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別世界で俺は体感バーチャルTPSの才能がとてもあるらしい。  作者: 風祭 風利
第12章 曜務電脳統合学園文化祭
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第97節 一大イベントと副将戦、口説き

「レディース!エンド!ジェントルメン! 今宵始まりますは、今季文化祭の一大イベント! 普通の高校では中々教えてくれない、電脳世界に入れる特別企画だぁ!」


 高花先輩の解説と共にみんな「わぁー!」と歓声が上がる。 今回企画提案者は俺。 前に行った交流会の件を参考に、学業として取り入れている学校は多くはないと知り、ならば少しでも多くの人に電脳世界を体感させてみようではないか。 良ければ訓練用の電脳世界で使われる銃で対戦してみてもいいんじゃないかと考えたのだ。 もちろん我々の学校が進んでいるだけで、決して他の学校が気遅れしている訳では無いとだけは伝えておく。


「ではまず皆さんが持っているそのバイザーと配られました棒を・・・」


 高花先輩が俺達が入学してきた時のように来場者に説明をしていく。


「今回のあなたの案、成功なんじゃない?」

「そうだな。 これで我々の学校が何をしているかもわかって貰えるし、今後の教育方針も変わっていく事だろう。」


 後ろでスタンバイしている志摩川先輩も幸坂先輩もこのイベントに納得しているようだ。 良かった。


 ステージの向こうから歓喜の声が聞こえる。 しかしこう、やってる人間は分からないけど、第三者から見てみると、何をしてるんだろ状態になってるなぁ。 不特定多数の人がバイザーとサイリウムもどきをひっちゃかめっちゃかに振ってたりするんだもんな。 一種の宗教団体とも思えるな。 傍から見たら。


「では皆さんに慣れてもらった所で、いよいよ皆さんお待ちかね! 我々曜務電脳統合学園生徒とのエキシビションマッチを開催致します! 今回は我々生徒側も皆さんと同じ訓練用の武器を使いますので、実力差はないと考えてもらって大丈夫です。 ちなみに連勝をする事に実力に伴ってこちらも実力の高い生徒を用意致しますので、是非連勝目指して頑張って下さいね。 それではまずは・・・」


 そう言って来場者と生徒のエキシビションマッチは始まった。 このエキシビションマッチ、対戦相手の年齢によって対戦相手が変わっている。 対戦相手の4人を似たり寄ったりの年齢に固めてそれに合わせてこちらの生徒の強さも変わっている。 小学生まで、中学生、高校生、大学生、大人と分かれている。 そして3連勝をすると、生徒チームの戦闘メンバーは固定される。 そこでさらに勝つと俺を含めた「生徒会チーム」と戦えるのだ。 ちなみに「生徒会チーム」は俺、志摩川先輩、幸坂先輩、倉俣先輩である。


 訓練用の武器を使うと言っても種類は豊富なため、仮にもう一度当たってしまっても、飽きのないようにも配慮してある。 武器構成的には、小中学生はオーソドックスな物が多い。 安定して使うことが出来るため、対戦相手に接戦まで持ち込める。 だが精々2連勝止まりが多く、3連勝出来る即席チームは今のところ見ていない。 逆に高校生以上になってくると、バランスを考えてか、好奇心からか、少し突発的な武器を持った人が現れるが、扱いにくさに四苦八苦をしているようだ。 なかなか3連勝は高校生以上でも難しいようだ。


「こうやって並行的に対戦を見ることなんて今まで出来なかったものね。 円商学園と級頼学校の技術班には感謝しないとね。」


 そう。 これを行ったもうひとつの目的として、「複数の試合を行い、それを観戦することが出来るか?」という志摩川先輩の一言により約1ヶ月を費やして級頼学校と円商学園の全面協力のもと出来たものである。 これにより、大規模にすることなく複数試合を行えるということになるのだ。


「しかし、試作段階なのによくやりましたね? 普通もう少し検証実験してからだと思うのですが。」

「そこも今回の狙いよ。 試作なら試作らしく正しく運用出来ようが出来まいが、それで損をすることなんて一切ないの。次に繋げるためのステップは、みんなで一緒にやるものよ。」


 随分大所帯を巻き込んだ話だな。 しかし今の所は運用に支障ないのでこのまま見守り続ける。 そんなことを考えていると、大学生チームのところが3連勝を成し遂げていた。 お、いよいよそこまで来たか。


 ここで大学生チームのモニターが暗くなる。 これには訳があり、4戦目、5戦目は緊張感を味わってもらうためにいつものモニターのスタイル、全体と個人、両方見えるスタイルに戻すのだ。 そのため全ての試合が1度区切りを付けるまでは試合は始めないようにしているのだ。


