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別世界で俺は体感バーチャルTPSの才能がとてもあるらしい。  作者: 風祭 風利
第14章 脅威は突然やってくる
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第124節 サソリとフグ、蜂

開けましておめでとうございます。

今年初投稿です。

去年から始まったこの投稿ですが、おかげさまでここまで書くことが出来ました。

今年度もよろしくお願いします。

「ほんとに便利よねぇ、その武器。」


 ロープリングを構えながらの俺に向かって志摩川先輩がそう口にする。


「ほんとになぁ。 拘束してしまったら足掻こうとしてこないし、めちゃくちゃ安全策ですよね。 会長。」


 隣にいる倉俣先輩も志摩川先輩の言い分に乗っかる。


 今は電脳世界。 夢在学院から貰ったタブレットを俺の武器、ロープリングを使って拘束をしたポイズンノイズに直接データを採取している。 拘束中であるため、データの採取が素晴らしく早い。


「これなら矢萩高校の言っていたサンプルは十分に取れそうね。」

「そうですね。 多分向こうも色々と試したいでしょうから多めに持って行ってあげましょう。」

「あら、随分と肩入れするのね。」

「別に敵対してる訳でもないし、ワクチンは多い方が得でしょ? イバラの事もありますし。」

「そうね。 その分私たちも頑張んないといけないけどね。」


 まあそれはそうなのだが。 今日の分が回収し終わったので、現実世界へ戻り、保管をしておく。


「これを次回のイバラの定期メンテナンスの時に持っていきますね。」

「分かったわ。 でも別にイバラちゃん1人に任せればいいんじゃない? メンテナンスついでに行ってもらえばいいんだし、その為に・・・」

「お言葉ですが志摩川会長。 彼女も我々曜務学園の1人です。 そのような言い方をされてはイバラちゃんが悲しみます。」


 志摩川先輩が言おうとしている所に夭沙が止めに入る。 言いたいことを察しての言葉だろうなと思った。


「そうね。 私も配慮が足りないようね。 ほんと、言葉のあやって難しい難しいわよね。」

「お前の場合は喋り方自体が勘違いされやすいんだ。 まずはそこからだろう?」


 志摩川先輩の言い分に幸坂先輩がツッコミを入れる。 こんな日がいつか壊れるのかと思う気持ちが募ってしまう。 あまり良くない傾向だ。 ポジティブに生きなければ。



 イバラの定期メンテナンスはもう少し先なのでまだしばらくは普通に授業を受けることになる。 午後は久しぶりの電脳世界での授業だ。 戦闘は解決法がまだ確率されていないため今回はメンテナンスとして電脳世界に入っている。 まあ本当に武器のメンテナンスを行っているのはほんの一部で、多いのは貯まっていたポイントを使いたい奴らが買い物をするくらいだ。 電脳世界が困難だってのによくそんなこと出来るよな。


「ああでもしないと気分転換出来ないんでしょ。 電脳世界では。」


 そう同意を求めてきたのは隣にいる海呂だった。 俺にはファッションセンスがないから分からないよ。


「緊急事態って事が分かってないのか、それを紛らわすためにやってるのか。」

「想いは、人それぞれです、から。 誰も彼もが、同じだとは、言えません、よ。」


 同じく武器のメンテナンスをしている紅梨と白羽がそんな事を言ってくる。 2人だって本当なら同じような気持ちのはずだ。 武器のメンテナンスなんかしてないで、電脳世界での楽しみ方をしたいだろうに。


「いいのよ。 「緊急事態の時に即座に動けないでなにが「備えあれば憂いなし」だ。」って父さんがよく言ってるわ。」

「最悪の場合の事を考えるのは、悪いことじゃない、って、お母さんも、言ってました。」


 なるほど。 2人には緊急時の心構えはあるということか。 そりゃ安心だな。 そんなこんなで調整をしていたそんな時。


「おい! みんな! なんかやべぇのが現れたぞ!」


 トレーニング室から出てきた男子クラスメイトがそう叫んだ。 メンテナンス組は即座に武器を構えてトレーニング室のドアを見る。 そこに居たのは、尻尾に針があり、鋏を持った全長5cm程のサソリのような生物だった。


「トレーニングしてたらいきなり現れたんだ! とにかく撃ってみたんだけど素早くってなかなか当たらないんだよ!」


 サソリとなってくると、小回りも利くし、何より速い。 奴を倒すのは一苦労だろう。 そしてこんな戦っていない時でもポイズンノイズは現れるのかと改めて実感した。


「ちょっと! 誰か来て!」


 こっちはこっちで買い物をしていたであろう女子が叫ぶ。 なんだなんだと振り返れば、女子の向こうには丸い球体が浮かんでいた。


「いや、球体じゃない・・・魚だ・・・。 魚が宙に浮いているんだ。」


 そんな事は有り得ないと思うがここは電脳世界、不思議な事でもない。 近づいてきて分かる。 目も口も丸みを帯びていて、上部が灰色、下部が白で、図鑑でしか見た事がないフグのような生物だった。


