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別世界で俺は体感バーチャルTPSの才能がとてもあるらしい。  作者: 風祭 風利
第20章 ここは冒険諸島クェスタラ
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第224節 羽伸ばしと帰省、転校生

 羽を伸ばすと言った次の日、俺はあの蜂の農園へと来ていた。 こうして改めて見てみると、蜂たちも必死に作っているのが分かる。


 この世界の蜂は元の世界の蜂とは大分違い、女王蜂のような存在がいなくても、雄と雌がいるだけで蜜を生成するのだそうだ。 なので蜂が放し飼いにされているハウスにいくと、それはもううじゃうじゃといった具合に蜂たちが舞っていた。 勿論刺されないように防護服は着ている。


「ゴメンねぇ、依頼でもないのに来てもらっちゃって。」

「いえいえ、あの時は依頼として来ていただけに見る機会が少なかったので、せっかくと思いまして。」


 あれからしばらくはあの害獣の蜂は来ていないのだが、時期になると必ずやって来るとの事なので、定期的に依頼は発注しているのだそうだ。


「それにしても国に帰っちゃうのかい? 寂しくなるねぇ。」

「僕も学生ですので、もっと落ち着いた時期にまた来ますよ。」


 そんな何時になるのかも分からないような約束を取り付けて、蜂農園を後にする。


 次に来たのは山奥にある、高さ200mはあるかと思われる滝に来ている。

 ここには採取依頼の時に訪れた山で、希少な山菜を取ってきてほしいと言われてここまで登ってきたときに見つけたスポットだ。 ちなみに依頼の方は俺の「慧眼」とイバラの「目利き」、紅梨の「素材把握」によりすぐに達成できた。


「なんかこういうのを見ていると、やっぱり曜務じゃないんだな。」


 河口に向かって落ちる大量の水を見て、自分のいる場所を改めて感じることがあった。 そしてそんな滝からの涼しさと太陽の木漏れ日の暖かさに当てられ、持っていたシートを敷いて、ゆっくりと眠りについた。



「・・・んぁ・・・?」


 いつまで眠りについていたのだろうか? 太陽の木漏れ日はいつの間にか照りつける暑さになっていた。 特に気にすることではないのだが、なぜかその場を去らなければという衝動に襲われていた。


「ありがとう、大自然。」


 シートをたたみ、下る前に後ろにチラリと見えた滝にうっすらとなにかが見えた気がしたが、その正体は分からなかった。



 サウスターのギルドで、一度自分の荷物を片付け、街中を散策していると、鮎が街の服屋で試着をしていた。


「へぇ、意外と服には無頓着なのかと思ってたけど、そういったのも着るのな。」

「意外とは失礼ね。 学校じゃなかなか出来ないことくらいさせてくれたっていいじゃない。」


 鮎がそんな俺の一言に返してくる。 別にそこまで否定したつもりはないんだがと反論をしたかったが紫色を基調としたフリルの付いたシャツとホットパンツ姿をみて、それも無いかと自分で納得した。


「どうしたのよ? いきなり黙っちゃって。」

「まあ沈黙が答えだと言っておくよ。」


 その返事に鮎は頭に「?」を浮かべていた。 本当の事を言ったら気恥ずかしいからそれぐらいでいいのさ。


「そういえばみんなはどうしてるんだ?」

「えっと、紅梨と瑛奈は食べ歩きしてるわ。 海呂達男子もその辺りにいたわね。 他の人達は分からないわ・・・って羽を伸ばしたらって言ったのはあんたなんだから、他の人の事を気にしてるんじゃないわよ。」

「ん。 確かにそうだな。 とは言え夏休みももう少しだろ? どうするかなって改めて考えちゃってさ。」

「まあ無理にこの島にいることももうないんじゃない? 橋渡しは出来たんだし、急に帰省しても戻すのに時間が掛かるわよ。」


 鮎の意見も一理ある。 人間、ペースというのは必要で、いきなり「さあ二学期だ」って言って始めることも出来ないだろう。


「また夜に集まったらその辺りも相談しよう。 リョウの事もあるし。」

「そうね。 それじゃあ私、まだあっちの方見てたいから、また夜、ギルドで。」


 そういって鮎と別れる。 俺もこの島の特産品でも食べに行こうかな?



