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別世界で俺は体感バーチャルTPSの才能がとてもあるらしい。  作者: 風祭 風利
第3章 別世界での休日の過ごし方
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第26節 服と着替え、認識

 午前の先輩の特訓に付き合ったのはいいが、午後はこれ以上やる事もない。 しかし部屋にじっとしているのもなんかムズ痒い。

 イバラだって毎回のようにいるとは思えないし、なにより今は花の水やり以外で彼女の行動がない。 年頃の女子の様なことが出来ないのだ。


 ・・・・・少しでも思い出してくれればいいんだが・・・・ 後はあの場から出られないのも不便でしょうがないよな。 って異世界生活4日目の主張じゃ内容な気もするが。


 イバラってあの恰好以外見たことがないな。 まあ出られないなら同じ服でもあまり気にならないだろうが、いい加減あの恰好以外の服も着てみたいとは思うだろう。 なにかのキッカケにもなるしね。


 よし! 午後はイバラの為になにか服でも買ってあげよう。 そう思って立ち上がった時にお腹が鳴ったのでとりあえず昼ご飯を食べに食堂へと行く。 休日だとこうもガラリと席が空くものなのか。 なんか入学当初みたいだな。


 適当に昼ご飯を食べて出かける準備をする。 念のためそれらしい店がないか携帯で検索をかける。 すると近くに衣服屋が存在した。 詳しく見てみると、お手軽な値段で服を買う事ができる店の様だった。 ま、最初っから高い服なんかあげる気はないからこれぐらいが丁度いいんだよな。


 準備も出来た所で一度イバラに会いに行く。 花壇に行ってみたのだが、イバラの姿が無かったのでちょっと周りを見てみると、近くの芝生で横になっていた。 正確には寝ていた。 静かな呼吸と共に安らかに眠っている。 なんか妹が出来たみたいで、微笑ましく思えた。


「・・・・・・・・・ん、あれ? 飛空?」

「やぁ、おはよう。 目覚めはどうだい?」

「少しぎこちないかも。」


 その答えに少し笑いが出てしまった。 そんな答えは流石に予想してなかったんでね。


「イバラ、これからイバラの為に服を買ってこようかなって思ってるんだけど。」

「服?」

「そう。 何時までもその恰好じゃ飽きちゃうだろ?」


 イバラの恰好は白のワンピースなのだが、他に見たことが無いことを示唆させて貰った。


「誰にも見られる事がないからいいかなって思ってたんだけど、せっかくだから色んなのを着てみたい。」

「そうだよな。 で、どんな服がいいとかってリクエストってある?」

「んー、汚れない服装。」


 そう来たか。そうなると答えがジャージか作業着になるんだけど・・・・ まあいいか。 まずはそこからだな。


「あと、その、服の下に着るものも、欲しいんだけど・・・・」

「服の下に着るもの?」


 疑問に思って聞いてみると、イバラが顔を赤くしてしまった。 服の下に着るもの・・・・ あ! そういうこと!? 全部は言わなかったが、聞いてみるとコックリとイバラが頷いた。 うわぉ、それは俺にはちょっと無理というかなんと言うか・・・・


 言っては失礼だがイバラは言えるほど出るところが出ている訳では無いので多少はどうにかなると思うが、それでも男子が女子の為にそれ買うってどうよ? 正直周りの視線感じちゃうよ?


「飛空、私も無理に買ってきて欲しい訳じゃないから、それぐらいなら我慢できる。」


 そう言ってくれるのなら今回は勘弁ということにしてくれ。


 さて、買うものは決まったし、早速行きますかね。 イバラに「行ってくる」と伝えて、目的地まで歩く。 やっぱり自転車とか必要かね? ここからだと歩くって選択肢以外ないから検討してみるか。


 そんなこんなで、衣服屋に着いた。 それなりの広さに男女それぞれの服はもちろん、仕事にあった服もしっかり揃えてあった。

 休日ということでそこそこ人がいた。 もちろんこんな中で女子の下着を買う勇気はない。 やらないからね?


 イバラの注文の「汚れない服装」で農作業をやる服と言えばツナギだろうとそこに向かう。 サイズは多分Mサイズ・・・・・こっちの世界での服のサイズってどういう基準なんだ? 聞いてみるか。


「あのすみません。」

「はい何でしょうか?」

「身長150cm位の人に着せるサイズってどれぐらいですかね?」

「そうですねぇ、大体この辺りでしょうか。」


 そういって服を持ってきてくれた。 サイズは前の世界とほとんど変わらないようなので少しホッとした。


 さて改めてツナギを選びなおそう。 色は・・・・んー やっぱり緑がいいかな。 ちょっと深めの緑を選び、これだけだと物足りない気がしたので、泥に強い靴や靴下も買っていく。


