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別世界で俺は体感バーチャルTPSの才能がとてもあるらしい。  作者: 風祭 風利
第15章 電脳が交じりあった世界
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第139節 港町と解体ショー、変化の現れ

今回から新展開書いていきます。

本当はもうちょっと早めにやるつもりでしたが、2年目という事でここまで引き伸ばしてしまいました。

楽しみにしていた方長らくお待たせ致しました。

 ワゴン車に乗ってから1時間近くは経っただろうか? ワゴン車は止まることなく走り続けている。 周りの景色は色々と変わってはいるが、どこに行くのか検討も付かない。


「あの、申し訳無いんですけど、どこに向かってるか教えて貰えませんか?」

「そうですね。 これから向かう機構国家アスベルガルドはこの曜務からそれほど遠くは無い国です。 ですので、船を使って行くことになります。 今回はアスベルガルドまでの直通フェリーを利用します。」


 そう説明してくれるSPの人。 って事は今向かっているのは港って事か。 フェリーだから相当大きいんだろうな。


「船で行くなんて随分贅沢だと思うけれど?」

「逆に空の便が無くて不便という意見もあるようです。 しかし機構国家なだけあって繊細な物が沢山置いてあります。 ひとつでもバグを起こしてしまうともう取り返しがつかないのです。」

「そんな国家にこの状況・・・確かに不安になってきますね。」

「なので今回はほんとに国家としての機能を果たせているのかを確認するのが目的になっています。 同時に友好国として、更なる親睦を深めれれば良いのですが・・・」

「その辺も少し考えましょう。 生活は似てるって言っていましたので、多分困らないかと。」


 そんな感じでSPの人と仲良くする。 多分この人が大臣の次にお世話になりそうだし。


 そうこうしないうちに、港町につく。 おお、意外と賑わってるなぁ。 漁業ってここら辺盛んなのかな?


「このままフェリー乗り場に行きますが、時間が少しありますので港町を観光しに行きましょう。」


 そう言っているSPさんはどこかにこやかな表情をしていた。


「とても楽しみにしてそう。」

(わたくし)もこのような機会をなかなか貰えなかったので、私は私なりに楽しみなのです。」


 SPの人も大変なんだなぁ・・・ 人の苦労を感じながらフェリー乗り場までワゴン車は走っていった。


 ワゴン車から降りて、体を伸ばす。 んー、体が固くなってたなぁ。 体を伸ばしていると、横からイバラが前に現れる。


「飛空! あそこ! なにかやってるよ!」


 いつになくテンションが上がっているイバラ。 アンドロイドなのと目被り帽のせいで表情が見えないが、凄く興味をしていている物があるようだ。 その姿をみて微笑ましく思う。 表情筋の研究はまだまだなんだとか。 矢萩学校出身の柊曰く、


「表情を人間に近づけるには顔全体の動きを読み取らなきゃ行けないの。 その研究がなかなか進まなくて」との事。 いつか歌って踊れるアンドロイドでも作るのだろうか? 需要はあるとは思う。


 そんなことを思ったいるとイバラが走り出す。 それを追いかけて、1つの店の前につく。 人だかりで見えにくいがなにをやっているのかは分かった。 よく漁師町とかで行われる解体ショーのようだ。 新鮮一番なこういう所ではそういうのもまた一興なのだろう。


 解体ショーを行っているお兄ちゃんが豪快に鰹のような大魚をみるみるうちに捌いていく。 その豪快さにお客さんのボルテージも上がる。 15分としないうちに全て解体されて、部位毎に分けられている。


「さあさあ! 解体ショーはこれで終わりだけど、新鮮なこいつは早い者勝ちだよ! 買った買った!」


 そう言ってお兄ちゃんは切り身の一部を使い捨て手袋で持ち、そしてそのまま宙に投げる。 その後、どこからともなく包丁を取り出し、「一閃」といった感じで包丁を動かすと、塊だった部位は、刺身サイズになっていた。 うお! 凄いな! というよりさっきの包丁・・・


 お客さんが引いたところでお兄ちゃんに話しかける機会が出来たので、聞いてみることにする。


「あのー、すみません。」

「ん? どうした? 商品ならあっちに置いてあるぜ? 新鮮な内に買っていってくれや。」

「あ、それは後で買うのですが、それよりもさっきの解体ショーでの事なんですけど。」

「お! なんだい? 解体ショーに興味があるのか!? でも君みたいに体が非力だとちょっとなぁ・・・」


「あ、いえ その後の塊を刺身にした所なんですけれど。 包丁って今持ってませんよね? お兄さんの周りにも包丁を置くスペースなんて無いし、一体どこから出したんです?」