「なんだってこんな時に? 僕達戦ってないよね?」

「・・・・・・相手もやり方を変えてきたか・・・!」


 戦っている時はそれなりにみな臨戦態勢だ。 対応は容易い。 だが今のような気が抜けている状態では本来の力は発揮出来ないだろう。 実際先にサソリと戦っているクラスメイトは狙いが定まっていないのが分かる。


「とにかく攻撃だけは絶対に避けるなり撃つなりして迎撃しないと! コイツらの毒って死ぬ毒なんでしょ!?」


 こういう生物の最低知識はあるか。


「みんな! 落ち着いて対処するんだ! 今まで通り攻撃を避けつつ、相手を倒すんだ!」


 幸いにもどっちも1匹ずつなのが救いだ。 これなら囲って叩けば・・・


 ヴヴヴッ ヴッ ヴヴヴッ


 静かな空間に広がる謎の羽音。 しかも音からしてそれなりに大きい。


 ジッ ジジッ ヴヴヴッ ジッ ジジッ ヴヴヴッ


 ノイズと羽音が交じる不快な弟が空間中に広がる。


「な、なんです、か? いやな、音・・・」


 白羽が耳を塞ぎたくなるのも無理はない。 そのノイズは大きくなり、そしてその正体が姿を現す。


「・・・いよいよ相手も数を増やしてきたか・・・。」


 現れたのは蜂、しかも俺の見立てが間違っていなければ、オスのミツバチだ。 ここに巣はないが、攻撃をされれば反撃にだって出る。 その現状に青ざめる。


「だ、大丈夫だろ。 蜂って正確には毒で死ぬわけじゃないし。 あ、当たらなければいいんだよ! そうだろ?」


 クラスメイトの1人が鼓舞をするが、そいつ自身が空元気を起こしているので説得力がない。


「とにかく役割を決めよう! サソリに行くのは妨害部隊、サソリの動きを拘束してから戦ってくれ。 蜂は弾幕部隊で行こう! 数なら数だ! 残りはフグに行くんだ! これ以上被害は出せないぞ!」


 委員長がこういう時にちゃんと動けて助かったよ。 ホッとしながら、丁度拘束武器を持っていた俺は、サソリの相手をすることにした。


 サソリは確かに速いが毒があるのはその尾の先なので、近付かせない、もしくは近づかなければ相手はほぼ攻撃できない。 それが唯一の救いだ。


 その後サソリはとりもちやら氷やらシャボンやらで色々と拘束をされて、大分弱ってきた頃に、1人が弾丸でサソリの体を撃ち抜いた。 サソリは跡形もなく消えていった。


「ふぅ。 終わった・・・」

「おい、他の奴らの所に行こうぜ。」

「俺たちよりも苦戦してるかも。」


 そうサソリ迎撃部隊は足速に行ったが、どうやらどっちのチームも杞憂になったようだ。


「それにしてもなんでまた現れたんだ? しかも今までと違うぞ?」

「一気に3体出てきたよねぇ? しかもご丁寧に数を増やして。」

「一体何が起きているんだ?」


 みんながみんな疑問を持ち始めている。 電脳世界の侵食はどうやらかなり深刻な状態になってしまっているようだ。 早く矢萩高校の力を借りて、対策を作ってもらわないと。 後やつの行動にも。


「済まないみんな! 大丈夫だったか!?」


 そう駆け寄ってきたのはうちの担任、その他職員数名だった。


「大丈夫です。 みんなよくやってくれましたよ。」

「そうか、しかしこのままでは本当に電脳世界に入れることすら危うくなってきたな。」

「錦戸先生。 今回の件で生徒会はポイズンノイズのサンプルを採取しました。 これを矢萩高校へ持って行って、原因と抗体を作ってもらう予定なのですが、許可を頂けますか?」


 後ろから現れた錦戸先生に対し、まだ現状を伝えてない事を過ぎった俺は即座に提案をする。


「・・・そこまで進んでいたか・・・。 分かった。 校長先生に話を付けてみよう。 それは私が届けるか?」

「いえ、俺がイバラの定期メンテナンスの時に一緒に持っていきます。」

「分かった。 あのアンドロイドの子も君には特別な想いがあるようだからね。 信用している。」

「それはいいんですけど・・・あの・・・イバラの事、もしかして明石さんから聞きました?」


 錦戸先生が近づいてきたついでに会話の音量を落とす。 正直誰かに聞かれるのが最もやばい事だからだ。


「奴とは旧友でな。 それじゃ任せたぞ。」


 そう言って職員達の元に言ってしまう。 なんというか、俺の事って意外と枝木が伸びてる気がするんだよな。 ・・・現実世界でもうしろには後ろには気を付けよ・・・

この話は前々から書きたかったのですが、色々と先送りになっていました。

話の内容はあるのに先延ばしになるってよくあるんですよね(笑)

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