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別世界で俺は体感バーチャルTPSの才能がとてもあるらしい。  作者: 風祭 風利
第3章 別世界での休日の過ごし方
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第24節 昼食と薬局、贈り物

「なんとか席取れてよかったね。」


 流石に6人の席はなかなか取れないよな。 横に長いタイプの椅子じゃないと座れないのが辛いよな。


「どういう席の座り方する?」


 男子4の女子2なんだよな。まあ3人がけの椅子に男子2女子1でいいんだが、誰が座るかだよな。


「真ん中に誰が行くかだよね。 問題は。」

「女子を真ん中にするのは正直気が引けるのは俺だけか?」

「私は特に気にしないけれど?」

「こっちが気にしちゃうんだよね。」


 なんだかんだ言って結局、 奥から夭沙 海呂 輝己で1つ 鮎 啓人 俺で1つの椅子に座ることになった。


「って言うかこれじゃ真ん中のメンバー注文しに行けなくね?」

「そこは大丈夫だよ。 注文だけならここからタッチパネルで出来るようにされてるの。 テーブルで出来るみたいだし、同じ店のものを注文しても、スグに見分けが付けれるようになってるの。」


 へぇ、なんか便利そうにはみえるが、注文を受け取る店側は大変だろうな。 少なくともこういう休日の昼飯時って。


「まあとにかく注文しようよ。 あ、支払いは後払いだから大丈夫だよ。」


 海呂の言葉にホントに大丈夫か?と思ったが、まあ考えないでおこう。 事情を探るとめんどいし。


 タッチパネルを使ってみんなで思い思いに注文をする。 メニュー一覧を見てみると似たような感じで名前だけ違うものが多かった。ちなみに注文したメニューは、俺がペペロンチーノ、海呂は海鮮丼、輝己はガーリックステーキ、啓人はクラブハウスサンド、鮎は醤油ラーメン、夭沙はグラタンだ。 もちろんこれは俺の見た目で言ったもので、実際には似たり寄ったりなものだった。


「注文もし終わったし、買い物も各々の物は済ませた。 後は薬局で欲しいものを買うだけだね。」

「そうだな。 時に啓人、頭痛薬ってなにかオススメの物はあるか?」

「頭痛と言ってもあれは電脳世界で起きた事を脳が処理しようとしてるだけだから、多分血の巡りを良くすればいいのかも。」

「でもそれは根本的な解決にはならへんとちゃう? あれ使うのが夜だけなら睡眠薬でいいとも思うが。」

「昼間からはやらないとはいえ、もしもの時には大変だよ。 やっぱり普通に頭痛薬買ったほうがいいって。」

「私たちお役御免かしら?」

「お姉ちゃん、私目薬が欲しいからお役御免ではないよ。」

「あぁ、そういえばそんな事を言ってたわね。ごめんなさいね。」


 そんな他愛の無い話をしていると料理が出来たとのベルがなったのでそれぞれ取りに行く。 というか全員で動いたらダメじゃね?と思ったがここにも電子ドアがあり、空席の時は青、使用中の時は赤で表示されるので、無理矢理入ろうものなら警報がなる仕組みらしい。 進んでるなぁこっちの世界は、元いた世界でもこれぐらいは・・・・と思ったが一部はやっていたので、そうとも言えなかった。


 昼食も楽しく美味しく頂いた所で最後の目的地、薬局へと訪れた。


「とりあえずは頭痛薬と一応睡眠薬も買っておこう。 なるべく万能的に使えるヤツで。」

「目薬、なにが一番あうかしら? 前に外れ引いちゃったからなー 今回は外したくないな。」


 こっちの世界の薬の事はこっち側の人間に任せて、俺は薬局の中を物色する。


 傷薬に、絆創膏、軟膏、湿布とこの辺りは普通の薬局だ。

 ・・・・・ただ「そういう」のはもうちょっと隠してほしかった。 少し興味が出てしまったので、1つ手に取ってみる。 うーん絶対的に信頼出来るって保証は無いし、でも無いよりはって感じなのか? いや将来的な事を考えるとやっぱり・・・・・・


「・・・・・・やっぱり飛空君もそれなりに興味はあるのね。」

「うわぃ!!?」


 びっくりして後ろを振り返ると、にやけ顔の鮎がそこにはいた。


「大丈夫よ。夭沙はもっと離れてた場所にいるし、内緒にしておくわよ。」


 にやけ顔のままの鮎にそう言われた。 なんかその顔で言われると腹立ってくるな。


 その後しばらくしてみなそれぞれ欲しいものを買っていた。頭痛薬と睡眠薬、目薬、栄養ドリンクまでは何となくわかるが、何故菓子類がちらほら見えるんだ?


