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別世界で俺は体感バーチャルTPSの才能がとてもあるらしい。  作者: 風祭 風利
第15章 電脳が交じりあった世界
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第145節 レンドーマとプラネタリウム、電子の海

 中央都市から少し離れた所に「レンドーマ」はある。 こちらの街並みは先程の「コールルイス」とあまり変わらないが、どちらかと言えば遊楽施設が多い感じがした。 ショッピングモールに遊園地らしきもの、運動施設まであるくらいだ。


「人々の日々の疲れを癒したり、若い世代の集いの場だったりとコールルイスよりも活気溢れる場所となっています。」


 確かにここの街に入ってから人通りが多くなった。 あながち嘘では無さそうだな。


「さぁ着きましたよ。 ここが我が国が誇る名スポットとなっています。」


 そう言って着いたのは大きい球体状の建物だった。 ん? この形の建物って・・・


「ここでは館内に入ってもらい、天文学者達の話を元に、我々のホログラム技術を持って再現、そしてそれを投影出来るようにしたものが建物内にあります。 まだ時間があるので、館内を見て回りましょう。」


 いつの間にか駐車場で止まっていたのでそのまま車を降りて、館内へと入っていく。 話の内容が正しいのならばこの中にあるあの球体状の場所に・・・


「ではこちらになります。」


 ボディガードの人がもう入館料を払ったのだろう、すんなり入ることが出来た。


 入ってから目に映ったのは電光掲示板だ。 しかし明らかに宙に浮いているがこの世界なら問題は無いのだろう。


「・・・こういうのからでもイバラって電脳体として入れるのか?」

「ケーブルがあれば私は入れるよ?」


 独り言で言ったつもりがイバラは聞いていたらしく、俺の疑問に返答してくれた。


「・・・一応言っておくけど、変な所に入っていかないでよ? 今のこの環境でそんなことされたら多分収集つかなくなるんだから。」

「大丈夫。 そこまで私も出来ない。」


 それならいいんだが、体感バーチャルの武器が出し入れ出来る時代だ。 なにが起きても不思議じゃない。


 そんな事を考えながら掲示板を触る。 するとディスプレイが現れて、天体の説明をしてくれる。 天文学は専門外なのだが、こうやって見てる分には楽しく思える。 よく見てみると遠足中なのだろうか、園児達が引率の先生に連れられて星について色々と見ている。 ああいうのを見てるとちょっと和む。


「飛空様。 そろそろお時間だそうです。」


 お時間って・・・ あぁ、なんかやるんだったっけ。


 その場所に案内されると、なにかの劇場のような場所に入り、暗かったが辺りを見渡す。


 席は円を描くように配置されており、中央に球体の機械が備え付けられていた。 席に案内され座ると、ゆっくりと後方に倒れるように背もたれが動いていく。 リクライニングシートという奴だ。 この世界でも作られていたんだなぁ。 しかし自分の中で感動したのはそこではない。 円を描くように配置された座席、球体の装置、そして天文学者達の話とこの施設の売り・・・ この事から考えるにこの施設は・・・


 そう思っていると暗かった室内が更に暗くなり、そして球体装置が光輝きだす。


『本日はこの「星見観測機」にお越しいただきありがとうございます。 これからお見せしますは、様々な天文学者の話を元に、アスベルガルドの技術を持って投影出来るように作り上げた最高傑作をご覧頂きます。』


 ナレーションの人だろうか、そんな事を説明説明してくれる。 そして中央の球体装置が光だし、天井へとフルスクリーンで星空が映し出される。


「・・・この世界で見ることになるとは思わなかったなぁ。」


 そう、今俺が目の当たりにしているのはプラネタリウムそのものなのだ。 異世界では見ることがないと思っていたのに、ここに来て懐かしいものが見れるとは思わなかった。 プラネタリウムなんてホントに小さい頃に見たくらいだよな。


『皆様の住む星、盟星は直径12万km。 球体の形をしています。 銀河には様々な形の星があると言いますが、ここまで綺麗な球体になるためには、惑星と呼ばれる盟星と同じような星と星とのぶつかり合いにより、長い長い年月をかけてこの形になったと言われています。』


 この辺は地球と同じなんだな。 まあ地球と同じような環境だしな。 ありえないことは無いか。


『そんな盟星の夜空を見ると、様々な星の形をしたものが見えることでしょう。 それを一つ一つ見ていくことにしましょう。』


 それから説明されるのは名前こそ違えど、ほとんど地球で呼ばれる星座ばかりだった。 中には「え? そんな星座、地球にあったかなぁ?」と思わせるものもあったが、感動と懐かしさについ魅入ってしまった。