「いよいよわいらの出番やな。」

「どんな相手でも負けないわよ!」

「皆さんの足を引っ張らないように頑張りますわ。」

「副将戦は任せてよ。」


 今回4戦目として投入したメンバーは輝己、糸門先輩、寅居、そして海呂だ。 近距離、遠距離どちらにもバランスの取れたメンバーを揃えてきたと思っている。


「お、終わったみたいやな。 ほな行ってくるわ。」

「手加減はしなくても大丈夫よ。 負けるなら本気でぶつかって負けてきなさい? 会長からの命令よ。」

「了解です! 会長!」


 この志摩川先輩が会長としてやっていけてる理由が分かったような気がした。


「さあ、私達も準備はしておきましょう? 飛空君が選んだメンバーですもの、ただでは負けないでしょ?」


 それはそうだ。彼らを選んだ理由は俺にはない戦闘スタイルを彼らは持っている。 それ故に特化させたら俺でも勝てない。 そういうメンバーにしてきた。


 早速今までの戦い方では無くなっているので困惑を極めているようだ。 戦況に応じて動きを変えなければ格上の相手には勝てないぞ。


「これは私たちの出番は無いわね。 彼ら、強いじゃない。」

「俺も伊達にここの生徒と戦ってませんので。」


 そんなこんなで最初の4戦目は大学生チームの連携が崩されたことによる乱れにより生徒チームの勝利となった。 大学生チームは悔しがってはいたものの、自分達の連携は悪くなかった。 ただ一個人として強みを生かしきれていなかったという、生徒チームの指摘を受けて、再挑戦のために枠組の中に入っていった。 それを受けた他の部門の人達もより一層やる気を見せ、3連勝のために必死になっていった。


「熱気が凄いことになってきたわね。 多分だけど、大人部門の何人かは別の学校の教師だと睨んだわ。 小中高大問わずにね。」


 バーチャルリアリティを学業に取り入れてみたい、だが実際はどうやるのか分からない、ならばこれに乗っからない手はない。そんな所だろうか? でもどこもかしこもバーチャルリアリティを学業にしたら緊張感無くなりそうだな。


 そんなことを考えていたら、3連勝を成し遂げたチームが現れたようだ。 今度は高校生部門か。


「強かったけれどまだまだね。 あたいと対等に戦えるやつは居ないのかい?」


 青髪でショートカットの女生徒が高らかに言う。 威勢がいいな。 どこの高校だろう? その声に「姉御、素敵です!」と声が上がった。 どうやら同じ高校の女生徒のようだ。 応援だろうか?


「なかなかに強そうやないか。 ああいうの、嫌いやないで。」


 輝己もどこかやる気が満々だ。この試合は見ものだな。


 本日2回目の4試合目が始まった。 相手チームが高校生だからだろうか、かなり柔軟に動き回っている。 その中でも先程「姉御」と呼ばれていた女生徒を筆頭にかなりいい動きをしていた。


 そんな状態が少し続き、輝己と「姉御」の一騎打ちになった。 お互いに誰か1人でも落ちたら負けの状態で、それぞれが一騎打ちを始める。


 モニター別で見てみると、やはりと言っていいだろう。 輝己と「姉御」はほんとにいい勝負をしていた。 お互いに一歩も譲らない攻防戦をしていた。 モニター越しでなにか話しているようだが、生憎と音声までは聞き取れない。


 するとそのモニターに映っている2人の動きが急にぎこちなくなった。 あれ? どうしたんだ?


 そんなことをしながらも試合は続けられるが、2人して当たるものが当たらなくなっていた。 あ、なんとか輝己が当てて試合が終わったみたいだ。戻ってきた本人に聞いてみよう。


「おい輝己、彼女と何があったんだ?」

「あー、いやぁー、そのー、なー。」

「最初はお互いに強いって事でやり合っていたんだけど、輝己の「よう見るとエラいべっぴんさんやなぁ。」の一言で相手の娘が動けなくなっちゃって、向こうも向こうで「あんたみたいな強くて顔がイケてるやつ初めてあったかも。」って言葉に意識しちゃって、後はモニターを見てた通り。」

「おい! 海呂! 言うなや、そない恥ずかしい事を。」


 なるほど、モニター越しに口を動かしていたなとは思ってはいたがまさかそんな裏があったとは。 というかエキシビションマッチ中に口説いてんじゃないよ。


 そんなこともあったが、また少ししたら3連勝の人が現れた。 輝己も調子を取り戻したようで、なんとか戦いに挑んでいた。

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