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別世界で俺は体感バーチャルTPSの才能がとてもあるらしい。  作者: 風祭 風利
第14章 脅威は突然やってくる
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第122節 工場跡地と罠、ドローン

「えー? 会長がこいつと戦うんすかぁ? なら俺が戦えば良かったぁ。」

「お前はこの前の彼の交流戦の時の戦いを見ていないのか? と言っても実際に私も目の当たりにしてる訳じゃないから実際には私もよく分かってなかったりするんだ。 だから夢在学院生徒会長として、君の戦いに興味が出た。 青天の言っている事が正しいのかどうかもね。」

「やっぱり青天と知り合いだったんですね。」

「奴が他人の武器に興味を持つなんて珍しい事もあるもんだと思ってね。 ふあぁ。」


 相変わらず眠たそうな五河先輩だが、こういう人こそ、行動が読めない。 今回の戦いは意外と苦難を強いられそうだ。


「目の色が変わったね。 君の闘志にスイッチでも入ったかな?」

「彼は何時でも本気よ。 あんまり油断かましてると、持ってかれるわよ?」


 特にそういう感じを出てたわけでは無かったが、勝手に雰囲気を作られたので、それに乗っかる。


「じゃあこれを持ってブリーフィングルームに入ってくれるかな。」


 五河先輩から厚紙を渡されて、ブリーフィングルームに入る。

「今回はこっちで行ってみるか。 さてどんな武器で来ることやら。」


 勝手ながら五河先輩の武装を予測する。 ブリーフィングルームからステージが変わった。 場所は廃工場が点々と並ぶ工場跡地。


 ドアが開いているため工場内でも戦えるようになっている。 その分見通しが悪かったり死角が多い。 フォークリフトや工場内のコンベアも死角になりやすい。


 ミニマップでお互いの初期位置を確認し、前進する。 目の前の大きな工場の中に迂闊に入らないようにドア近くの壁に張り付く。 いつもの4対4の時とは違い、無闇には建物の中には入れない。 ミニマップで確認をして、五河先輩が入ったようだ。 今回はこの中中心の立ち回りになりそうだ。 幸坂先輩と戦った時も確かこんな閉鎖空間だったっけ?


「感傷に浸ってる場合じゃないな。」


 そう言って俺も動く。 まずは銃口だけを器用にドアから建物内に突き出す。 発砲音無し・・・ 身体を半身出して中を確認する。 近くに来て様子を伺っているか、遠くから狙っているかそれは分からない。 なら中に入るか。 入って左側にあるフォークリフトの影に隠れる。 さてどう動いてくるか・・・


「随分と慎重に動くんだね君は。 警戒心が強いのはいい事だけど、それがむしろ仇となる事もある。」


 五河先輩の声がしたその瞬間「バシュッ」という音が工場内でいくつも聞こえてきた。 煙のようなものが見えたので毒ガスかと思い口を覆ったがどうやら違うようだ。 しかし視界が悪くなってしまっているのは変わらない。 外に出ることも考えたがドアから微妙に遠い。


「ならブーメランチェイサーの風切りを使ってこの煙を・・・!?」


「さすがに気が付くのが早いね。 だけどもう間に合わないよ。」


 その瞬間工場が爆発した。


 ――――――――――――――


「うっはぁ! 容赦ないや!」


 モニターではどちらかしか映せないため五河さんの方を映してもらっていた。 見ていた映像がまるで映画のラストシーンのようなとても大きな爆発を起こしていた。


「いやぁしかしこれは彼もどうにもならないんじゃないか? だって工場内から脱出した様子もないし。」

「どうやらお前には戦場を見る眼を持っていないようだな。」


 幸坂先輩が蓮叶に向かって言った台詞に曜務学園生徒会は全員頷く。


「どういう意味っすか。」


 あ、ちょっとムッとした。 でも事実だからなんにも言わないですけどね。


「確かに爆風には巻き込まれただろうが、直撃は全力で回避した。 見てみろ、もう五河と対峙している。 やつの危機感知能力には俺も驚かされるよ。」

「あら? 珍しいじゃない。 あんたが誰かを褒めるなんて。」

「奴とは一度戦った仲だ。 何度も同じことが出来る人間はそうはいないからな。」


 やっぱり飛空さんの戦い方は普通の人とはひと味違うみたいですね。 それでこそ、私が好きになった人です。


「でもまだ試合は始まったばかり。 どうなるかまだ分からないっすよ。」

「まあ、ここからどうなるか、見物だね。」


 志狼先輩が同じ様にモニターを見る。 飛空さん達は爆発を起こした工場の屋根の上、未だに睨み合いが続いている。 どっちが先に動くかな?


