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別世界で俺は体感バーチャルTPSの才能がとてもあるらしい。  作者: 風祭 風利
第15章 電脳が交じりあった世界
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第141節 目覚めとお風呂、統率者

「・・・ん・・・」


微睡みから目が覚める。 夢の内容を思い出せない。まあ最近という訳でも無いが夢の世界というか夢の中の空間に行くことが多かったからな。 夢なんてものはそんなもんだ。


「・・・って勝手に悟ってる場合じゃないや。 今何時だ?」


窓から覗く景色はまだ暗い。 寝たのは一応夜のはずだから夜中に起きてしまったのか? 自分の携帯を見てみると6時を示していた。


「でも一応時差はあるからなぁ。 1時間位前後の範囲はみておかないとな。」


この星の形がどんな形か知らないが、少なくとも球体なら前の世界と同じような感覚でいないといけない。 前の世界でも外国は行ったことないがな。


そして1つの疑問に気づく。 布団の膨らみ方がおかしい。 俺しか居ないはずのベットなら一人分しか膨らみが無いはずだ。


あれこれ可能性を考えるよりも真相を見た方が早い。 ある程度予想はつくが念の為だ。


頭の中で小型の銃を念じる。 すると掌よりも小さい、まるで玩具のような拳銃が右手の中に握られる。 自分が実際にやってみて初めて体験する感覚だ。 電脳世界の一部が現実世界に流れ込んだ話を聞いていなかったら本当のパニックだろう。


右手に銃を持ちながら、左手で布団の中を確認する。 そしてその正体を目の当たりにした。


体を丸くしたアンドロイド姿のイバラがとても気持ちよさそうに眠っていた。 分かっていたものの急にそんな風にされるとこちらとしても心臓に悪い。 しかしイバラは今まで肉体を持っていなかった電脳体だった。 こうして触れれるようになっただけでも、やってあげた甲斐があったと言うものだ。


「・・・んぅ・・・」


丸まっていた体を更に縮こませる。 アンドロイドなので寒さは感じないと思うのだが、体感をとり入れた体なら寒さも感じるだろう。 布団をそのまま優しく被せて、自分の状態を確認するために一度布団から出る。 程よく肌寒い感覚は目を覚ますには充分の寒さだ。


まず確認しなければいけないのは先程警戒するためにやった、「念ずる事」だ。 今は電脳世界の情報が現実世界にある。 つまり体感バーチャル世界の情報もあるということだ。


「自分の武装があるか分からんがな。」


まあ、それを確認するために今こうして起きてる訳だが。

まずは普通に念ずる。 先ほどと同じように掌サイズのハンドガンが出てきた。 これは大丈夫だ。 次に念ずるのは中型武器。 俺の相棒とも言えるブーメランチェイサーだ。 念じてからワンテンポ遅れたくらいにブーメランチェイサーが握られる。 なるほど、大きさによって時間がかかるのか。 情報処理と実物再現の為の時間かな?


ならばと思い今度はレールガンを出してみる。 こちらはそれなりに時間がかかった。 そして出てきた時の重量感が凄い。 これ両手で持っても撃てるか分からないな。持ち方を考えなければいけないな。


「う・・・ん・・・あれ・・・?」


声がしたので振り返るとイバラがムクリと起き上がっていた。 どうやら目が覚めたらしい。


「おはようイバラ。 よく眠れた?」

「おはよう飛空。 うん。グッスリ。」


そりゃ良かった。 時間があまり分からないがとりあえず朝食を・・・


「・・・飛空?」


動きの止まった俺にイバラから声がかけられる。


「悪い、ちょっとタオルを持っていく。」

「・・・ああ。 部屋で待ってた方がいい?」

「いや、SPさんがいるかもしれないから先に行っててくれ。 いたら後で来るって言っておいて。」


そう言ってイバラと一度別れる。 昨日から体を洗ってない事に気が付いてすぐにでも風呂に入りたかったのだ。


浴場の入口に付いて、更衣室で服を脱ぎ、そのまま浴室に入っていく。 体をお湯で軽く流した後、洗面台にいき、体を洗う。 そして一番近くにあった湯船に浸かる。


「・・・っ あーっ・・・」


湯船に浸かって変な声が出てしまった。 いやしかしこうして銭湯に入るなんてしばらく出来てなかったような感じがするので、悪くない。 湯船に浸かった後はひたすらに蕩けていった。


