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別世界で俺は体感バーチャルTPSの才能がとてもあるらしい。  作者: 風祭 風利
第14章 脅威は突然やってくる
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第120節 敵の正体と朝の考察、夢在学院

「・・・神に近しい存在?」

「私達もその犯人の所在地を知り、あなた達よりも先にその者の正体を知ることが出来ました。 そしてその者の存在を知り、慌ててこちらの神の世界の者に聞いてみたところ、そうだと言わざるを得証言が手に入りました。」


「ちょっ、ちょっと待ってください! じゃあなんですか!? 俺達の相手をするのは、神だとでも言うのですか!?」


 話を聞いた俺は一度女神様に問いただす。


 それが本当ならば俺達はこれ程にない相手と戦わなければならなくなる。 それはさすがに勘弁したいんですけど!


「大丈夫です。 その者は神の手から離れている、「従属神」となっているので、電脳世界でのあなた達よりちょっと強い程度です。」


 それを簡単に安心させられる要素だと思ったら大間違いでっせ?女神様。 結局神には変わりないんだから。


「その者はその従属していたものから離れて長い月日が経っています。 後1ヶ月もすればほとんど人間と同じようになります。 ちょっと他と能力に差がある程度だと思って下さい。」


 ・・・正直納得はいかないが、あれこれ考えるとダメな感じがするので、そういう事にしておこう。


「ならその犯人を捕まえるのも後1ヶ月は待てって事ですか?」

「我々としてもそれが適正判断だと信じています。」


 神としての力は無くなるとはいえ、どんな相手か分からない。 何をしてくるかは予想出来んな。


「というか何故それを俺に? いや、神は基本的に世界の均衡には干渉しないとはこの手の話してはよく聞きますけど。」


 マンガとか小説とかでの話ではあるが。


「それに関しては私達と落ち度と先程言われたように神が下界の民に干渉するのは出来ないのです。 1ヶ月経ってしまえば我々のルールに反する行為となってしまうので。」

「それもあるんですけど、俺じゃなくても、もっと伝えるべき人がいるでしょ? 例えば志摩川先輩とか、それこそ警察官の人間に語りかけるように話せば干渉にはならないはずでしょ?」


「存在を信じていない者や崇拝をしていない者に夢の中で「私は神です」と言われて信じると思いますか?」


 それを言われたらどうしようもない。 実際俺も最初は信じてなかったし。


「それに語りかければすぐに行動を起こしてしまうような者達では返り討ちにあって返って危険なのです。 なので、私という神の存在を知り、尚且つ即行動に移らないあなたに話したのですよ。」


 ほんとに最近思う事だが、その話し方は俺を信用してるのか分からない喋り方なんだよな。 自分で自分を疑っちゃうよ。


「まあ、とにかく場所は分かってるし、敵の存在も知れた。 後は互いの動き次第って所か。 なんか随分面倒な事に巻き込まれてる気がする。」

「もっと危険なものにならないように措置を施すのも神の役目ですから。」

「直接干渉出来ないのにな。」

「それは言わない約束ですよ?」


 はいはい。 しかし神頼みとはよく聞くが、神から頼まれる羽目になるとは夢にも思わなんだなぁ。


「ほんとにあなた達の身に危険が及んだ場合はこちらからも何かしらは起こすつもりなので。 そこは安心して下さい。」

「・・・それだとさっき言った「直接干渉しない」に反しません?」

「やむを得ない場合と付け足しておけば納得してくれますか?」


 そのやむを得ない場合にならなければいいんだけどな。 まあとにかく上手くやってくれって事なんだろう。


「それと私は前のようにあなたのヘッドホンとなって見守っていきますのでそこの所もよろしくお願いしますね?」


 また女神様と一緒に暮らすのか。 今度は逆の意味で慣れないかも。


「そろそろ朝ですね。 本日も良い一日を。」


 そう言って女神様はどんどん遠ざかり、瞼が重たくなり、視界が狭くなる。


 次に目を開けた時には寮の天井だった。 どうやら目が覚めたようだ。 しかし夢の中とはいえ衝撃的な話をされてしまった。 これほんとに俺一人でやらなきゃいけないのか?


