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別世界で俺は体感バーチャルTPSの才能がとてもあるらしい。  作者: 風祭 風利
第17章 陸続きの国達
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第172節 デッキと決闘、結合

 ユレストからのカードバトルの申し出を受けると大広間をお互いに陣取るように立っている。 というか第1国王が頭を悩ませてる中、第2国王が使者と遊ぶってどうなの?


「お前さん、そのホルスターに入ってるデッキじゃ多分満足してないだろ? 恐らくスターターとみた。」


 ユレストは俺のデッキホルスターの中身を一発で見抜いてきた。 やっぱり顔に出るのかな?


「さすがですユレスト王子。 しかし自分はこれしか持っておられませんので。」

「その辺りは心配したくていいぜ? なんせ俺達兄弟はこのゲームの創造者。 保管もきっちりとしてるんでな。」


 そう言ってユレストが手を叩くと、滑車の付いた机の上にいくつかのデッキが現れた。


「本来なら俺のデッキで戦おうと思っていたけれど、まずは肩慣らしだ。 その中から好きなのを選びな。 俺も同じ条件でやるからよ。」


 そうユレストは「ニッ」と白い歯を見せる。 用意周到というかなんと言うか。


「大丈夫飛空? もし負けるなんてことになったら・・・」

「その辺は大丈夫だろ。 あっちの兄さんが考えているようだし、わざと手を抜くこともないだろう。」


 鮎の心配を余所に俺は1つのデッキを取る。 そしてデッキの内容の確認に入る。 絵柄を見るとロボットの様な絵柄が数多くあったので、多分機械人形がテーマのデッキだろうな。


「ほう、「機械騎士(マシンナイツ)」のテーマを手に取ったか。 なら俺はこれにするかな。」


 そう言ってユレストが手に取ったのは岩や崖なのが描かれているカードのデッキを手に取った。


「こいつは「岩鬼(ロックオーガ)」っていうテーマだ。 効果は・・・まあお前さんなら実践で分かるんじゃないか?」


 敢えて手の内は明かさないか。 まあそこまで言うのならやってやるぜ。


「先攻後攻はコイントスで行うぜ。 表と裏、どっちを選ぶ?」

「じゃあ、裏で。」


 そう宣言して、ユレストがコインを弾く。 2回ほど跳ねて、回転を繰り返した後にコインが地面に横たわる。


「背を向けている絵になったから裏、お前さんの先攻だぜ。」

「じゃあ行かせてもらいますね。 ドロー!」


 山札から2枚引いて手札が増える。 これだけでもかなり色々なことが出来る。


「それで飛空、どう動くの? 相手の手の内が・・・」


 そう言ってくる鮎に手で静止をかける。


「すまん鮎。 多分君の力を借りる事はないと思う。 だからこの試合に不正がないかだけ集中してくれないか? まあ、あの王子に限ってはそんな事しないと思うけどね。」


 多分遊びに関しては正々堂々とした戦いをするだろう。 それならそれなりの敬意を表しなければいけない。

「俺は手札を2つ消費して「フォーミュラナイト」を召喚!」


「フォーミュラナイト」


 効果:無し


 攻撃力4/体力6


 そう言って目の前のフィールドにモンスターが召喚される。 フォーミュラということで、フォーミュラカーが現れる。 多分この状態が待機状態なのだろう。 召喚酔いがあるが、その間の姿も見れるのは何気にポイント高いんじゃないかな?


「そしてさらに手札を2つ消費して、広域魔法「機械工場(マシンファクトリー)」発動!」


機械工場(マシンファクトリー)


 効果:自分フィールドの「機械」と名のついたモンスターのステータスは「攻撃力-1/体力+1」される。


 また自分フィールドの「機械」の種族のモンスターが破壊された時、「機械の鉄くず 攻撃力0/体力2」を1体残す。


 宣言と同時に俺の背後に工場のパイプラインの立体映像が現れる。


「ほう。 「機械工場」まで出てきたか。 本当に初心者か?」


 ユレストが何かを見定めるように俺を見る。


「俺はこれでターンエンド。」


 そして消費した手札分、4枚を手札に加える。 俺のターンが終わると同時にフォーミュラナイトは変形して騎士のような姿になる。 フロントの部分が剣と盾になり、ゆっくりとその身を立ち上がらせる。 見た目は完全に戦隊モノのそれである。


「俺のターン! ドロー!」


 ユレストのターンになる。 さぁ何を出してくるか?


