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別世界で俺は体感バーチャルTPSの才能がとてもあるらしい。  作者: 風祭 風利
第3章 別世界での休日の過ごし方
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第22節 休日の朝と謎の少女、今後の予定

 目覚めるとそこには知らない天井が・・・・・あった訳じゃないんだけとね。


 今日から週末らしい。 「らしい」というのは感覚が分からないからだ。


 この世界の時間の流れは前の世界と少し違う。 例えば先程言った週末の件だが、この世界での1週間がまず変わっている。

 前の世界では1週間は7日だったが、こちらの世界では1日多い8日区切りになっている。なので、平日6日の休日2日が基本になっている。 もちろんその都度休日はあるらしいが。ちなみに時間は24時間で1日なのには変わりない。


 また、この世界での1ヶ月は大体40日平均なのに対し、1年は9ヶ月となっている。 つまり1ヶ月が長く感じるだけで、1年は変わらないということだ。 時間までズレていたとなるとまた変わっては来ただろうが、その心配は今のところない。


 とはいえ、予定も決まってないのにこんなに朝早く起きてもなぁ・・・・ 時刻は午前6時、食堂も開くのは7時、風呂には入れない。 ・・・・・ちょっと外の空気吸ってこよ。


「おや? どこかに行かれるのですか?」

「うん。 ちょっと外の空気を吸ってこようかと思ってね。」


 ヘッドホン(女神様)に声をかけて、寮の入口を出て思いっきり深呼吸と伸びをする。 あー体が硬いなぁ。


「ん?」


 視界の端に捉えたのは花壇と思われる場所に水を撒いている人物だった。 何故だか気になって、声をかけに行った。


「あの・・・・・」


 声に気づいてこちらに目を向けられた人物は、女子ではあったが、ちょっとばかし幼いように見えた。 中学生位に見える。いやここにいるということはここの生徒なのだろう。 見た目だけで判断してはいけない。 いけないのだが、金髪のロングヘアーが視線を釘付けにしていた。


「・・・・・貴方は?」


 声をかけられた。 どこかハスキーな声だったがしっかりと通っている感じの声がした。


「あ、ああ 俺は津雲 飛空 君はここの生徒?」

「・・・・私はここの生徒じゃないわ。 それだけは分かるの。」

「それだけは?」

「私、それ以外の記憶が曖昧なの。」


 うわぉ、記憶消失ですか、記憶消失は症状、理由、記憶の度合いによって対処が変わる。


「名前・・・・・」

「ん?」

「名前も思い出せないから付けてくれる?」


 まじかよ。 俺はそういうの得意じゃないんだけとなぁ。 どうスっかなぁ? ・・・・・・・・・ん?そういえばなにに水をやったいたんだ? あれは観葉植物だな。あんまり詳しい訳では無いけど「ポトス」だっけ? あれ。 んー・・・・・


「・・・・・・イバラ。」

「・・・・・・・・・・イバラ・・・・・・うん。イバラ、いい。 私の名前はイバラ。」


 それでいいのか。 まあ気に入ってくれたのならいいのかな。


「それでこれからどうするんだ?」

「あれ?飛空君?」


 イバラがどうするか相談しようと思った時に明石先生が寮の玄関から出てきた。


「あぁ、明石先生、丁度良かった。実は・・・」


 イバラの方を向くとイバラは居なくなっていた。 あれ!?


「どうしたの?」

「あ、いや、えっと、こ、ここの花壇って観葉植物以外って植えないんですか?」

「ええ。 あたしあんまり花に世話が出来る人間じゃないから、観葉植物ならいいかなって思って、あれなら花植えてみる?」

「いや、それだと管理する人が出てくると思うので大丈夫です。」

「それもそうね。 でも提案は考えてあげる。」


 そういって明石先生は戻っていった。 でも先程までいたイバラはどこへ・・・・・ はっ! まさか俺、イマジナリーフレンドってやつを作ってしまったんじゃ・・・・


「飛空?」

「うわぁ!」


 そこにはイバラが立っていた。びっくりした!


