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別世界で俺は体感バーチャルTPSの才能がとてもあるらしい。  作者: 風祭 風利
第14章 脅威は突然やってくる
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第119節 解読とコンタクト、女神の発言

「とりあえず解読は出来たようね。」


 あれからみな時間を掛けて送られてきたモーレス信号を解読していた。 2週間位かかってやっと全文章が終わったのだ。 なかなかモーレス信号は解けないものだ。


「全文やってると面倒だから、掻い摘んで読むわね。 「私が配属されたのは会社とは名ばかりの場所だった。 今私は今までやってきた修正する仕事と全くの逆の事をしている。」」


「逆の事ってぇ、なんのことでしょうぅ?」

「修正の逆なので、破壊する事なのでしょうか?」


 歌垣先輩の疑問に夭沙も同じような疑問をぶつけていく。


「続きを読むわね。 「私はとにかく破壊プログラムを作ってくれと言われて、その仕事をしなければ、給料を出さないと脅されている。 輝石の為にそれは出来ない。 ほんとはやりたくない仕事だが、仕方なくやっている。」」


「子供のために働く親・・・か。 複雑な心境やな」


 倉俣先輩は相変わらず悲痛な声を上げる。 輝石の境遇を聞いてからというものこんな調子なのだ。


「・・・続きを読むわよ。「あの仕事を率先してやる連中はもはや宗教的な配偶に基づいてやっているとしか思えない。 そうでないものは基本的に無理矢理異動をさせられたもの達だ。 彼らは信頼出来る。 少なくとも最初からその会社にいる連中よりは。」」


「どうやら会社自体がきな臭いものとなったな。」

「というかこれ、下手をすれば警察介入の理由にもなりますよ。」


 幸坂先輩と志狼先輩はこの人達の境遇に助けられる見込みを考えてあるようだ。


「「彼らは虚像の世界の破壊を企んでいるようだ。 破壊プログラムを曜務学園のネットワークにハッキングして投入して、内部から破壊すると言っていた。 それが成功すればもっと広められる、と。」」


「私たちの学校は土台って事ですか。」

「ゆ、許さないわ! こ、この学校を、こ、コケにして。」


 夭沙と夕暗先輩はこの学校の事を馬鹿にされた事に腹を立てているようだ。 2人でなくても怒りたい気持ちは分かる。


「「私がいるのは荒島工業跡地あらしまこうぎょうあとちの一角の建物だ。 助けに来てくれとは言わない。 せめてもう一度元気なお前の姿がみたい。 我が息子、輝石へ。」」


