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別世界で俺は体感バーチャルTPSの才能がとてもあるらしい。  作者: 風祭 風利
第19章 新たな地、新たな仲間
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第194節 見送りと城壁、金属探知機

 俺の新たな国への出発の日。 休日だった事もあり、みんなもお見送りとナディとワーライド王子の帰国を見に来たという訳だ。 まあそれが空港とかじゃなくて国会議事堂の奥に設置されている「テレポーター」の前だとは夢にも思わないだろうが。


「はぁ・・・ここが国会議事堂かぁ・・・ こんな奥まで入らしてもろていいもんなんやろか。」

「僕らは飛空を見送りに来ただけだから次に入れるのはいつになるのか分からないよね。」

「これ海呂、今日はナディとワーライドにもお別れを言う日なのだぞ。」

「いいのだエレイダルト嬢。 二度と会えない訳じゃないんだ。 こうして来てくれるだけでもありがたい限りですよ。」


 ワーライド王子がそう軽やかに言う。 なんか尖った部分を削がれた様に見えるのは俺だけか?


「瑛奈、今回はお付きとして行くけれど、飛空が余計な事をさせたりしないようにちゃんと見張っていてね。」

「特に、女性関係には、注意して、下さい。 飛空さんは、ああ見えて、誘惑に弱い、ですから。」

「アドバイス・・・ありがとう・・・ございます! 私も・・・飛空さんの・・・彼女さん・・・です。 使命は・・・果たします!」


 鮎と白羽が瑛奈に向かって旅の注意点を教えていた。 俺ってそんなに信頼無いかね? 無いだろうなぁ・・・


「皆さん、そろそろワーライド王子とナディアルテ嬢がおかえりになられます。」


 おっと、そんな時間か。 「テレポーター」で先にワーライド王子の母国、クレマに繋げてワーライド王子を見送る。 そしてリューフリオに繋げた時に、ナディが啓人に向かってこう書かれているディスプレイを向けた。


『あなたは私を助けて下さった恩人です。 もし機会があれば、今度はリューフリオに遊びに来てください。 両親共々、歓迎致します。』


 そう書いてナディは啓人の手を握った。 啓人も少しばかり困惑していたが、やがて改めてナディの手を取り、


「ええ、その時は宜しくお願いしますね。 ナディ王女。」


 そう柔らかい笑顔で返す。 その笑顔にナディも嬉しそうに笑う。 ナディとエレアが別れを告げ終えると、ナディも「テレポーター」の向こう側へと行ってしまった。


「ヒュー、キザやなぁ啓人。 王女に惚れられるなんて、そこの優男と同じやで。」

「それは馬鹿にしてるって捉えていいのか?」

「輝己だって似たような事をしてたじゃないか。 人の事は言えないだろ?」

「立場がちゃうねん、立場が。 何をどないしたら一国の王女に惚れられる要素があんねん? 感覚麻痺しとらんか?」

「好意を持って貰えるならそれに超したことは無いんじゃないのか?」

「わらわは今でも飛空の事を好こう思っておる。 それ以上の感情は無いぞ?」

「かぁー、非常識に非常識ぶつけるとこうなるんか。」

「どうしたんだ? 輝己のやつ。 なんか酔ってないか?」

「大丈夫だよ。 自分の方がちょっと雲行き怪しくなったきて、焦ってるんだよ。」


 え? あんなに仲良さそうな感じなのにか? あいつだって色々と考えてるんだろ? もっと仲良くなるために。


「俺の話はどうでもええねん。 っはぁ、無自覚って怖いわぁ。」


 なんか輝己が嫉妬でおかしくなってるってだけは分かった。 というかそれしか分からん。


「こちらの方も準備が出来ましたよ飛空様。 どうぞこちらに。」


 おっと、そうこうしているうちに俺達の番になったか。


「それじゃあ行ってくるよ。 また帰るのが遅くなると思う。 向こうさんの状況次第だけどな。」

「それでは・・・行ってきます・・・ね。」

「おう! 頑張ってこいよ!」

「体だけは壊さないようにね。」

「また帰ってきたら教えて下さいね。」

「行ってらっしゃいじゃ!」


 みんなの激励を受けて、俺と瑛奈はアスベルガルド行きの「テレポーター」をくぐった。


 アスベルガルドに着いてすぐに出発した俺と瑛奈、それと運転手2人を乗せた車はアスベルガルドの最東端、「トクサム」という都市で車にガソリンを入れてる所で休憩がてら停車していた。


