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別世界で俺は体感バーチャルTPSの才能がとてもあるらしい。  作者: 風祭 風利
第18章 第二回学校交流会
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第181節 発案と反論、堪忍袋

 感動の再開、久しぶりの電脳世界でのバトル、新たな同盟の結成。 それが今日行われた事柄だ。


「結局最後まで会議には参加をさせてもらえなかったな。」


 元々主催するのは我々だし、俺だって生徒会の一員だ。 いくら長旅で疲れているかもと思われても、会議に参加出来るくらいの気力くらいはあったさ。 ・・・どうも腑に落ちない。 そんな事を思いながら風呂上がりに自分の部屋に戻る。


「やぁ、随分と長かったじゃないか。」

「飛空の長風呂は今に始まった事やないやん。」

「まあまあ、彼もいっぱい頑張ってきたんだから、こういう時くらいゆっくりさせてあげなよ。」


 海呂、輝己、啓人と寮のメンバーが色々と言ってくる。 まあこういう空間もやっぱり必要だよな。


「それで、明日は今回初参加の学校と対面するんやろ?」

「うん。 提案高である曜務学園と円商高校が代表だ。 一応生徒会メンバーは全員出席だ。 圧力をかけるつもりではないけれど、その方が安心できると思ってな。」

「でもどの学校もごく最近に体感バーチャルを取り入れたんでしょ? 大丈夫? そんな学校とまともに交流会が出来るのかな?」


 海呂の心配も最もだ。 初参加の高校からしてみれば俺達は先輩であると同時に実力が桁違いになっている。 手加減すれば多分直ぐにバレるだろうし、本気で戦って若い芽を摘むわけにはいかない。 そこで出た結論は。


「今回は前回参加校はメンバーを1番()()()()()()()が代表にしようと思ってるんだ。」

「おいおい、俺達みたいなのは参加できないってのか? それは不公平とちゃう?」

「前回みたいにフリースペースを用意してるよ。 それに今回は誰でも出来るようにミッション形式にもするつもりだから大丈夫だよ。」

「でも反感は買いそうだよね。」

「そのための明日の会合だよ。 こっちだって納得してない部分はあるんだから。」


 ここの面子に話してもあまり意味は無いと思うが、どうしても喋りたくなってしまう。 俺の性なのか、人間の本質なのか。


「納得してない部分って例えば?」

「さっきも言った戦いの件とか、後は日数とかかな。 3日間で16校の総当たり戦なんか出来るかよ。 会場も2箇所しかないし、半分に分けても8校しか無理だぜ。」

「大変なんだね。 それもそれで。」

「まだ期限はあるからいいけれど、それでも向こうも納得出来るように調整しないといけないからな。 まだまだ課題は山積みだぜ。」

「俺らからも意見を出した方がええか?」

「うん。 なにかあるなら聞くぜ。 もしかしたら使えるものがあるかもしれないからな。」

「そういう事なら僕らも考えるよ。 僕が思うのは・・・」


 その後俺達は交流会を円滑に進めれるための案を徹底的に出し合った。 意見を出しては穴を見つけて、それを埋めていく。 また意見を出たらそれを話し合っていく。 寝るまで費やして、色々な案が出てそれらの中から選出した。


「これを明日話し合いに出してみるよ。 全部が全部使えるとは思わないでくれよ?」

「そういうのは言った者勝ちだし、言ってみないと納得してもらえないからね。」

「大丈夫だよ。 いくつか通れば、僕らも頑張った甲斐が有るってものだよ。」

「頭使い過ぎて眠たくなってきたわ。 ほなおやすみ。」


 そう言って輝己が布団の中に入ってしまった。


「僕らも寝ようか。 おやすみ。」

「ああ、また明日。」


 そう言って俺達も布団の中に入り、眠りについた。



「そんな話をしたのが昨日の夜なんだけどな。」


 次の日の放課後、新たな高校の参加を受け入れるための会議を始めている。


 ここにいる8校は全員生徒会の会長副会長だ。 教員は参加をしていない。


「そんなもので我々が納得出来ないことはあなた達だって分かっているでしょう?」


 発言しているのは六波松露(ろくみしょうろ)学校生徒会長、学 芹奈(まなび せりな)だ。 ピンク髪で女子としては珍しい男子くらいの短い髪型をしていた。 それに比例してなのか、性格もかなり男勝りである。