 1時間位の上映だったが外の光を浴びると目がやられるかと思うくらいの眩しさが襲いかかってきた。


「なんだか子供の頃に戻った気分になったな・・・」


 そんな事をポツリと言ったあとにイバラの方を見るとなんだか惚けていた。 そのまま歩き出すので、さすがに危険だと思い、


「イバラ? どうかした?」


 そう聞くとハッと我に返ってくれた。 アンドロイドだから表情が読みにくいんだよね。


「ごめん。 なんか感動しちゃってて。」

「・・・そうか。」


 楽しんでいたのならそれでいいのだが。


「楽しんで頂けましたか?」

「ええ、とても良いものをお造りになられたんですね。」

「そう言ってくれると冥利に尽きます。 ここにはテラスがありますので、そこで食事をした後、この街のもう1つの名所へと行きましょう。」


 そういうので俺達は階段を登り、街並みを一望出来る場所で食事を取り、(薄い肉をパンの間に挟んだケバブサンドのようなものだった。 その時のイバラは電子ゼリーの入ったチューブ容器で食事していた。 あれを見て頭のなかで「10秒チャージ」と思った俺は末期だろう。)プラネタリウムを後にして、次の目的地へと向かった。


「ここがもう1つの名スポット、「電子の海」です。」


 車を走らせて10分程の所のなんの変哲もない丘だったが、丘の下を見るとあちこちで電光掲示板が、まるでファイリングされているかのように綺麗に並んでいる。 こうやって綺麗に整列していると、確かにどこか不思議な感覚になる。


「この「電子の海」はここ数日で出来ました。 唐突に現れたので、学者の間でもかなり論議されています。」


 それは明らかにこの世界が電脳世界と繋がってしまったことによる影響だろうと考える。 今まで見えていなかったものが見えるという事がここまでの事になるとは想像をしていなかったが。


「しかしこの電光掲示板、なにが書いてあるかまでは見えないな。」

「我々が推測するに使わなくなった情報や、使っていた情報が処分されたものでは無いかという意見が多く上がっています。 近くで見に行こうにも道がありませんし、双眼鏡で見ようとしても奥の電光掲示板のせいで手前の内容が見えないという、なんとももどかしい現状になっています。」


 あらら、ならあれがほんとになんなのかまでは分からない訳だ。 まあ今は害がないようなのであまり気にしては無いようだ。

 少しの間見ていると空の色が茜色になっていた。


「もう少しで陽が沈みます。 この辺りはお世辞にも明るいとは言えなくなるので早急に「スローダイス」の方へ戻りましょう。」


 ボディガードの人にそう言われてしまっては仕方がない。 車に乗り込み、この景色を後にする。 いい景色だったんだけどなぁ。


 少し薄暗くなった頃、中央都市「コールルイス」は少し異様な光景だった。


「・・・こんなビル郡なのに明かりがほとんどない・・・」


 建物という建物に明かりが見受けられなかった。 高層ビルはもちろん、路肩の商店にもだ。 なんというか、街が眠っていると言えば表現はいいのだろうか?


「基本的にここで働く者は「コールルイス」を拠点としていません。 仕事も定時出勤、定時退勤が絶対条件なので。」


 わぉ。 なんというホワイト企業だらけなのでしょう。 いや家に帰ってもやるんだから、ある意味ブラックか。


「これから「スローダイス」の方に戻りますが、周りに注意をお願いします。 この時間帯になるとこの辺りは無法地帯と化すので。」


 警察はおろか防犯システムすら起動しないの? 昼と夜で雰囲気変わりすぎじゃね?


 一応注意を払いつつ、それっぽいのを見かけたら手のひらサイズの銃を現していたが、何事もなく「スローダイス」に帰ってこれた。 ここに着く頃にはもう陽は落ちていた。 まだ夕方くらいの時間だよね?


 駐車場から応接室に行き、そこでガリトス様に会う。 その姿はさながら研究者のような出で立ちだった。 というか統率者自らも携わるのか。


「ガリトス様。 ただいま戻りました。」


「・・・ん? おお。 無事戻ったか。 済まないな、出ていってからずっとこの体勢だったので少し、腰が、痛いぞ。」


 そう言って腰に手をやる統率者様。 お歳は召してるはずなんだけどなぁ。


「どうだったかな? 多分「レンドーマ」の方に行ってきたのだろう。 楽しめたかな?」

「ええ、とても良いものを見せてもらいましたよ。」

「そうかそうか。 それは良かった。 食事をうちのものに作らせよう。 そこで待っていなさい。」


 そう言われたので応接室の椅子に腰掛けた。 統率者様の食事か。 どんなのが出て来るだろうか?

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