「すみません。 完全に入り浸ってしまっていました。」

「いえ大丈夫です。 まだ少し時間に余裕があるので、ゆっくりと今後の事を話せそうです。」


時間の感覚がまだいまいち掴めていないがそういうものならそういう事にしておこう。 時差ボケはまあ、慣れるまでは下手に合わせなくてもいいだろうな。


この国の朝は薄切りにした丸いパンにチーズ、野菜、ソーセージなどを挟んだハンバーガースタイルが主体のようだ。 昨日の繁華街からはそうは見えなかったんだけどな。


朝ごはんを食べ終え、俺達は宿泊施設を出て、ワゴン車に乗り、次の目的地へと向かった。


「この後すぐに統率者様の所にいきます。 少し遠いですので気分等が悪くなりましたら遠慮せずに言ってください。」


運転しながらこちらの様子を伺うSPの人・・・


「そう言えばまだ名前を聞いていませんでしたよね。」

「言われてみればそうですね。 申し遅れました。 私は羽生 裕佳(はにゅう ひろか)と申します。 今回限りかと思いますが、以後お見知り置きを。」


後方の俺達を見ながらSPの人、もとい裕佳さんは運転しながら礼をするという高度な事をしてくれた。


車が走ること30分。 最初に訪れた街とは別の街に到着した。 こちらも前の街と負けず劣らずの賑わいをしていた。


そんな中を走り続けて、大きくそびえ立つ1つの宮殿が見えてきた。 屋根の部分に玉ねぎのようなものがあり、前の世界でも外国で観光名所になっていた建物にそっくりだ。 名前は思い出せないが。


「着きました。 ここが機構国家アスベルガルドの中心。 スローダイスです。」


あの宮殿の名前だよな? そんな名前で大丈夫なのか?


宮殿の入口近くに来ると、ボディガードらしき人達がゲートの前に立っていた。


「申し訳ございませんが、ご要件をお伺いいたします。」

「私は曜務からの使者です。 統率者様との会合の為に来ました。」


そう裕佳さんが言うと、窓の向こうのボディガード達はトランシーバーで連絡を取る。少しした後、


「ご無礼を働いた事をお許しください。 それではどうぞ。」


そう言ってゲートが開けられる。 ご無礼をというがボディガードとしては当然の務めだと思うんだけどなぁ。


ワゴン車は噴水の周りを通り、入口へと近づく。 そして先に降ろされて、裕佳さんの乗ったワゴン車はボディガードの人に誘導されるようにどこかへと消えていってしまった。


「では曜務の使者様。 こちらへ。」


先に中へと案内された。 中に入ると広くもなく狭くもない位の大広間へと案内される。 上を見ると天井の代わりにステンドグラスがはめ込まれていた。 あの玉ねぎの部分もステンドグラスだったりするのかな?


「我が機構国家アスベルガルドへようこそ。 曜務の使者よ。 余がこの国の統率者、ガリトス・フェイサー・アスベルだ。」


唐突な声に前を向くと、銀髪でトランプのキングのような服を着た男性が現れた。 あの人が王様だろう。 隣にいるのは妃様だろうか? 王様の登場なので、膝をつき、礼儀正しく接する。


「初めまして、アスベルガルド統率者様。 私が曜務の使者 津雲 飛空と申します。」

「畏まらなくてもよい。 顔を上げてくれないか。」


そう言われて、顔をあげる。


「しかし、随分と若いのが使者になったのだな。 話は聞いていたのだが半信半疑だったからな。 ふーむ。」


どうしたのだろうか? なにか疑問に思う事があるのだろうか?


「ふむ、ここで立ち話もなんだから応接間に場所を移動しよう。 さあこちらに。」


そう言ってガリトス様の後ろをついて行く俺とイバラ、その後に裕佳さんも来れるよな?


「そう言えば一つ聞いてもよろしいですか?」


「なんだい?」


「ここの宮殿の名前についてなんですが、なんで「スローダイス」なんです?」


「あぁ、それは・・・余の武器のひとつでな。 武器の名前を付けて貰ったのだよ。 みんなに納得してもらうには時間がかかったがね。」


そうだったのか。 しかしそうなると気になってるのはその「スローダイス」だ。 お目にかかれる機会があるだろうか?

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