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別世界で俺は体感バーチャルTPSの才能がとてもあるらしい。  作者: 風祭 風利
第26章 従属神に誘われ
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第304節 病室の少女と儀式、少女の行き先

病室の中に入りカーテンを開ける。 献血を受けながら眠る少女はかなり衰弱しているのが分かるくらいに顔に血の気が通っていなかった。


「この子がユナと呼ばれる少女ですか。」

「間違いないだろうな。 ここ以外にカーテンやベッドが無かったことを踏まえるとな。」

『私、そっくりです。 その子。』


俺がユナに近付いたことによってみんなにもユナの存在が認識できるようになっていた。 そしてはっきりと分かる程に白羽にそっくりな少女を見て、本人も驚いていた。 イサリヤの時もそうだがこうして知り合いの顔が2つあると言うのも不思議なものだ。


そんなやりとりをしていると、ユナの目が弱々しく開けられる。 目に生気を感じない。 自分の死期がわかっているかのような目だ。


[・・・誰?]


そんな虚ろにも近い瞳で俺たちを見ている。 いや、見えているのかすらも疑問だ。


「初めましてお嬢さん。 俺はヒソラ。 君のお母さんのお友達って所かな?」

[お母さんの・・・お友達?]

「これを見せれば分かってくれると思うんだけど、見えるかな?」


先程の懐中時計を目の前に見せる。


[お母さんのペンダント・・・

お母さんが本当に信用している人にしか

見せないペンダント・・・ それじゃあ

あなたがお母さんが夢で言っていた

私を助けてくれるお兄さん?]

「夢の中でお母さんに会ったのかい?」

[うん。 お母さんは凄い

魔法使いだったんだよ。

だから、お母さんが夢の中

でも私が寂しくないように

会いに来てくれるんだ。]


人の夢に干渉する・・・か。 俺の勘だがそれって相当な高等魔法じゃないかと思うのだ。 まあ、夢に干渉されるのは慣れているので、俺にとってはあまり気にはならなかった。


「私達の事は信用してくれましたか?」

[うわぁ、綺麗なお姉ちゃん。

・・・あれ? でもなんか

普通の人じゃない?]

「イサリヤが普通の人に見えないってこと?」

[ううん。 でもなんだか・・・

あれ?]


どうやら直感的にイサリヤが普通の人出はないと感じているようだ。 イサリヤに確認をして、改めてユナに聞いてみる。


「ねぇユナ。 今このお姉ちゃんはどう見える?」

[普通のお姉ちゃんに見えるよ?]

「じゃあ普通じゃない所って今は見えてる?」

[ええっと・・・ なんだかね。

体に流れている魔力? が

なんだかお兄さんと違う

というか・・・うーん?]


流石に分からないものがあるのだろうが、両親の遺伝的なもので体内の魔力を見ることが出来るのだろう。 意外と優秀な娘なんだなと感じた。


「ユナさん。 私は確かに普通の人ではありません。 私は竜人族という種族なのですよ。」

[へぇ、初めて・・・見た・・・]

「ユナ?」


ユナが瞼を閉じていき、そしてそのまま眠ってしまったようだ。 恐らく無理して起きていたのかもしれない。


「主様。」

「どうやらここまでみたいだな。 情報はある程度揃った。 次は儀式の話だな。」


これ以上ここにいても意味はないだろう。 持ってきていたローゼンメイデンを眠るユナの隣に置いて、俺とイサリヤは病室から出ることにした。



「さて、あとは儀式についてだな。」


俺達は宿屋に戻り、次に起きたときに発生する「吸血鬼になる儀式」の事を事細かに知らなければならない。


「輝己、まず確認がしたいのだが、このイベントは元々のゲームのストーリーに組み込まれているのか?」

『組み込まれてはいるが、今回みたいに誰かを助けるみたいな感じではないな。 本来のストーリーは「そういう儀式があるんだ。」っていうことを聞かされて、その儀式に目をつけた魔王軍が次々と儀式が出来る人間をさらっていくって流れなんやが、どうやら内容事態が変わっとるようやな。』

「輝己にもそうだが、今回のこのイベント、どう見る?」


俺自身も今の輝己の内容を聞いて、変更した理由が複数あることに疑問を覚えていた。


『そうやなぁ、わいが思うのは、やはり従属神が俺達に攻略の手助けをされると困るからストーリーを変えたというのが妥当やと思うが?』

『僕はそっちの神様が仲間を増やすために変えたんじゃないかなって思うよ? だってイサリヤの時は結構無理矢理作ったんでしょ? だったらストーリーに違和感が無いように仲間を増やすことだって出来るはずだよ?』


