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別世界で俺は体感バーチャルTPSの才能がとてもあるらしい。  作者: 風祭 風利
第19章 新たな地、新たな仲間
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第200節 帰還と彼女達の現状、行動

 グラジオスとアスベルガルドとの場所を考えて、出来ても2週間は掛かると言われたので、俺は曜務へと戻る事にした。 いやあ、珍しく日帰り旅行の気分だよ。 別の国に行くと2週間はほんとに帰って来れないからなぁ。 あ、ちゃんと瑛奈も連れて帰ってきてますよ。 瑛奈は今回の護衛役だったからね。お役御免とまではいかないにしても、曜務に戻ってきたら一学生に逆戻りだ。


「おかえり飛空君。 今回は随分と早かったね?」


 部屋に案内され、大臣と対面をする。 2つの書類は山のように重なっていた。 これ1人で処理してんの? クレマのコレン伯爵と一緒じゃん。


「ええ、今回は全部向こうでやってくれるそうなので、今回の任務はここまでのようです。 出来次第ガリトス様から連絡はあると思いますが。」

「そうか。 では次の国を模索しておこう。 君はそのまま学校に戻るのかね?」

「そうですね。 自分も学生なので。」


 色々と国を回りながら、トラブルを解決してきたりもしたが、やはり年齢的には学生なので、性分としてやっていくつもりだ。


「少しはゆっくりしてもいいと思うんだがね。 君がそういうのなら私は止めないさ。」

「ありがとうございます。 それではこれで。」


 そう言って国会議事堂を後にして、曜務学園に行こうとした時、服の袖を引っ張られたので、振り返ると瑛奈が俯きながら俺の袖を握っていた。


「今度は・・・いつ・・・会えますか・・・?」


 上目遣いの瑛奈の瞳にはうるうると今にも涙が出そうな様子だった。 やっぱり長い時間一緒に居られないのは彼女にとっても辛い事だと改めて思った。


「大丈夫。 必ず近いうちに逢いに行くよ。 それまでは我慢・・・してくれるかい?」

「・・・はい・・・!」


 涙ながらも笑顔を見せてくれた瑛奈。 別れ際にグラジオスの時よりも優しく唇を重ねる。 そして2、3秒程重ねた後に唇を離し、頭を優しく撫でる。


「・・・・・・また・・・お願い・・・します・・・ね?」


 その後に瑛奈が俺の脇腹を「の」の字に指をグルグル回す。俺もよくこんな小動物みたいに健気な子を放っておいたな。 くすぐったいので、そのまま別れることにした。


 時間は夕方位、曜務学園の正門をくぐる。 この時間にしたのは、昼間では授業をしているのと、下手に帰る時間を変えたくなかったからである。


「久しぶり・・・でもないか今回は。 寮に帰ってきましたよっと。」


 そう言って寮に向かう。 夕方だが、まだ日が落ちるような高さでないので寮の入口に立つ人物が直ぐに分かった。


「おかえり飛空。 今回は早かったね。」


 そう、いつも寮の前の花壇と掃除をしているイバラだ。 居酒屋の娘を彷彿とさせる衣装が、沈む前の夕陽と相まって、幻想的な風景と化していた。


「うん。 今回は向こうが対処してくれるそうだから、帰ってきたんだ。 ただいま、イバラ。」


 そう言って俺はイバラに歩み寄り、そのままアンドロイドながらも小さな体をそっと抱擁した。 アンドロイドなので、人間のような暖かみを感じられないのは少々残念だが。


「ひ、飛空・・・?」


 イバラの言葉に自分の行為を改めて認識し、すぐに離れる。


「す、すまんイバラ。 苦しくなかったか?」

「うん。 私は大丈夫。 飛空こそどうしたの急に?」

「あ、あぁ。 イバラを見てたらちょっとな・・・」


 言葉は濁しているが理由はなんとなく分かってる。 多分まだ残っているんだ。


 スリームさんからの対価、「リミッター解除」が。


 そうだ、よくよく考えれば俺の彼女は瑛奈だけじゃない。 こりゃ帰ってきたのは失敗だったかもしれないな。


「あ、飛空さん。」


 その声に振り返ると、そこには生徒会終わりだったのだろう、夭沙と春元がいた。 なんか春元は見ないうちに秘書みたいな風貌を出している。 出席してない俺に対して怒らないよね?


「今回は早く帰って来れたのですね。」

「お疲れ様です津雲先輩。 そしておかえりなさい。」

「ただいま夭沙。 それに春元もありがとうな。」

「尊敬している先輩ですから。 それにこちらの事を気にせずに行ってもらう為にも頑張らなければならないので。」


 本当に生真面目というかなんというか。 まあそれなら今年の生徒会も大丈夫だろう。


「しかし津雲先輩。 今帰ってこられたのは良かったのかも知れません。」

「ん? どういう事だ?」


 まさかここまで来てこっちのトラブルが?


