チャプター3 お前はまだサツイを知らない クロ探し裁判編(3)春日春日の推測
春日さんは目を閉じて考え込んでいたようだが、すぐさま考えがまとまったようで、目を閉じてこちらをじっと睨みつけているようであった。
カスガ・ハルヒ「……考えがまとまりました。今から少しばかり、面倒ではありますが、私の根拠について話させていただきましょう。
"平和島望海が自殺した"と思う根拠について」
☆==Basis for Nozomi Heiwajima committed suicide==☆
カスガ・ハルヒ「まず、前提条件について話しましょう。後で無意味なヒーローさんとかに攻められたら、困りますので」
そう言って彼女は背中のリュックサックから、大きなスケッチブックを取り出した。
そのスケッチブックの端にはなんとも芸術家っぽいような文字で、《倉中りぼん》という文字が刻まれていた。
スズキ・シーサー「それ、倉中さん?」
ナカヨシダ・サユリ「にゃにゃにゃっ?! それはわたくし様の教え子のりぼんちゃんのスケッチブック?!」
カスガ・ハルヒ「必要となってくるモノは手に入れておく、それが戦場での掟って奴です」
……どんな掟、なんだろう?
それを聞く前に、淡々とした様子で春日さんがスケッチブックを捲っていく。
カスガ・ハルヒ「まず登場人物、というか平和島望海さんが死んでしまった《昆虫の部屋》に居た人物について。そこに居たのは死んでしまった平和島望海さんを除くと、3人です」
スケッチブックには、一番上にバツマークで平和島望海さんの名前が消されており、その下に3人の名前が書き連ねてあった。
【・久能環
・中吉田さゆり
・橋渡恋歌】
なんだか、すっごい悪意がありそうな感じで、ルビが書かれているんだが……。
クノ・タマキ「引きコモリ女……」
じーっと、ちょっとばかり落ち込んだ様子で俯く久能さん。
ナカヨシダ・サユリ「にゃにゃっ?! わっ、わたくし様は猫なんて被ってないにゃんよぉ!」
猫口調を残したまま、猫かぶりを否定する中吉田さん。
ハシワタリ・レンカ「……いや、なんかこう♡ アレですねぇ♡ ここまで露骨な感じで罵られると……逆に……こっ、うっ、ふっ、んっ♡ しますねぇ♡」
‐‐‐‐何故か逆に嬉しそうな様子の、橋渡さん。
いや、何故お前は興奮してるんだよ。
カスガ・ハルヒ「殺された平和島さん以外で殺せる可能性があるとしたら、この3人の誰かでしょう。
まっ、それでもこの3人に犯行は不可能でしょう。久能さんは人殺しできそうな性格ではございませんし、中吉田さんは平和島さんのせいで喘いでろくに行動できない状態。唯一、殺人ができそうな可能性があるとしましたら、橋渡さんでしょうか。まっ、今回の殺人方法だとそれが限りなくゼロに近いんですが」
今回の平和島望海さんの、死因、か……。
確か、平和島さんは毒殺、でしたか。
カスガ・ハルヒ「毒殺ってのは、他の殺人方法よりも圧倒的に自殺に使われる事が多いです。なにせ、毒さえ用意したら後は飲むだけで人生終わり、ばぁいばぁいなんですから。
‐‐‐‐今回はカップに毒を塗ったタイプだったんですが、それだからこそ彼女が自殺したと思った訳です」
ユキワリ・キョウヘイ「(彼女はカップに毒を塗った訳か。ならば、犯人は----)」
カップに毒を塗った、というわけになる。
それならば、犯人は誰が取るか分からないカップに毒を塗って、平和島さんを狙ったということになる、のか。
クノ・タマキ「うゥ、あれは本当に甘カッタデスよ……」
久能さんはコーヒーの甘さを思い返したのか、本当に苦そうな顔でこちらを見ていた。
カスガ・ハルヒ「これが誰でも良いのなら、"誰かがカップに毒を塗った"で終わるんですけど、コレがありましたので」
と、春日さんは今度は手紙のようなモノを取り出す。そしてそれを御剣さんに渡していた。
ミツルギ・ヒイロ「……ん? 俺に渡す、のか?」
カスガ・ハルヒ「……あなたのことは嫌いですが、それでも嘘をつかないことに関しては信頼、してますので」
それを聞いて、御剣さんは嬉しそうな様子で、涙ぐんだ様子で手紙の封を切り始める。
ミツルギ・ヒイロ「その信頼は嬉しいな、うん。ありがとう、春日。ぜひ、読ませてもらおう。
えっと……なになに? 【ミーこと平和島望海はショコラを殺してしまったことを反省し、潔く自殺を】って、コレ?!」
ヤマト・アユム「……?! その手紙、遺書?!」
タカナシ・アカリ「‐‐‐‐どこで、それを?」
小鳥遊さんに言われ、春日さんは「テーブルの上に」とそう答えた。
カスガ・ハルヒ「平和島さんの死体に隠れるようにして、テーブルの上に置かれていました。これがあるからこそ、毒殺であったからこそ、私は自殺だと思った訳です。
それにカップも4つあって、そのうちの1つしか毒が塗られていないので犯人だと----」
タカナシ・アカリ「ちょっと待ってください」
と、小鳥遊さんが春日さんの反応に対して異を唱える。
先ほど春日さんがしたように、目を閉じて、何かを考えているようである。
タカナシ・アカリ「1つしかカップに毒が塗られていない……それは本当、ですか?」
カスガ・ハルヒ「……? はい、可能性は全て潰そうと思いまして。一応、カップの方も全て調べまして」
と、スケッチブックを捲って、彼女はなにかの表みたいなモノを出す。
【平和島望海ー毒ありーカエル
久能環ー毒なしートンボ
中吉田さゆりー毒なしーチョウチョ
橋渡恋歌ー毒なしーミツバチ】
カスガ・ハルヒ「一応、調査は大事なので」
ヤマト・アユム「すっごいね……と、思うよ」
トキワギ・トオカ「ハルヒッチ、すっっごいよ! ……でも、これで何が分かるの? アカリッチ?」
常盤木さんが疑問符を浮かべていると、小鳥遊さんが「やはり……」といった様子でこちらを見ていた。
タカナシ・アカリ「やはり、ですね。春日さん、あなたの推理は外れてます。
‐‐‐‐平和島さんは、やはり狙われて殺されたんです。それも、彼女1人だけを狙い撃ちで」




