ。


「おそらく今あの世界に入れるのは俺とイサリヤ、ユナの3人だけだ。 いや、正確には今この3人以外で入れるとは思えない。 変な話だが、確実に入れる保証と、なにも起こらないという保証がなければ、みんなを入れていくのは無理だと思うんだ。 だからそれも踏まえて、アスベルガルドの力を借りようとも思ってる。」


 干渉と不干渉を同時にやるような作業なので、並大抵の事ではまず不可能だ。 だからこそ手を取り合って、協力を申し込んでいるのだ。


「だが、今は我々大人達に任せて、ゆっくりと療養しなさい。 これは大臣の命令だ。 逆らえば国家反逆罪で捕まえてしまうからな。」


 大臣からのお茶目かつ恐ろしい発言が飛んできた。 どうやら国が総出をあげて俺を休ませたいらしい。 ま、そういうことなら逆らう理由なんて無いよな。


「では後はよろしくお願いいたします。」

「方針や方法、準備が全て整い次第連絡をする。」


 そう言い残して俺と他のみんなは国会議事堂の会議室を後にした。


「飛空。 なにがなんでも、あんたを休ませるんだからね。」

「逃げたりしたら許さないわよ?」

「そんなことまで心配しなくても大丈夫だよ。 今は俺だって動きたくないんだ。 お言葉に甘えるよ。」


 心配のされかたが本末転倒だが、俺自身もここまで言われないと休まない気がするのだ。 というか一応春休みなんだから休んだって誰も怒りはしないんだ。 羽を伸ばしますかね。

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