 ――――――――――――――――


「まさかなんの躊躇いもなく粉塵爆発を起こすとは。 あのまま前に進んでたら終わってたよ。」

「それを瞬時に捉えて、爆風を利用して出口に吹っ飛ぶとわね。 よくあれの中身が「小麦粉」だと分かったね?」

「煙が肌に触れた時の違和感でな。 煙だけなら肌に付くような感じにはならないからな。」

「いいねぇ。 今日は最高だよ。 今回の話、のんであげるよ。」


「「俺の武器の性能を知ってから」ですか?」


「おや、よく分かったね?」

「まあそのためにこの武器にしたようなものだから。」


 青天さんの言っていたことを鵜呑みにしている訳では無いが、そんな気はしたのだ。 知りたい事を追求したい気持ちは誰にだってあるんだからな。


「ならもう交渉は成立している。 後は・・・」

「俺の力量を知るのみ・・・ですか?」

「察しのいい子は好きだよ。 私は。」


 そんな会話のやり取りを終えて、仕切り直しを図る。 だが、距離を取ろうとした時に逆に五河先輩が詰め寄ってきた。


「君の武装は遠距離に強そうだ。 だからここで距離を離されるわけには行かない。」

「それは確かにいい判断ですが、近距離だって強いんですよ? 俺は!」


 近くに寄ってきた五河先輩をスパークガンで打ち込み、すかさずブーメランチェイサーで追撃しつつ距離を取る。 屋根の端付近に来た所で工場を降り、次に備える。 もしあの粉塵爆発が一連の武器の流れならあれを次に出すまでに相当の手間と時間がかかるはずだ。 あと場所も。 ならここの工場を使う場合は暫く時間を置くはずだ。


「追いかけるのは得意じゃないんだ。 だからこの子に任せるとするよ。」


 そう言って五河先輩が出してきたのは空中に浮く円盤だった。それには銃口が備わっていて、向こうから狙っているのが分かる。


「やっぱりこういう世界だとドローンは普通なんだな。」

「へぇ。 これの存在を知っているのかい。 でも君が知るようなものじゃ無いかもしれないよ?」


 その瞬間、銃口から弾が発射される。 避けられない速度ではないので回避行動をとる。


「こういうのはどうだい?」


 ドローンが回転したと思ったら今度は先ほどよりも口径の小さい銃口が現れて、先ほどよりも早く弾がとんできた。 見えにくいため、何発かは当たってしまった。 軽いとはいえ、これが致命傷にならなきゃいいが・・・


「ふむ、思ったより入らなかったね。 ならこれはどうかな?」


 ドローンがもう一度回転して、今度は最初よりも口径の大きくなった銃口が現れた。 おいおい、あれってマグナムぐらいの大きさがあるんじゃね? そう思った瞬間、「ドンッ」という音とともに地面に大きく穴が空いた。 認識が甘かったな。 ありゃ対人ライフルだな。 大きさもそれくらいになるだろうし。


 っとそんな事を考えてる訳じゃないな。 あんな物騒な物は壊すに限る。 狙いを定め、ブーメランチェイサーでドローンを破壊することにした。 さぁて避けるか?


 ドローンはその場で滞空したまま動かない。 むっ、壊してもいい武装だとは思うが性能が高いから壊れたらキツイんじゃないか?


 そう思ったのも束の間、ドローンはもう一度回転を加え、今度は前方展開シールドが出て、そのままブーメランチェイサーの刃は弾かれた。 やっぱりそう簡単には行かないか。


 ドローンは工場屋根裏へと入っていった。 ミニマップ上でも五河先輩が動いてないことから、ドローン操作中は行動出来ないと判断した。


 さて、3種類ある攻撃方法と前方展開シールド、 あの牙城を避けつつ、どうやって敵に近づくか。 まずはそこから考えていくか。 屋根裏から五河先輩が動いたのをミニマップで確認した後、俺も反対方向の倉庫の近くに張り付く。 このまま負ける訳にはいかないな。 ちょっと考えますかね。

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