「津雲先輩は山本先輩と付き合っているのですよね?」

「お、おう。」


 生真面目な性格なだけにズバリと言ってくるあたり流石だと感じる。


「それと、山本先輩のお姉さんを含めて他にも付き合っている人がいるとかなんとか。」

「ちょっ! それ誰から聞いたの!?」


 誰も居ないことを確認して、春元に顔を近付ける。


「情報ソースは山本先輩本人から聞きました。」


 そう言って春元は眼鏡を「カチャ」と合わせ直した。 それを聞いて夭沙にちょっと睨みつける。


「いやあ、莉穂ちゃんなら話してもいいかなって・・・」

「私も塚沼君にしか話していません。 その彼も本当に信頼出来るものにしか津雲先輩の事は話さないと言ってましたので、心配はしなくても良いです。」


 本当は広まって欲しくはなかったんだけど・・・ というかその話が関係してるって解釈でいいんだよな?


「んーと、もしかしてどっかで噂を拾われた?」

「そういう訳ではありません。 生徒会室でそのような失言は私も塚沼君もしていませんし、滋賀凪は同じ同級生ですが、彼には話していません。 まして山本先輩からお話を聞いた時も、プライベートでの事でしたので滅多な事が無い限りはどこかに漏れたなんて事は起きません。」


 て、徹底してやがる・・・ この春元って子、生徒会に入ってから此方、多分色々と苦労があったのかもしれない。 どっかのタイミングで労ってあげよう。


「じゃあ一体何が問題なんだ?」


「山本先輩を含め、津雲先輩と付き合っている人達が男子によく声をかけられるのですよ。」

「んー、それだけの事・・・なわけないよな。 要は狙ってるって事だろ? 彼氏がいないと思って。」


「そういうことです。 津雲先輩の事なので公にはしたくないのは重々承知しています。 他の人たちも、津雲先輩と付き合っている事を隠してはいますし、お誘いも断っています。 ですがそろそろ痺れを切らした輩が現れそうだったので、津雲先輩が帰ってきた事で、諦めが付くかもと思いまして。 津雲先輩も山本先輩達も、知られることは少々苦になるかもしれませんが、よろしくお願いします。」


 そう言って深々と頭を下げる春元。 ここまで後輩に言われてしまってはやらざるを得ないのだろう。

「しかしどうやってやるかな? あんま直接「こいつらは俺の彼女なんだよ」とは言いたくは無いしな。」

「それは大丈夫です。 みんなと相談して、今度飛空さんが帰ってきた時に、一緒にいる時間を多くすればいいという話になりました。」

「まあそれが1番近道かもな。」

「では津雲先輩。 せっかくなのでひとつ、山本先輩となにかやって貰えませんか?」


 え? この場で? いや日が暮れそうだからある意味好都合かもしれないけれど・・・


「飛空、私にハグはしたのに夭沙に何もしないのは駄目。 ちゃんと平等に扱ってあげなきゃ。」


 隣で話を聞いていたイバラがそう言ってきた。 君に言われたら何も言い返せないよ。


 そう思い、改めて夭沙の顔を見る。 日が暮れそうなので見えるか見えないか位のギリギリのところだが、日が沈み切る前に夭沙の肩に手を置く。 夭沙も察したように目を瞑りそして、唇を重ねた。


 2、3秒程で夭沙から離れ、春元の方を見る。


「こ、これで良かったか?」

「はい。 バッチリです。」


 そう言って春元の視線の先を見ると、草影から2、3人程の男子がトボトボと立ち去っていった。


「あれがか?」

「ええ、私が話を聞いていた限りでの人数でしたが、ああいうのは直ぐに諦めてくれるでしょう。」

「というか春元はなんで俺たちにそこまでの事をさせるんだ?」


 自分のことではない上に俺たちの今後の事を心配している。 後輩としてはありがたいことなのかもしれないが、なんというか納得いかない節が多いというか。


「先輩達が困ってる姿を見たくないですし、私は先輩達の恋路を密かに応援しているのです。 それがどんなに信頼出来る友人でも恋路を邪魔するのは許さない所存ですので。」


 過剰過ぎる気もするが、まあ春元がそう言ってくれるのはありがたい。 今の俺だと同級生を留めるだけで精一杯だったりするからな。


「えっと、飛空さん? 終わったのなら・・・」

「ん? おあっと、ごめんごめん。」


 夭沙から声が掛かったので何事かと目の前を向くと夭沙を抱き締めたままの格好だったことを忘れていたので、慌てて拘束を緩める。

「あ、いえ、もう少しこのままで・・・」


 そう言って夭沙は俺の胸にそっと手を置いた。 それを今度は優しく抱き締めた。


「よくお似合いですお二人共。 どうかそのままでいて下さい。」

「むぅ、私だって飛空の彼女なのに。」


 なんか春元とイバラの声がしたが、今は聞き流しておこう。

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