 そこまで読み終えて、志摩川先輩はため息をつく。 そして一拍置いた後に、


「さて諸君。 ここまでコケにされているんだ。 これは我々の学校への宣戦布告と私は受け取るが、どう思う?」


 志摩川先輩が俺達に目を向ける。 そんなもの決まっている。


「場所まで把握してるんです。 やってやりましょうよ! 徹底的に!」

「津雲の言う通りです! 人を無理矢理働かせて自分たちの理想を掲げるなんて虫唾が走りますわ!」

「こ、この生徒会に、は、入って、は、初めて怒りを覚えました! わ、私に迷いはありません!」

「ふんぞり返ってるその鼻を折ってやる。 例え世界を敵に回そうとな。」

「僕らだって仏じゃない。 それを教えてやりましょうよ。」

「みんながぁ、怯える姿なんてぇ、見たくありません。 平和を取り戻すのはぁ、私達ですぅ。」

「教えてやりましょう。 どこに喧嘩を吹っかけたのか。」


 みなそれぞれ違うが、もうその会社に対して慈悲はなかった。


「ふっ。 決定ね。 警察官になる前のひと仕事ってところかしら? やるわよ! 私達も!」


 その一言で生徒会メンバーは一致団結した。


「一段落したところで、お前達に報告がある。」


 声のする方、つまり出入口の方を向くとそこには錦戸先生が立っていた。


「いらしていたんですか? すみません。気が付かなくて。」

「気にしないで津雲君。 あなた達がなにかを成し遂げようと息を合わしている中、そこに入るのは野暮な事くらい分かっているわ。」

「そうそう。 だから気にしたら負けよ。飛空君。」

「君はもう少しこちらの気持ちを分かって欲しいものだよ。」


 やれやれと言った様子で錦戸先生が志摩川先輩を見る。


「それでご報告とはなんですか?」


 幸坂先輩は先程錦戸先生が言った「報告」の件が気になっているようだ。 錦戸先生はその為に来たのだ。 無下にするのはおかしいよな。


「ああ、君達が取りたがっていた夢在学院とのコンタクトが取れたよ。 それに今作っているものがもしかしたら君達が望むものかもしれないとも向こうの人が言っていたよ。」


 夢在学院、電脳世界を夢の世界のように捉え、現実では出来ないことを行うのがモットーの学院なのだ。


「向こうとは日程も設定してある。 向こうの生徒会のメンバーと事の話をしてもらい、協力を申請してくれ。 節操のないようにな。」


 錦戸先生は俺達生徒会メンバー、もとい志摩川先輩をみてそう言った。


「あら、信用がないですね、先生? 大丈夫ですよ。 やることはやってきますから。」

「・・・まあそれだけの実力があるから何も言わないさ。 それで、次期生徒会長と副生徒会長は決まっているのかい?」


「副生徒会長の方は歌垣にしようと思います。 俺とは違う視点から生徒を見てくれると思っています。」

「生徒会長は倉俣君にすると決めたわ。 実力は私が保証するわ。 私たちが卒業した後は頼んだわよ。」


 名指しされた倉俣先輩と歌垣先輩は一層険しい顔になった。 歌垣先輩の方はほんとにそうなっているか分からないが。


「任して下さい、先輩方! 先輩達の意思はしっかりと継がせてもらいます!」

「私もぉ、副生徒会長に選ばれたからにはぁ。 しっかりとぉ、やっていきたいですぅ。」

「わ、私も2人のサポートをします。 な、なので先輩達の、し、心配には及びませんよ。」


 先輩方の話も程々に、今日は解散となった。 今回の事でモーレス信号の解読が出来たのはとても大きい。 場所は分かった。 今度はこちらが反撃する番だ!



 その日の夜、夭沙を含めて鮎と桃野姉妹、海呂、輝己、啓人というメンバーで、今回の生徒会での話も交えて、夕飯を食べていた。


「大分大事になってるような気がするんだけど、大丈夫なの?」


 海呂は心配そうに俺達に語りかけてくる。 言いたいことは分からんでもないが。


「俺は大丈夫やと思うで? 別にほんとに生徒会だけで乗り込むんやないんやろ?」


 逆に輝己は心配していないようだ。 場所まで分かっててSOSサインがあるんだ。 探偵団じゃないので危険を冒しすぎるような真似はしない。


「じゃあ生徒会としての仕事はここで終わり?」

「いえ、犯人は警察の人に捕まえてもらいますが、私達も仕事は残っています。 まだ電脳世界は万全ではありません。 なので他の学校の力を借りて、電脳世界を元の状態に戻すのが私達が出来る仕事です。」


 鮎の質問に対して夭沙が答える。


「なんだ。 別に仕事が無くなった訳ではないのね。」

「そんな所だ。 まあこっちの仕事も一筋縄じゃないけどな。」


 いつ終わるかも分からない収拾を付けなければいけないんだ。 ほんとにこんな事をしたやつはほんとに許さん。


「俺らもなにか手伝えることはないんか?」

「そうだなぁ。 でもまだなにも出来ないなぁ。 夢在学院との共同がまだ行われてないし、今は授業内で現れてるポイズンノイズの駆除だけをやってくれよな。」


 課題はかなり多く、解決できるかも分からない。 だけどいつかケリは付けるつもりだ。 なるべくなら在学中には終わらせたいが。


「私達は、どんな時でも、力になりますよ? 困った時は、言ってください、ね。」


 白羽がニッコリと笑ってくれる。 あまり気は進まないが、協力をすることになるかもしれないな。



 その後直ぐに夕飯を食べ終わり、風呂にも入り、その後会話をした後、静かに眠りにつく。


 妙な違和感を覚えたので目を開ける。 するとそこは俺が最初にこの世界に来る前に訪れた場所。 つまりは夢の中だ。


「・・・なんで今更ここに来るんだ?」

「それは飛空さんに重要な事を伝えに来たからです。」


 振り返ると俺をこの世界に連れてきた転移女神様。 ここ半年近く見ていなかったが、お変わりなく元気・・・では無かった。


「なんです? 伝えなければならないことって?」

「今回の事件の主犯なのですが。 実はその者は我々と同じ、神に近しい存在のものなのです。」

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