「俺は手札を1つ消費して、「岩蠍(ロックスコルピオ)」を召喚!」


岩蠍(ロックスコルピオ)

 効果:このモンスターの攻撃力を-2する代わりに体力を+2する。

 攻撃力2/体力3


 召喚されたモンスターは蠍だったのだが、外殻がゴツゴツの岩で覆われていた。


「あれ? 飛空が出したのはコスト2のモンスターよ? コスト1じゃあ割に合わないんじゃないの? すぐ倒されちゃうじゃない。」


 鮎がそんな疑問を抱いているが、そんな事を改めて確認し直す必要も無い。 こういう場合の相手の次の手は・・・


「そして俺は手札を3つ消費することにより、手札の魔法カード「結合」を発動! 対象は自分フィールドの「岩蠍」、そして手札の「岩小鬼(ロックゴブリン)」を素材に、現れろ! 「岩刃(ロックブレード)」!」


 現れたのはゴブリンに蠍の毒を持った尻尾とハサミの手をした姿だった。 その姿を見て巨大化したヒーローが苦戦した怪人みたいだと思ってしまった。


「ちょっとちょっと! モンスターの召喚は1回だけなんじゃないの!?」


 鮎はそう抗議を荒らげる。 あれ?この子もしかして詳しくルールを把握出来てないのか?


「鮎。 召喚が1回ってルールは()()()()()()()()()召喚をした時の事だ。 今ユレスト王子がやったのは()()()()()()()()()の召喚方法だから、「召喚出来るのは1ターンに1度」という縛りから外れるんだよ。」

「説明が要らないようで助かるぜ。 よく理解出来てるじゃないか、お前。」


 鮎に対する説明をしているとユレストから賞賛が与えられる。 そりゃ元の世界の方が難しいルールが存在してるんだ。 こんなくらいなら驚きはしないさ。


 さてと、改めてステータスを拝見しますか。


岩刃(ロックブレード)


 効果:このカードの攻撃時、攻撃力及び体力の変動を行えない。


 攻撃力6/体力7


 ふーん、て事はこっちは下げれないけど相手も上げれないって事か。 しかも攻撃時だから俺から攻撃する場合は関係なさそうだな。


「ちなみに「結合」というカードの対象は岩系モンスターだけじゃなくて、機械系のモンスターにも使えるんだぜ。」


 ほう、ということはこのデッキの中にも入ってるって事か。


「俺はこれでターンエンドだ! さてとこいつをどうやって崩すかな?」


 ユレストも様子見と言った具合か。 ターンが終了すると、さっきまでやる気のないようにダランとしていた岩刃が戦闘体制に入った。 これでお互いに攻撃が出来るようになった。


「俺のターン! ドロー!」


 引いた2枚の中に先程ユレストが使っていた「結合」のカードと、それに合わせたモンスターカードが引けた。

 そして改めて自分の手札を見直す。 前のターンの4枚も含めて色々と出来そうだ。


「俺はコスト0の「ジャンカー」を召喚!」


「ジャンカー」


 効果:このカードは体力が0になっても1度だけ、戦闘では破壊されない。 ただし、プレイヤーダメージは適応される。


 攻撃力1/体力3


 ジャンカーは鉄くずの状態で現れる。 これモンスターだったらどんな感じなんだろうね?


「飛空、そんなモンスター出してどうするのさ?」

「こうするのさ。 俺は手札を1枚消費して、魔法カード「劣化した潤滑油」発動!」


「劣化した潤滑油」


 効果:自分フィールドのモンスターを破壊することで、相手モンスターのステータスを「攻撃力0/体力-3」する。


「岩刃の効果範囲は攻撃時、つまり今の状態ならこの魔法は適応される! ジャンカーをリリース!」


 破壊されたジャンカーから、ドロドロした、黒いオイルのようなものが飛散する、それが岩刃の顔、肩、尻尾に当たり、気持ちが悪そうに岩刃は体を捻らせた。


「そしてジャンカーが破壊された事により機械工場の効果で「機械の鉄くず」をフィールドに出す!」


 そうして現れたジャンカーと同じ状態の鉄くずがフォーミュラナイトのとなりに現れる。


「なるほど、わざわざフォーミュラナイトを残したということは、岩刃を倒そうっていう魂胆だな? 確かに今の状態ならこいつは倒せる。 だがフォーミュラナイトもただじゃ済まないと思うけどな。」


「まだ終わりじゃないぜ? 俺は手札を3枚消費して、「結合」カード発動!」

「おっと! お前さんも引いていたのか!」


 ユレストは驚いているが、とこか楽しげだ。


「素材としてフィールドの「機械の鉄くず」と手札の「バトルバイク」を結合させて! こい! 「機械騎士 ジャック・ウィリアム」!」


 召喚されたのは尖端に槍の付いた、トライアスロン用のバイクだった。 こいつは召喚酔いしてるから攻撃出来ないけれど、倒せない訳じゃないんでね! 楽しませてもらうぜ!

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