 こんな質問をしているが、俺はどこから出てきたかはもう分かっている。 そして俺の考えが正しければ・・・


「おお、あれか? いやなに不思議な事なんだけどよ。 数日前にいつものように解体ショーをやろうとした時に、解体用の包丁を裏に置いてきちまったことがあって、包丁が欲しいなって思った時に、握っていた手にいきなり現れてな? 解体ショーが終わったら手元から消えてたんだよ。 でも裏の包丁は元の場所にあったし、どういうことだと思うよ?」


 どうやら推測通りらしい。 早速影響が現れてるようだな。


「最近のニュースで世界が変わったって話、知っていますか?」

「ん? おお。 確か電脳世界がどうのこうのってやつか? でもあれって俺らには関係無くないか?」

「いや、多分影響出てますよ? 試しにもう一度出して貰えますか?」

「お? おお、良いけどよ。」


 そう言ってすんなりと包丁を出してくれた。 そして間近で見ようと思って渡してもらおうと思ったら目の前で「カチャン」という音と共に消えてしまった。


「一体どうなってんだ?」

「大丈夫ですよ。 どうやら持ち主以外には持てないし触れもしない様ですし、悪用していないのなら問題はないですよ。」

「あ、あんた一体?」

「僕は曜務学園に通っていて、今の現象についても知っています。 まあお兄さんが仕事で使う分にはなにも影響はありませんよ。」


 このお兄ちゃんなら悪用はまずしないだろう。 しかし現象については簡単に説明しておく。 それは電脳世界から現れた包丁である事、電脳世界の物質が現実世界に流れ込んでしまっていること、そして今回初めてそれを自分も実感した事。 お兄ちゃんは半信半疑といったような表情をしていたが納得してくれた。


「後、お兄さんの周りで同じような人が居たら言ってあげてください。 自分が本当に使いたい時以外には出さないようにと。 一歩間違えたら犯罪に繋がってしまうので。」

「あ、ああ。 ありがとうよ。」

「それじゃあ僕らはこれで・・・っとその前に。」


 話っぱなしで忘れていたが、サーモンのような切り身の所にいるイバラに声をかける。


「イバラ、それが食べたいのか?」

「私はアンドロイドだからこういうものは食べられないの。 でもこの切れ味が綺麗だから。」

「それは残念な話だよな。」

「仕方の無いこと。 適度にこの体が動くように電子ゼリーがあるから。」


 それ流動食ってことになるよな? 今度戻ってきたら食感だけでも分かるように固形のそれを考えてもらうか。


 そんな事を考えながら俺はそこにあった白身魚のフライのお弁当と寿司のように丸められたお米に魚を乗せたものが入ったタッパーを取って、お兄ちゃんに渡す。


「すみません、これ下さい。」

「ありがとうな。 ほれ、これサービスするよ。」

 そう言って先程解体ショーで切っていた鰹のような魚の切り身を刺身にしたものを入れてくれた。

「いいんだすか?」

「不安を解消してくれたお礼だよ。 これから長旅か? 頑張れよ。」


 そう言ってお金を渡して、軽く会釈をしてお店を後にした。


「すみません。 遅れました。」

「いえ、もう少し時間があるので大丈夫ですよ。 おや?」


「あ、どのくらいの距離になるかは分からなかったのでとりあえず腹ごしらえをと思いまして。 どっちにします?」

「そういう事でしたら私はこちらを貰います。」


 そう言って弁当の方を取っていった。


「そろそろ出航するそうなので、車の方にお乗り下さい。」


 そう言われたので車に乗り込む。 そして車は船内車庫に行く案内に従って進んでいき、無事船内に入った。 車から降りてそのまま上のブリッジの方に向かう。 そして船は港を出航した。 買ってきたご飯を食べようと思ったがふと飲み物を忘れた事に気づく。 しまった。 ついでに買えばよかった・・・


「はい飛空。 お茶で良かった?」


 そう言ってイバラがペットボトルのお茶をくれた。 流れで一緒に来ていたSPの人にも渡しに行く。


 いつの間に買ったのだろうか? まあでも有難い。 これから向かうアスベルガルドまでは少し長いそうなので、ゆっくりと海を眺めながらお寿司を食した。 うん、美味い。

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