 帰りに昨日寄った店で昨日とは別の果実を買う。今度は柑橘類のようなものにした。


 帰ってみると、イバラが花壇の端で足をゆっくりばたつかせて待っていた。 なんか遊ぶのに飽きた子供みたいだな。


「ただいまイバラ。 服買ってきたよ。」

「おかえり飛空。 ここでずっと待ってた。」


 それはご苦労なこって。 とりあえず買ってきた服を見せてみた。 そこは女子とは言えツナギはどうかと実際には思ったが、イバラは特に気にしてないらしい。 うーん複雑。


「着てみてもいい?」

「ああ。いいぞ。 あ、なら俺は寮の入口近くで待ってるから終わったら教えてくれ。」


「・・・・いてくれないの?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・え?」


 なにを言い出すんだこの子は? 服の着脱について指摘したら疑問に気づいたようで、顔を真っ赤に染めていた。 別に遠くに行く訳では無いとも言っておいたので、寮の玄関で中に入り待っている。 万が一にもってあるしね。


 ものの数分した後にドアが叩かれたので外に出てみる。 そこには先程までのワンピース姿のイバラとは違い、ツナギ姿のイバラがいた。 麦わら帽子も被っていて、なんか牧場にいる娘みたいに見える。


「似合う?」

「うん。 凄く似合ってる。」


 その返事にイバラがクスッと笑ってくれた。 これで、ワンピースも汚れる事なく花壇に水やりが出来るだろうと感じた。


「あれ? 飛空さん?」


 別の所から名前を呼ばれたので振り返ると、私服の桃野姉妹が後ろにはいた。


「やあ、紅梨に白羽。今帰り?」

「そうよ。 家にいてもあんまりって感じでね。 ところで・・・・・」


 そういって紅梨は後ろの方に目を向ける。 ん?そういえば後ろにはイバラがいたよな? あ!イバラは直接見えないからひょっとしてツナギだけが宙に浮いてる感じになってんじゃないか!? それは流石にマズイ!! なんとか誤魔化さなければ!


「その子、誰?」


「いやぁ、宙に浮いてるように見えるけど実は俺の・・・・・・・・え?」


 紅梨の疑問にこっちが困ってしまった。イバラの方を向いてもう一度紅梨を見る。 明らかに見えている感じだ。


「・・・・今、イバラが見えてるのか?」

「イバラちゃん、って、いうんですか。」


 白羽にもどうやら見えているらしい。


「どういう事だ? 何かしら見えるようになったトリガーがあるのか?」

「なに1人でぶつくさ言ってんのよ。 で? 誰なのよ?」


 ハッキリと見えているみたいなので、イバラの事情を説明する。 彼女が記憶喪失であること、他人には認知されていなかった事、 今の現状の事。今分かっていることを包み隠さず話した。


「そんな事が、あったんですか。」

「昨日の今日だからちょっと無理あるかもしれないけど。」


「・・・・私はイバラ。 名前は飛空が付けてくれた。」

「・・・・付けてくれた?」

「ああっと、記憶喪失で名前も覚えてなかったみたいでさ。 で、呼ぶ時に名前が無いのも不便だと思ってはいるのだが付けたんだよ。」

「・・・・・・・ふーん。 イバラちゃんはあんたの事呼び捨てにしてるみたいだけど?」

「いやまあ、俺以外に話し相手もいなかったし、名前の呼び方に関しては特になにも言ってないし・・・・・。」


 なんだろう。 紅梨からプレッシャーを感じる。 正直怖い。


「でも、ちゃんと思い出せるように、私達も協力しますので。」

「ありがとう。そう言ってくれると助かる。 それなら早速で悪いんだけどちょっと助けてくれないかな?」


 イバラの服について話して、下着の話になったら「なに考えてんのよ!?あんた!?」と紅梨に凄い剣幕で押し切られた。 いや、そこは分かってくれよと思ったがお互い無理なのは白羽のフォローもあって分かってくれたようだ。 白羽にはほんとに助けられてるな。 まあ服に関してはどうにかしてくれるそうで、事なきを得た。


 イバラと別れた後で紅梨からは軽い平手打ち、白羽からは正座+説教をされた。 なんでそんなことをしたのか後で聞いたら、紅梨は「なんか不平等に感じたから。」白羽は「女子に服の話をすると怖い」と言うものだった。白羽はともかく紅梨のは理不尽極まりなかった。 地味に左頬がヒリヒリする。


 そんなこんなで夜を迎えて、帰省していた3人も戻ってきて、明日からの話をした。


「明日からはまた、何回か戦闘をメインにするんだってさ。」

「今度はハズレを引かんようにせんとな。」

「あれより酷い女子はいないでしょ。 多分。」

「しかしいつか電脳世界に慣れそうだよな。」

「せやなぁ。 ところで飛空、左どうしたん?」

「ちょっと理不尽な制裁をくらってね。」


 それを聞いた3人は分からないという顔をしていた。 そらそうだ。


 疲れたので今日は早めに寝る事にした。 これにて初めての休日は終わりだ。 女難が酷いなと思いつつ、眠りについた。

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