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別世界で俺は体感バーチャルTPSの才能がとてもあるらしい。  作者: 風祭 風利
第18章 第二回学校交流会
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第185節 トラブルと報告会議、改善策

「だからぁ、そっちがぶつかってきたんだってぇ。 だからその責任をさぁ。」

「しつこいぞお主ら! 大体今はそのような話を持ち込むような場ではないであろう!」


 どうやらなにかトラブルがあったようで、ナディを守るようにエレア、そしてたまたま近くにいたのか、啓人が前に立っていた。

 完全に人数では負けているが、啓人のスナイパーで培った見据える力とエレアの性格や行動力を元に作られている胆力の前ではそんなものは無意味に近い。


「えー? でもさぁ。 ぶつかってきておいてなんにもないのはおかしいんじゃないのお?」

「この子だって謝ってるじゃないか。 それ以上何を望むんだい?」

「だからその責任を取って欲しいって言ってんの。 いいじゃんか か、少しくらいさぁ。 こんな窮屈な感じ、俺達に合わないんだよ。」


 そう言ってナディに手を伸ばそうとしていた男子の手を啓人は迅速に、そして力強く止める。 まあこの程度の奴らに気遅れする程やわではないし、あれぐらいならうちの学校の成績が1番悪いって言われそうなやつでも訳ないだろうな。


「それをするのはご法度なんじゃないかな? 彼女が悪いにしても節度位は分かるでしょ?」


 おお、俺よりも冷静さのある感じの啓人が珍しく怒りを露わにしてる。 それでも表情は崩さない辺り、冷静さは失ってないようだ。


「黙ってろてめぇ! 大体途中から入ってきたやつにとやかく言われる筋合いは・・・」

「おっと、そこまでだ。」


 啓人に対して殴りかかりそうな勢いの奴がいたのでそこは俺が止める。 いい加減見てるだけじゃ収まりそうになかったからな。


「これ以上続けるって言うのなら学校名と名前を言いな。 お前らんところのお偉いさんに話付けてきてやるからよ。」

「・・・ちっ! 実行委員会の犬がよぉ・・・」


 そう言ってぞろぞろと連中は去っていった。 交流会なのにあんな風にされたら今後に支障が出来まうぜ。


「たかが肩がぶつかっただけであろう。 なぜあそこまで突っかかることが出来るのかのぉ?」

「ああいう輩は自分を下に見られたくないんだよ。 だからあくまでも「そっちが悪い」って事にしたいんだよ。」


 エレアの怒りに対して啓人が宥める。 ってことはあいつら貝賀先の奴らか。 あそこの学校のトップは兎我野だが、一応あいつはまだマシな部類だと感じる。 あの学校に通う生徒の程度は知れるけども。


「悪かったな二人とも。 直ぐに駆け付けれなくて。」

「飛空は忙しい身なのだ。 おいそれと助けを呼ぶ事などせんぞ。」

「それにあれぐらいで君達を毎度呼んでいたら、多分いくら人手があっても足りないさ。」


 エレア、啓人共に俺が遅れてきた事に特に怒る様子もなくただただ去っていった奴らの方向を見ていただけだった。


「ナディも大丈夫だった?」

『はい。 私の不注意でぶつかってしまって、私は喋ることが出来ないので、すぐに謝れなかったのが原因かと思います。』

「気にするでないぞナディ。 向こうもこちら側を見えていなかったのだからお互い様であろう? あえて言うなら人数が多かった分通路の妨げにはなっていたがの。」

「それで僕がこっち側に用事があって、通路を塞いでいるから何事かと思って、あの現状になるわけ。」


 なるほどな。 しかしそうなってくると俺自身も向こうさんの学校とは一悶着ありそうだな。


「まあとりあえず今回の件は報告するよ。 向こうもどう出てくるかによるがな。」

「すまんの飛空、仕事を増やしてしまって。」

「気にすんな。 色んな学校が集まるんだ。 こういったトラブルは意外とあるだろ。」

「円商高校や浅巻高校の人は定期的に会場の警備をしてるみたいだからなにかあったらそっちにも届くと思うよ。 それじゃあ行こうか。 僕がエスコートするよ。」

「かたじけないの、啓人。」

『よろしくお願いします。』


 そう言って3人は去っていった。 こりゃ少しばかり確認し直さないと行けない部分が出てきそうだな。


 その後、順調に夕方までに試合の半分を終わらせて、1日目の試合を終了させて、前回と同じ宿泊先に全学校が移動する。 何気なく考えていたが、16校全員を乗せるとなると、相当量の送迎バスがいるよな。