「寮だと絶対に口が恋しくなるからね。 こういうのはなんだかんだ言って必要なものだよ?」


 そういうものか? よく分からんが口が恋しくなるのは分からんでもないからこれ以上は追求しない。


 そんな事で全ての買い物が終了した。 ショッピングモール内にゲームセンターがないのが気になったが、そもそも電脳世界があるのにゲームセンターがある方がおかしいかと解釈をし直した。


 荷物分配なのだが、寮に持って帰るのは薬関係だけにした。 後はみんなで保管するとの事。


「それじゃあまた週明けだな。」

「僕らも一旦帰ることにするよ。 戻るのは明日の夕方位かな?」

「あたしも一旦親に顔を見せるわ。 うちの親のことだからとやかく言うことはないでしょうけど、一応ね。」

「それじゃあね。飛空さん。」

「うん みんな良い週末を。」


 俺だけみんなと逆の道を行く。 まあ、また歩いて30分は辛いかもしれないけどな。


 ちょっと寄り道した後寮に戻ってきた。 ちなみに寄り道でコンビニらしきものを見つけたので、そこで結構大きな果実を2つ買った。 なんで2つかっていうと。


「イバラ、ただいま。」

「飛空、おかえり。」


 なんか感情の読めない返しを2人でする。


「これ食べる? なんか売ってたから買ってきた。」

「貰う。」


 それなりに大きい果実を渡す。 見た目は林檎や梨のような感じだった。 皮まで食べれると思って齧ってみたところ、中から蜜のみつのように液体が出てきた。 なるほど、中は熟しているのか。 そう思いながら食べていてイバラの方を見ると無性に愛くるしい姿で果実を食べていた。


「・・・・美味しい。」


 よかった。普通に食べれるようだ。 この時間までなにも食べなかったのかと聞いてみると、そんなにお腹が減らなかったみたいだ。 動かなかったからなのだろうか? いやそれでも多少たりともなぁ。


「・・・・・・・それ。」

「ん?」


 イバラが指さす方に目を向けると、ジョウロの先端が見えていたようだ。 まあ隠す必要ないし、むしろ渡すものだから見えていてもなんの問題もない。


「これを使えば、少しはイバラが楽に花壇の手入れ出来ると思ってね。 自分でもよく分からないんだけど、買ってきたんだ。」


 ジョウロにスコップに肥料に麦わら帽子。全部出してあげるとイバラは興味津々に手に取っていた。


「これ、くれるの?」

「まあね。 イバラの事を考えてたら、なんか買っておかなきゃって思っちゃって。」

「・・・・・・嬉しい・・・。」


 今朝にあったばっかりだったが、不格好に笑い顔を見せてくれた。 顔にはなかなか表情が出ない感じなのだろうな。


「あ、この肥料は水をかける前に撒くんだって。そんなに多く撒かなくても育つらしいから、土の上に見えなくなったら撒く感じでいいんじゃないかな?」


 あの店員さんの言い方を借りてイバラに説明する。 今から撒いてみたらと言ったら、陽が沈むから明日にするんだそうだ。 しっかり考えてらっしゃる。


「外でずっとって訳にも行かないだろうから、寮の玄関にでも入ればいいんじゃないか? じっと見てても観葉植物だから成長過程は見えないだろうし。」

「・・・入ろうとしたんだけど、入れなかった。」


 ん? 入ろうとして入れなかった? 試しに俺が寮の玄関を開けっ放しにしてみても、イバラはなにかのパントマイムのように玄関の入口近くで手を空にやっているだけだ。 なんじゃこりゃ。


「私はまだ飛空にしか認識されてない。だから他者のいる場所にはまだ入れない?」


 そこを疑問形にされても・・・・ しかしこうなると、いよいよ目の前にいる少女は人間じゃないって言ってるようなものなんだよな。 んーどうしたものか。


「私は大丈夫。 飛空から貰ったこれがあるから安心できる。」


 そんなんでいいのかと思ったがイバラがそれでいいならそれでいいのかな? うーん今日にあったばかりだが、なんだか複雑な気分だ。


「まあ休日は基本的にいるし、またなにか欲しいものがあったら言ったら出来る範囲で買ってくるよ。」

「無理はしなくてもいい。 私は見えない存在だから。」


 あんまり悲しいこと言わないでくれよ。 今日のところはひとまずイバラと別れた。 自室に戻って夕飯を食べに行こうと思った所に女神様が声をかけてきた。


「飛空さん。先程は誰と話していたのですか?」


 そんな事が質問された。 向こうの声が聞こえなかったのかと聞いたところ「いいえ」と返された。 声すらも俺にしか聞こえない存在なのかよイバラは。 窓の方を見ながらそう思った。

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