「もちろん納得して貰えるとは思ってはいません。 しかし我々もただ電脳世界で戦うだけではなんにも価値がないのですよ。」


「それはあなた達の代表が今回は初めて参加する学校に対してなんの価値があるというのですか?」


 そう言ってきたのは学の隣にいる須藤工学(すどうこうがく)学院の代表若本 陽真(わかもと はるま)だ。 白髪のパッツン眼鏡である。 かなりツリ目ではあるが、正直怖さがない。 威圧的に相手を牽制してるつもりなのだろうが、そこは勘違いして欲しくないのが、我々の務めだからな。


「あなた達の学校は、様々な審議が行われた上で、体感バーチャルを学業に取り入れる事が出来ました。 その日はとても浅く、今の環境の事もあります。 それを未然に防ぐ為に・・・」


「未然に防ぐって言われても、実感がないんだって。 初めての事なのにあんたらで縛らないでくれる?」


 別のところから、本来この場にはあまり相応しくない、ギャル系の女子がいるが、彼女は恵蘭女子(けいらんじょし)高校の逆凪 芽彩(さかなぎ めりあ)だ。


 ちなみに今ここに集まっているのは提案高である曜務学園と円商高校の生徒会の一部のメンバーである。 俺、夭沙、芥川、了平の4人で今はこの8校と話をしているのだが、承諾する高校とそう出ない高校で半々に分かれている。 納得していない半分の学校の言い分としては、やはり講習の話と、対戦相手の話だ。


 講習に関しては、体感バーチャルを学業に取り入れたタイミングでちゃんと教わっているので改めて説明する必要は無い。 対戦相手の話は、いくらなんでも弱い相手を出すなという話だった。 と言うよりも自分達は参加校であるが故に、扱いが存外過ぎるのでは? と言うのがぶっちゃけて言えば本音なんだろう。 相手の機嫌を損ねないで話し合うのもほんとに苦労するわ。


「我々の意見としては、まず講習は廃止するべきです。 せっかく用意してくれたミッションをいち早く取り組みたい人がいるでしょう。 我々とて知識が全くない訳では無い。 こんなものは不毛だ。 さらに戦う相手も我々が知ったからこそ言わせてもらいますが、弱い相手を出す。 それはすなわち我々を侮辱していると同意義だと感じ取れました。 これに関しても、考えを改めて貰わなければいけないですな。」


 話を進めるのは貝賀先水産(かいがさきすいさん)高校の兎我野 政丸(とがの せいまる)だ。 貴族らしい振る舞いで金髪天パである。


 正直向こうの意見も汲み取ってあげたいところではあるが、そこは俺達先駆者の話を少しでも聞いてもらいたい。 事が起きた時の責任問題にだって発展するんだぞ。


 ちなみに残りの4校は納得、と言うよりも流れをこちらに任すといった感じで、あまり突っかかって来ることはなかった。 それはそれで困りものだが。


「第一、そちらの強さがいかなるものだとしても、それを理由に我々を見下すような事はやめてください。」


 ピクッ


「そちらには協調性というものが感じ取れないですな。 この立案は。」


 ピクピクッ


「僕らの学校だってそれ相応に習っています。 ならば対等に扱うのが主催者側の義務なのではないですか?」


 ピキッ


「講習なんてかったるいものやめて、もっと盛大にやろうよ? ほらほら、せっかく電脳世界があるんだからさ、大乱闘とかにしちゃえば楽しそうじゃね?」



 プツン



「あなたたち、先程から言いたい放題言っておりますが、そんなものはこちらとしても・・・」


「死の瀬戸際や現実世界で受ける電脳世界の痛みも全く知らないマセガキ共がガタガタ抜かしてんじゃねーよ。」


「なっ・・・それが主催者の発する言葉・・・」


 若本がなにかを言いたげにしていたが押し黙った。 だがそんなことは知ったことか。 無知ゆえの発言なのは分かってはいる。 だが、いやだからこそこれから教えてやろうって言ってんのにそっちの言い分は暴れたいだけの動物と同じだ。 そんな奴らにこの電脳世界での事を汚されてたまるか。


「この立案はそちらの事も考えた上で作られてるんだ。 意図も汲み取る事も出来ないで否定するのは極力避けて貰えませんかね? そちらが反対しようがどう思おうが、方針は変える気は毛頭ないので。 それが嫌なら今回の参加は無しということにさせてもらえるとこちらとしてもやりやすいです。」


「・・・っ! 分かりました・・・ だが時間は貰いたいです。 詳しく確認した上で改めて審議しましょう。 それでは今回はこれで。」


 学がそういった事で閉廷に持ち込まれた。 初参加組の8校は終わると同時にそそくさと撤退して行った。

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