「俺がこの国に来たのもつい2ヶ月前だったけど、さすがにそんなに急には変わらないか。」

「こんなに・・・国の端っこ・・・でも・・・都市が発展・・・してるんですね。」


 瑛奈自身も初めての国外旅行という事で様々な景色に興味津々だ。 今度時間があったらプラネタリウムでも連れて行ってあげるか。 その場合はみんな着いてくるだろうけど。


「お待たせしました。 そろそろ出発致します。 どうぞお乗り下さい。」


 そう言って運転手の1人が俺達にそう声をかけに来てくれる。 景色を堪能していた俺と瑛奈はすぐに後部座席に乗った。

 休憩場所から少し走ったところで助手席に乗っているお付きの人がバックミラーで俺たちを見ながら次の国のことについて説明してくれる。


「今回訪れます「重力変動地 グラジオス」はアスベルガルドよりも磁場が安定しておらず、公共交通機関での移動が出来なくなっています。 ですので、我々が案内出来るのは、検問前までとなっています。」


 磁場がどれだけ強いかは分からないが、少なくとも鉄の塊である飛行機や電車での移動は不可能という訳だ。 まあ今まで訪れた国のほとんどは馬車移動だったから今更感もあるけどな。


「検問前まで・・・という事は・・・そこからは・・・歩くという・・・という事ですか?」


 瑛奈が恐る恐るその質問をする。 さすがに街まで歩くって話は勘弁してもらいたいのだが。


「いや、検問を通った後はすぐに街に入るため、そんなに歩く事もないだろう。」


 瑛奈の質問に丁寧に返す運転手の人。 まあ検問って普通そういうもんだと思うしな。 車も使えない国で歩きっぱなしは正直な事を言うと勘弁して欲しかった所なのでありがたいと言えばありがたい。


「しかしよくアスベルガルド統率者様からの話をグラジオスの王様・・・なのかな? まあ1番上の人が了承というか、話を受け入れてくれましたね?」

「向こう側のお偉い方も、少なからず今の現状を変えたいと思ったのではないでしょうか? これは私の推測なので鵜呑みにはしないで下さいね?」


 助手席にいるお付きの人がそう笑いかける。 まあだから行くんだけどな。


 そして新たな国の国境に着いたようだ。 しかしなんというか目の前にあるのは城壁というか、ようは高い壁がそびえ立っていた。


 あえて言うなら遠くから見えたのが間違っていなければなのだが、城壁に加えてレンガ造りの天井まで見えたようにも見えた。 いくら重力変動地とはいえ空まで見えないようにするか? その辺も改めて聞いてみるか。


「というかこんな城壁がそびえ立っていたなら気づくんじゃないの? いくらアスベルガルドの奥地とはいえ。」

「そこはまあ、我々も暗黙の了解というか、こちらに危害がなければ問題は無いというか。」


 それは無責任すぎないか? 大丈夫ならいいんだけど。


 そうこう考えているうちにグラジオスの検問前まで来ていた。 アスベルガルドからこの国に入りたがっている人も多く、車で入ろうとする人が大半だったが、どうも入国の所でつまづいているらしく、長い長い足止めをくらった。


 長かった足止めもようやく終わる頃には陽も暮れ始めていた。


「すみません、時間がかかってしまって。」

「別に謝る必要はないですよ。 入国審査ってどうしても時間がかかるイメージありますし。」


 というか今までがすんなり行き過ぎて怖かったって言うのもある。


 そして入国審査をする番になった。 入国内容は書類を渡して何とかなっているし、ここまでは普通なんだよな。


「では車から降りてください。 ここからは車はご利用頂けないので。」


 それは事前に聞いていたので、遠慮なく降りる。 こうしないと国に入れないってどんな国なんだろ?


 そう思って歩いていると突然上からブザーがなる。 いきなりの大音量に瑛奈がビビってしまって俺にしがみついてきた。 うんその気持ち分かるよ。 それでなんでブザーがなったかって上を見ると、何やら赤外線のようなものが見えた。 俺の予想が正しければ多分金属探知機だろう。 ここでは金属類を持ち運べないって知らされてるから何となくそれなんじゃないかって思ってた。


「ではすみませんが身体検査をさせていただきます。」


 そう言われたので、俺達はボディタッチを受ける。 うん。 女性だからなんか緊張する。


「すみませんがベルトを外して頂けますか?」


 そうボディタッチをしていた女性に告げられた。



 ・・・はい?

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