 今回は学校が増えたということで、食事や入浴、部屋割りなどをそれぞれ学校単位で管理をする事になっている。 そんなことになっている裏側で俺達曜務生徒会を含めたそれぞれの学校の代表が1つの応接間に集まり、会合を始める事になっていた。


「1日目を終えて、報告の方をお願いします。」

「ではまずは私から。」


 芥川が仕切り始めた所で学が挙手をする。


「会場内での報告としては、何人かの生徒の横暴が報告されています。 どちらもその場にいた警備班に仲裁に入ってもらいました。」

「級頼高校から報告をいいか? こちらは主催場所として提供してる身として、施設の一部が破壊されているとの報告があった。 被害はヒビ割れ程度だが、建造物として残しているので、侵食が進まないうちに補強修理を行う。」

「電脳世界監視役の矢萩学院から。 ミッションを行うにあたって、やろうとしていたミッションを奪ったり、無理矢理パーティに入り、経験値だけを取るという事案が発生しました。 これについて新たな取り組みを考えなければなりません。」


 なんか盛大なものじゃないにしろ回数が重なればかなりの件数になる。 もちろん残り2日ある中で改善の余地があるものは変えていかなければならない。


 そしてその報告をした後に報告をした3校がかなり渋い顔をした。 ん? どうした?


「こちらで報告書を改めて確認してみたのですが、その加害者は貝賀先高校と恵蘭女子高がほとんど、いやこれ全部がそうなのですが・・・」


 学が資料を見て、俺達もその資料に目を通す。 名簿の所を見てみると確かに貝賀先高校と恵蘭女子高の名前がよく目に入った。 その報告を聞いて、代表である兎我野は目頭をつまみ、逆凪は知らん振りをしている。


「貝賀先の方から言わせてもらうが、前回貰った資料をみて、みなに分かりやすく文を砕いたり、掻い摘んだりして説明はしたのだが、まだ理解出来ていない者がいたと思うと、正直頭が痛くなってくる。」


 あ、兎我野は分かってくれてたんだ。 しかし今の貝賀先高校を見てると、どうも溜まり場みたいな雰囲気しかないんだよなぁ。 実際のところが分からないから兎我野からなら聞いてみてもいいかも知れない。


「うちの所も知らなぁい。 勝手に暴れて勝手に注意されてるだけでしょ? うちらはそんなもんに縛られないから。 あ! 今のカッコよくなかった!? ねぇ!? カッコよくない!?」


 逆凪は1人で勝手にテンションを上げているが、正直そういうのがはた迷惑だというのが分かってないあたり、反省の色が見えてないのは明白だ。 軟瑠女子でもさすがにそこまではなっとらんぞ。


「しかしこのままでは支障が出るのは明らかです。 なにか対策、もとい変更点を作らなかければ今回の交流会は失敗に終わってしまいます。」


 そんな軟瑠女子代表の翁がそう仕切る。 そんな雰囲気になったので、みんな各々に考え始める。 さて、この辺りからが頭の使い所だぞ、新たな参加校諸君。


 とは言ったものの誰も彼もがいい案が出るわけでもなく、結局のところ、警備の強化と警邏隊のルートの変更のみが採用された。 最初に反発を見せた学や須藤もさすがに改善策までは思いつかなかったようだ。


 食事をするための大ホールへ行くと、前回と同じように大きなテーブルクロスに様々な料理の並ぶビュッフェスタイルになっていた。 今でこそ大ホールで収まっているがこれでも他学校全部が入ってる訳ではなく、学校毎に人数を決めて、満帆にならないくらいの調整をしているのだ。 前回みたいに雪崩みたいに出入りされたら溜まったものじゃないからな。


 とりあえず俺は近くにあった飲料置き場からお茶をとり、料理や知り合いがいないかとキョロキョロとしていると。


「あ、あれじゃない? ほら写真で見た顔だよ?」

「でも間違ってたら困るだろうし、それに誰かを探してそうだよ?」

「そんなの関係ないわよ。 声を掛けれればこっちのものでしょ? 行くわよ。」

「あ、ちょっと・・・もう。」


 そんな声がどこからか聞こえてきた。 注意して聞いていた訳ではなかったがなぜか鮮明に聞き取れた。 これも神様の力かね?


「ねぇ。 津雲 飛空ってあんたのことでしょ?」


 そう先程話していた1人の女生徒が声を掛けてきた。

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