輝己とリョウの意見は全く別のものだが、俺の予想していた回答だった。 どちらが正しいのかは今は分からない。 だが少なくともこのイベントを乗り越えなければ、魔王軍には進めないということだ。 ならば今はどちらがどうとかは気にしない。 俺はただユナの保証人になるだけのことだ。 それだけのことなのだ。


「主様。 お目覚めの時間です。」


イサリヤの声が聞こえたので、目を開ける。 どうやらいつの間にか眠ってしまっていたらしい。 暗闇過ぎて本当に昼夜が分からなくなる。


「・・・? なんだか騒がしいな。」

「どうやら儀式の準備を始めているようですよ。 主様。」


儀式の準備・・・実際にどのようにして儀式が進められるのかは分からないが、ここでの儀式の内容を確認しなければ、止めさせることも出来ない。 なにより元々病弱だった少女を救うための儀式だということならば、あまり他人が口出しすることは出来ないだろう。


しばらくすると立てられた鏡台に炎が灯される。 どうやら儀式が開始されるようだ。 そう分かったので俺とイサリヤは宿屋を出て、少しでも近くに行こうと鏡台近くに寄っていく。


[我々の儀式も早50年を迎えた。

神の定めによる命の灯火を

消される者ではなき者よ。

その命を散らすには惜しい。

吸血鬼になることを否定する者も

いるであろう。]


多分今回の儀式の大元を務める人なのだろうと考えた。 着ているローブも他の人と違うし。


[だが我々のこの儀式は

神に歯向かうための儀式ではない。

神の意向で死を遂げるよりも、

人として生きる事を捨ててでも

その身を助けたいと願うための

儀式である。 神よ。

決して我々の民は、命を弄ぶ

ような愚行をしているのではないと

その目に見届けてもらいたい。]


言っていることはそれっぽいかもしれないが、他者から見れば半信半疑もいいところだ。 しかし見た限りでは台の上には円陣がかかれており、その周りに数人のローブを被った人がいる。 ここの民による本物の吸血鬼の純血交換ではなく、魔術回路による身体変化を主としているのだろう。 そうでなければ吸血鬼でない俺にユナを眷属のように慕ってもらうなどまず不可能だからだ。


そんなことを見ている間に、ユナが連れてこられた。 ローブの人に抱えられているユナは、満身創痍状態に近かった。 最早一刻の猶予もならないほどに。 そんな中でもローゼンメイデンはしっかりと握られていたが。


[では始めよう。 新たなる生を

授けるために。]


そう言うとローブの人達はなにやら呪文を唱え始める。 すると下の円陣が光だし、ユナを包み込んでいく。 吸血鬼ってなんか夜の住民とか、闇の使者みたいなイメージがあったからちょっと複雑な気分になる。


[うっ・・・くっ・・・

はっ・・・あっ・・・]


儀式による代償なのかユナはとても苦しそうに身を悶えている。 だが俺達はどうすることも出来ない。 ただただ成功を祈るしか彼女の事を思っての行動だと信じている。 この儀式が無事に終わって、俺たちの眷属になるとなった日には存分に甘えさせてあげよう。


そしてその光景も終わりを迎える時が来た。 発光が終わったと思ったらユナが上半身を起こす。 先程までの弱々しかった彼女とは違い、肌は白くなっているが血は通っているような生き生きとした表情をしていた。


[これにて儀式を終え、彼女は

晴れて吸血鬼として第2の人生を

送ることが出来るようになりました。

そしてあなたには、これから

向かう場所を選ぶ権利がある。

その選んだ人物と契約を結び、

彼らと生涯を共にすることも出来る。

さあ、指し示すのです。 新たなる

道標を。]


なんだか盛大に盛り上げているようだが、それはユナ自身が決めるのにはかわりないのだからあまり誇大にするのはよくないのでは?


[私は、お母さんは小さいときに

亡くなっちゃった。 そんな

お母さんのお友達のお兄さんの

所に行きたい。]


うおぅ、意外にもあっさりと決めてくれたな。 もう少し悩んでくれてもよかったのよ?


[ではその者は壇上に上がって

もらって・・・]

[ちょっと待ってくれないか!]


俺が壇上に上がろうとしたときにそんな声が飛んできた。 なんか結婚式に現れた元恋人みたいな叫びだったな。


俺よりも先に壇上に上がったのは、黒髪でオールバックのつり目の男。 体の鍛え方が凄いのかそこそこ隆々的で・・・ ってあの人まさか・・・


「主様、あの方は。」

「あぁ、てっきり婦人と同じで亡くなっていたと思っていたけれど・・・」


俺は懐中時計式のペンダントの中身を開けて、写真と見比べるが、そっくりさんにしては似すぎているくらいに瓜二つなその顔はまさしく・・・


[・・・お父さん?]


正真正銘のユナの実の父親の姿だった。

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