「ほんとに飛空さん1人に頼ろうとは思ってはいません。」

「え?」


 どこからか女神様の声が聞こえた。 いやこの世界で人以外の姿で女神様が存在できる場所なんかひとつしかない。 ヘッドホンを手に取り、語りかける。


「女神様、俺1人に頼ろうとは思ってないとはどういう意味でしょうか?」


「そのままの意味ですよ。 これはあなた1人で解決出来る問題ではない。 ですが、あなたには信頼出来る仲間がいます。 その人たちの力を借りて、今回の事件に終止符を打ってくださればいいのです。 神々もそれを望んでいます。」


 そんな人をドラマとして見てる感じに言われても・・・ いや、実際そうなのか。 神様から見たら俺達ってテレビに映ってる俳優と同じなのか。


「前回と同じように私は基本的には喋らないのでそこは安心して下さいね?」


 まあ、今まで通りやればいいのか、その辺は。 とにかく今はやれるだけの事をやろう。



 女神様からの忠告を受けた次の日の昼。 俺達は夢在学院へ向かうため、バスに乗っている。 夢在学院は俺達の学校とあまり遠くにないので、アンチグラビティシステムを利用したタイヤを嵌めているバスでゆらり揺られているという訳だ。 片道2時間はかかるが・・・


「夢在学院とは交流戦以来なのよね。 でもどういう学校なのかまでは正直分からなかったからワクワクしているわ。」

「夢を現実にみたいなんがモットーの学校らしいですからね。 どんな取り組みをしているんですかね?」


 志摩川先輩と倉俣先輩はこれから訪れる学校に期待に胸を膨らませ、


「しかし、電脳世界のものを現実世界に持ってくることなど出来るのだろうか?」

「僕らの知らない技術を使うのかもね。 それならもしかしたら納得出来る部分があるかもよ? 彼らの視野に見えて、僕らに見えないなにかが。」


 幸坂先輩と志狼先輩は電脳世界のポイズンノイズの解決策の為のなにかを考えている。


「とにかく話し合って見るしかないですね。 出来る望みは薄いかもしれないですが、可能性が0では無いので。」


 そんな2人の会話に俺も入る。 ただ色々と考えているよりはこうして意見の述べ合いをした方がなにか分かるかもしれないからだ。 じっとしてるのがあまり好きじゃないのかもしれないってだけかもと思うけど。


「分かっている。 過程がなければ結果は生まれん。 出来るか出来ないかも我々にかかっているのもな。」


 幸坂先輩は吐き捨てるように言った。 腑に落ちてないのは誰だって分かっている事だが、認めたくないのは誰しも同じことなのだろう。


 バスを降りて10分、低めの建物が多く並んでいる中に一際目立つ高さの建物があった。 その建物こそ夢在講談県立学院そのものだった。


「はぁ・・・電脳世界だけの話なのかと思ったけど、現実世界でも夢の実現を充分行っているじゃない。」


 目の前の校舎・・・なのだろうか? それをみて志摩川先輩がそう述べる。 確かに周りの建物と比べると随分とその高さが強調されている。 6~7階くらいないか? 周りの建物は低い代わりに敷地が広いといった感じだろうか。


 話が通っているということで、正面玄関から入り、職員に話をして、来場者のネームプレートを首から下げて生徒会室に向かう。

 生徒会室に向かう間に色んな教室を見てみたが、生徒達はみんな机に向かってなにかを書くばかりで、授業を聞いているのか聞いていないのか分からないような授業の仕方をしていた。


「なんだか覇気がないように感じますね。」

「これがここのやり方なのかしら?」


 俺の率直な感想に志摩川先輩が答える。 そうだとするならかなり放任主義な学校だと思われてもなにも言い返せないんじゃないか?


「みな真面目に授業は受けていますよ。 ただ夢を見るもの達が多いので、どちらかと言えば電脳世界に入った方が生き生きとするんですよ。 お見苦しい所を見せたようで申し訳ございません。」


 正面から声がしたので、そちらを向くと、制服をかなり着崩していて、今にも眠たげな1人の女生徒が歩み寄ってきた。


「すぐにお出迎え出来なくてすみません曜務学園生徒会の皆様。 私は夢在講談県立学院生徒会長五河 阿莉佳(いつか ありか)と言います。 改めましてお話をお伺いしたいと思っておりました。」


 五河と呼ばれる女生徒は律儀にお辞儀をする。 するのだが、その様子があまりにもだらんとしているので、ほんとにお辞儀しているのか分からなかった。 夢在なだけにこんなんばっかじゃないよな?

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