「そうですか。 では帰郷されるのですね。」

「この3週間、とても楽しかったです。 良い経験をありがとうございました、チエーリ皇女様。」


 あの夜にギルドでみんなと相談しあった結果、鮎と意見が同じ人が多かったようで、それから三日後の今日、曜務に帰ることに決定したのだった。


「ところでクランとかってどうなるのですか?」

「本人に解約の意志がなければそのまま残ることになりますね。 ただしクランメンバーが増えてもお知らせすることが出来ないので、クランの説明欄などに理由などを付けておいた方がいいかもしれませんよ。」


 ああ、そうか。 こっちが戻ってる間に入られたりでもしたら大変だからな。 出ていく前に書いておくか。


「楽しかったわねぇ。 また長期休みが出来たらまた来ない?」

「僕は今はゆっくりしたいよ。 あちらこちらにいって疲れてるんだ。」

「残りの日数は寮でゆっくりしましょう。 お土産とかもありますし。」

「また・・・皆さんと・・・会えないのは・・・寂しいです・・・けど・・・仕方ない・・・ことです・・・よね。」


 紅梨や啓人、夭沙に瑛奈と様々な意見が飛び交っていた。


「それじゃあみんな、帰ろうか。」


 そんなみんなを引率しながら曜務行きの「テレポーター」へと足を踏み入れた。


「やぁお帰り。 夏休みは楽しめたかい?」


 テレポーターの先、国会議事堂の大臣の部屋に着いた俺たちに大臣が声をかける。 とは言え、俺たちの表情を見れば分かるようで、特にそれ以上は聞いてこなかった。


「一番後ろにいる子はどうしたんだい?」


 早速大臣は一番後ろに付いてきたリョウへと目を向ける。 リョウ自身も部屋事態が物珍しいのか、周りをキョロキョロしている。


「せっかくなので、今回連れてきました。 入国と俺達の学校の入学許可をお願いできますか? 後リョウは女の子なので。」

「なるほど、手続きには時間がかかるが・・・2学期の始業式には間に合うよ。 ではリョウ君、こちらに来てもらえるかな?」

「あ、は、はい。」


 リョウも極度の緊張からか声が裏返っていた。 大臣が「君」って言ったのはリョウが女の子だと分からなかったから言ったわけでは無さそうだし。


「飛空、学校に帰ろう。」


 イバラがそう言ってきたので、大臣の部屋に別れを告げて、みんなで学校に戻ることにした。


「・・・あれ? まだ夏休みは終わってないよね?」


 学校に戻ってくると、寮には人だかりが出来ていた。 なんかイベントでもやってんのか?


「ねぇ、この人だかりってなんだい?」

「あ、津雲先輩! ちわっす! 二学期から入ってくる転校生を見に来たんですよ。 なんでも他の国から来たんだとかなんとかで話題になってるんですよ。」


 近くにいた後輩だろうか、元気よく返されて若干困惑したが、理由は聞けた。 転校生ねぇ・・・去年だってエレアや文香がいたからそんなに驚くことでもないだろうと思うのだが・・・


「あ! 出てきたっす!」


 その視線を向けると・・・黒髪でストレート、少々つり目だが、その顔からは想像も出来ないほどに気さくに声をかけている。 顔立ちもかなり上位に君臨するかのように整っている。 単純に「イケメン」と言われても非の打ち所がない。


「こ、こっちに来るっす!」


 その声に俺も視線を合わせる。 すると向こうは俺に向かって一直線に進んできて、俺の前に止まり、手を差し出してくる。


「君が津雲 飛空君だってね。 初めまして、僕は寺崎 基宏(てらさき もとひろ )。 君の噂は色々と聞いてるよ。」

「そうか、なら改めて。 津雲 飛空だ。 まあ、よろしくってことで。」


 そう言って俺は握手をする。 目の前のこの寺崎という少年。 優しそうな顔をしているが、なにか裏がある。 そういう勘が何故かしてしまう。 あまり人を疑いすぎるのも良くないが、この男にはなにか危険な匂いがする。


「まあそう固くならないでよ。 これからは同じ学校の姓とになるんだから。」

「・・・それもそうだな。 すまん、不甲斐な思いをさせちまって。」


 そういって俺は頭を下げる。 今のは俺に非があった。 だから謝っただけのことだ。


「ははは、まあそう言わずに、頭を上げてくれよ。 僕はこれから学校の中を見て回るんだけど・・・」

「案内が必要か?」

「いや、大丈夫。 一人でも行けるようにしないといけないしね。」


 そう言って寺崎は校舎の方に向かう。 気のせいかと気を緩ませていたが故に、危うく寺崎の一言を聞き逃すところだった。


()()()()()()が調子に乗るなよ?」


 その言葉に、最初に握手をしたときの疑いを再度発動させざるを得なかった。

今回にて飛空達の長いようで短い2年生の夏休みは終わりです。


いや、ほんとはもう一悶着話を考えていたのですが、疲労とキャパシティオーバーにより断念しました。 リアル夏休みも終わっちゃうしね(笑)


ちなみにもう一悶着の話は別の機会に書く予定です。


次回からはこれもテンプレかなという話を書きます。 最後まで読んでくれていれば何をするかは分かると思いますが。

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