プロローグ 通告と理由、転移
新たに小説を書きました。 今度は異世界転移ものですので多少は楽しめるかと
「あなたはこの世界では生きづらいでしょう。 なのであなたを別世界に連れて行ってあげましょう。」
・・・・・さて、いきなり何を言っているのだろうか。目の前の天使? 女神?様は。
「そうですね。 まずは説明からいたしましょうか。津雲 飛空さん。」
「・・・・・・まず俺は自室で寝ていた。で、誰かに呼ばれた気がしたから目を覚ましたら、あなた様がいた。そしてあなた様は別世界へ連れていくを言った。」
「間違いは一つもありません。」
「では質問をしていこう。1つ目、今のこの空間はどこだい? まさか天国?」
「いえ ここは夢の世界。 あなたの夢に干渉しているのです。」
「では2つ目、あなた様は俺を別世界へ連れて行くと言ったが、俺の体はどうなる? 肉体ごと連れて行くんだろ?」
「正確には今夢の中にいるあなたの精神体を連れて行くだけです。肉体はあなたの世界に残します。」
「え? それじゃあ元の世界の俺の肉体はただの屍になるの?」
「いえ、あなたを別世界に連れて行くときに、先ほど説明しました、あなたの精神体と同じ精神体を複製して、それをあなたの体内に入れます。つまり「元の世界の津雲 飛空さん」と、「別世界の津雲 飛空」さんが存在することになるわけです。」
別世界の俺は「生成」に対して元の世界の俺は「複製」なんだな。
「じゃぁ最後の質問。別世界ってどんな世界だ?」
最も気になっているのがその部分だった。ワクワクの反面、不安は当然取り除けない訳でありまして。
危険な世界に放り込まれようものなら即刻リタイアさせてもらう。
「あなたが行く別世界は「体感バーチャルTPSのある世界」です。」
・・・・・・・・・・・いまいちピンと来ていないが、バーチャルがあるという世界なら近未来的な世界観なのかな?
「一応聞くけど、危険はない?」
「あなたにはその世界の「高校」に通ってもらう手筈なので、よっぽどの事が無ければ、危険は絶対にありません。」
そのよっぽどの方が気になるんだよ。
「これから行ってもらう世界の事はわたくしが説明を随時していこうと思いますので、ご安心を。 では早速あなたを別世界へ・・・・・・・」
「待ってくれ。行く前にまだ質問がしたい。」
そういうと目の前の人物は転生行為をやめてくれた。
「すみません。あなたの意思を尊重せずに送ろうとしてしまいました。 では質問を。」
「・・・・・・・・・・・なんで俺を選んだんです・・・・・・・・?」
そう、重要なのはそこなのだ。
何の変哲もない、今年から高校生になる津雲 飛空15歳 何をどうしたら選ばれた事になる?
「先程も申し上げましたように、貴方様の才能は今いる世界では、とてもじゃないですが使い物になりません。 いえ正確には使えば非人道的になってしまいます。 ですので貴方様の才能を遺憾無く発揮できる世界へ送って、幸せになってもらおうと思いまして。」
非人道的になる才能ってなんなんだろ? その世界に行けば分かるのかな?
「・・・・納得は今は出来ないけど、神様がそこまで言うなら別世界に行くよ。」
「ありがとうございます。 これで断られたらどうしようかと。」
なんかホッとしているが、まあいいだろう。
「では最後に、別世界に行く前に貴方様の能力を少し上げておきましょう。 例えるならある能力のステータスをCからBに上げる程度ですね。」
転生(正確には生成か)をするからには能力の底上げかと思ったが違うのか。
「能力の底上げなんてしてしまったら貴方様が面白く無くなりますし、何より向こうの世界で使える才能を殺しかねないので。」
心を読んだのか、表情で分かったのかは知らないが、ごもっともな意見だった。 なにが悲しくてチート剥き出しにならなきゃいかんのかね。
「さて、能力も上げたので最後に・・・・」
女神様の全体が淡い光に包まれて、眩しくて目を開けていられなかったが、目を開けた次の時には目の前に青いヘッドホンが落ちていた。
「飛空さん。」
ヘッドホンが喋った!? ということはこれ神様の変身体!?
「しばらくの間はこのヘッドホンから私が飛空さんの向こう側での生活をサポートします。 他の人が付けても私の声は聞こえなくなっていますので、安心して使ってください。 もちろん普通のヘッドホンとしても運用出来ますので。」
このヘッドホンから毎回あの神様の声がするってどうなんだろ? ムズ痒くなりそう。 耳に掛けなくても聞こえる声量なので、首にかけておくことにしておく。 おぉ意外とオシャレなデザインだな。
「大変長くなってしまいましたが、これから別世界へと貴方をお送りします。 眩しくしますので目を瞑っていてください。」
言われるがままに目を瞑る。
・・・・なんだかこの時間が長く感じてしまう。
「もう目を開けても良いですよ。」
目を開けるとまず目に飛び込んできたのは高校の校門だった。そして上を見上げると、大きな校舎が目に入ってきた。
「ようこそ津雲 飛空さん。 ここが別世界「盟星 曜務」と呼ばれる場所となります。」
前までいた世界となんら変わらないが、何かが明らかに違う。
そういう第一印象だった。