「な、なんで急にいなくなっちゃうのさ!」

「・・・・分からないんだけど、あの人が来たら体が消えていたの。 飛空も見えてなかったみたいだから、私にも何が起きたのか・・・・」


 どういうことだろうか? 記憶消失と関係があるのだろうか。


「多分今の私だとここから離れることが出来ないかも知れない。けれど飛空がいる時にしか私も見えないみたいだから、大丈夫かも。」

「それならいいんだけど・・・・」


 なんか複雑な気分だ。 俺も毎回は来れないかもしれないけど、あんまり寂しい思いはさせたくないな。


「私はここにいるから多分誰もいない時に呼んでくれれば出れると思うから。 また会いに来て。」

「あ、あぁ とりあえず俺は戻るな。 それじゃあなイバラ。」

「うん。またね。」


 離れられないならこちらから動かなければならないのが少しザンネンだ。 出来るだけ何とかしてあげたい所だ。


 生徒手帳を部屋に置いたまま部屋を出たので、1度部屋に戻る。


「おかえりなさい。 遅かったですね?」


 ヘッドホンからの声にも大分慣れたな。 とりあえずご飯を食べに行くか。 携帯を確認すると啓人から連絡が入っていた。


『おはようみんな。 今日の買い物なんだけど、僕が気になっている大型ショッピングモールに行きたいと思っているんだけど、どうかな?』


 場所を指定してくれているのはありがたい。 俺は断る理由も無いので、


『俺はそれで構わないよ。 何時にどこに入ればいい?』


 とりあえずこれで送信っと。 まあ朝ごはん中に来るだろ。 とりあえず食堂に行こっと。

 食堂に行って、朝食のサンドイッチを貰って食べていると、携帯がなった。 内容は先程の続きのようだ。


『ならその場所に直接集合しよう。 場所は地図を載せておくよ。時間は10時半くらいで』


 その数秒もしないうちに目的地にアイコンが書かれた地図が送られてきた。 ふーんここかぁ 地図を開き直し、今の場所との距離を見てみる。 歩いて・・・・んー30分位かかるか・・・・ 歩けないことは無いけど・・・っていうかもしかしなくても都心部に行くのに毎回この距離歩くのか? ま、まあ慣れるだろ。そのうち。


 さてとりあえず飯も食い終わったし出かける準備をするか。 って言ってもここを出るのが10時だとしても、まだ3時間近く時間がある。 どうしようかな・・・・


「・・・・・・あれ? そういえばここでのお金を何もしてないような・・・・・」


 自分で気づいて青ざめた。 あれ? もしかしてここで生活するためのお金が今持ってないんじゃね? 寮生活という事だったからお金はかからないとは思っていたがこういうプライベートの場合は話は別だ。


「あ、お金の件は問題ないですよ。 生活に困らない程度にお金を入れているって事にしてありますので、財布には常識範囲内でのお金が使う時に入ってる様にしてあります。」


 俺の小言を聞いてか、買い物ということで察したのか、うちの女神様が説明してくれる。 それを聞いてホッとした。 こっちに来て一文無しと気づいて良かった。

 なら時間になるまではゆっくりして・・・・


 コンコン


「? はい?」


 戸を叩く音がしたので返事をする。 ドアを開けてきた人物は昨日夕飯を一緒にした鮎だった。


「やぁ飛空君 元気してる?」

「元気だけれど、どうしたの?」

「いやぁ今夭沙がいないからやることがなくてね。 どうしようかと思ってた時に飛空君がいたのを思い出したからなんか暇つぶしでも出来ないかなって。」

「朝から元気な事で。 でも俺はこの後出かける用事があるんでな。 そんなに長くはいられないぞ?」

「そうなの? どこに行くのさ。」


 場所を説明するのも面倒だったので啓人から送られてきた地図を見せてここに行くんだと説明した。


「へぇ、いいなぁー うん? 男子だけで買い物しに行くの?」

「普通はそういうものじゃないか?」

「ふーん。 面白そうじゃない。 私も連れて行ってよ。」

「え? うーんいいかもしれないけど気まずくならないか?」

「大丈夫よ。夭沙も呼ぶから。」


 そういう問題か? でもなんか引く様子もないからとりあえずみんなに了承が得られるか確認を取る。


『今回の買い物に1人・・・・いや2人増えるんだけど、どうする?』


 とりあえずこうやって打っておこう。 誰でもいいから返信をくれよ?


「じゃあ私は準備しに部屋に戻るわ。 夭沙にも連絡入れておかなきゃ。」


 そう言って部屋から出ていく鮎。 ほんとに元気な事で。

 少しすると先程の質問の答えが返ってきた。


『別にいいんとちゃう? 同じ買い物目的なら1人で買うよりは楽しいやろ。』


 この文面的に輝己か。 ていうか文面でもその口調なのな。 分かりやすくていいわ。 その後携帯を適当に動かして2時間位した頃、ふとイバラの事が気になったので出かけるためのカバンを持って寮を出る。 すると観葉植物をじっと見ているイバラがいた。


「イバラ」

「飛空」


 お互い呼応し合うように名前を呼び合う。


「・・・・・ずっと見ていたのか?」

「うん。 ここから離れられないから、これしかすることが無いの。」

「・・・・・・そっか。」


 なんだか見ていて悲しくなってきた。 今朝あったばかりなのに何故かほっとけない感覚になっている。


「俺も時間があるから。一緒に見ているよ。」

「うん。植物たちも見てくれる人がいるだけで、その分美しく魅せてくれるから。」


 哲学っぽくなってるな。 それもまた真理ってやつか? 植物鑑賞をしばらくしていると


「あー、いた! もうどこ行ったのかと思ったわよ!」


 鮎が大声でこちらに語りかけてくる。 反対側を見るとイバラの姿は見えなくなっていた。


「もう。出てるなら一言声をかけてよ。」

「男子が女子の部屋に行くのは良くないと思ってな。 もう出発するか?」

「ええ。 行きましょ。」


 そう言われては行かざるを得ないな。 観葉植物達に手をふり、その場を後にする。 顔だけ振り返ると、イバラがこちらに手を振っていた。俺も小さく手を振り返して学校の正門を出た。

一応イバラはしばらくはこんな感じに出てきます。

ちなみに名前の由来は、ツルっぽい植物でなおかつ女の子の名前っぽい物を考えた結果だと言っておきます。

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