チャプター2 それでもボクは殺ってない クロ探し裁判編(6)
今回、犯人が明らかに!?
☆==Yukiwari Kyouhei Inference==☆
白神山たけるさんを殺した犯人……。
その犯人は恐らく、プールの中にゲシュタルト三殺セットを中に入れる事が出来た人物。
そのゲシュタルト三殺セットのうち、金属バットとガラス瓶の2つは誰でもプールの中に入れる事が出来る。その理由は――――
ユキワリ・キョウヘイ(――――そう、物資移動レーンがあるから)
物資移動レーン。それはエンジンルーム、プール、大型スパの3つを繋いでいる、レーンの上に置いてある物資を移動するレーン。
それさえ使えば、《このプールに入る際は更衣室にて服を脱ぎ、水着に着替える事。アクセサリーや装飾品は認めますが、それ以外を持ち込んだ場合は死が待っているよー》というプールのルールを無視して凶器を現場へと持ち込む事が出来る。
ユキワリ・キョウヘイ(しかしその物資移動レーンでも、運べない物がある。ショコラさんの話だと、物資移動レーンでは毒瓶が運べないらしい)
――――そうなると、毒瓶をプールの中に入れるには《アクセサリーや装飾品は認める》というルールを利用して、毒瓶を持ち込まなければならない。
毒瓶そのものをアクセサリーとして導き出すのは無理があるけれども、毒瓶で一番重要なのは毒。元々は液体であり、それならなにかに入れる事だって可能だろう。
では、なにに入れたのか?
……それは、まだ分からない。
ユキワリ・キョウヘイ(アクセサリーと言うのかは分からないが、この中で一番大きな被り物をしているのは久野さんだ)
しかしその肝心の久野さんはと言うと、プールの上でのん気にゲーム制作をしていたらしい。
という事は、久能さんが犯人……と言う可能性は少ないだろう。
今回の事件はかなり高度な、頭の良い犯人の可能性が高い。
その理由として考えられるのは――――犯行が見つかった時間。
ヨルジカンという、ほとんどの人間が寝ているような時間。
そんな中で自分を含めて、3人の人間が死体を目撃するという状況はかなり作り辛い。場合によっては自分が見つかった事で、最重要の犯人候補になる可能性が高いから。
――――けれども、今回の事件の第一発見者として分かっているのは、"2人"。
プールサイドでのん気にゲーム制作をしていた、久能環さん。
プールの水の中でゆったりとしていた、鈴木シーサーさん。
――――その2人、のみ。
最初、橋渡恋歌さんが《自分こそが3人目の第一発見者》と名乗っていたが、それだって本当かどうかは分からない。
むしろ、それも嘘かも知れない。
彼女に対して《犯人に協力しない》という約束を小鳥遊さんは取り付けていたが、彼女からして見れば――――
ハシワタリ・レンカ(あれっ!? 第一発見者の3人目が見つからないやぁー☆ なら、私がそう語れば、みんな満足だよねぇ♪ 疑問が1つ減ってラッキー♡)
――――そんな感じになって、第一発見者を名乗ったのかも。
モニター越し、なんて言うちょっと分からない理由だったし。
それを考えると、白神山さんを倒した犯人は未だ姿の影すら見せていない。
ヨルジカンに見つかれば、ほとんどの人は寝ぼけているからあまり情報が集まらない。捜査も不十分だと言えるかもしれない。
なにせ、この裁判中に多くの、新しい情報が見つかっているくらいだから。
犯人が狙ったのは白神山たける殺人に対して致命的な欠陥があろうが、それを捜査中に見つからない時間に発見させたい。
……もしかすると、久能さんや鈴木さんが居なければ別の日にやったのかもしれない。
それくらい、今回の犯人の犯行はあまり穴がない。
……けれども、どうにかして見つけ出す。
どんなに凄い殺人であろうとも、殺人からは決して誰も逃れる事は出来ないのだから。
――――それに、小鳥遊さんは恐らくこの事件の犯人に気付いている。
今も、"その犯人"を、証拠となる"あれ"を見ている。
確かに捜査の時間は足らない。
十分とは言えない。
けれども、さっきの裁判中にアクセサリーの話が出た。
久野さんの犯行瞬間の映像に、爆発があった。
――――だから、犯人には証拠となるものが今もある。
爆発の際に少し焦げてしまっただろう、犯人と断ずる事ができる決定的な証拠が。
☆==Fin==☆
ユキワリ・キョウヘイ「……犯人はミスを犯しました」
ヘイワジマ・ノゾミ「ドシタノー、急ニ?」
ミツルギ・ヒイロ「……犯人が分かった、そう言う事なんだろう? 杏平」
御剣さんの言葉に全員の、犯人に緊張が走る。
ユキワリ・キョウヘイ「犯人は毒物を、ゲシュタルト三殺セットの毒液をアクセサリー、もしくは装飾物の中に入れる必要があった。それはショコラティッシュさんの話を参考にしました。
……確認を取るが、ゲシュタルト。物資移動レーンで毒物は運べないんだな?」
ゲシュタルト《――――お答えしましょう!》
と、待ってましたという勢いでゲシュタルトはそう言う。
ゲシュタルト《そもそも、物資移動レーンは毒物を運ぶためのレーンではありません!
元々は各施設に対して物資を回らせるための装置。なので、毒物は使用外、なのです! ちなみに爆発物は解体で使うから、一応通れるけどねぇ~》
ゲシュタルトの確認も取れた。
……なら、後は仕上げだ。
ユキワリ・キョウヘイ「恐らく、今回の事件の犯人はヨルジカンになる前、正確に言うとするとスキャンが時間として残る前に犯行現場となるプールに入った。勿論、その前に物資移動レーンで金属バットとガラス瓶は通せた。でも、毒瓶は駄目だった。
だから、今回の事件の犯人は――――多分、【ゲシュタルト式三殺セット全部載せ】を行うためにどうしても毒が必要だった」
多分、ゲシュタルト式三殺セットの説明文とかにあったのだろう。
この3つを利用した場合、【ゲシュタルト式三殺セット全部載せ】という死因になって、本当の死因がかかれないと。
ユキワリ・キョウヘイ「だから、今回の事件の犯人はアクセサリーの中に毒液を流し込み、プールの中に装飾物として持ち込み、殺害対象と自分と一緒に犯行を目撃する2人という絶好の条件を待った」
その条件が重なったのが、たまたま昨日……と言う事はないだろう。
恐らく、犯人は3人がプールの中に行く事も想定内だったはず。
じゃないと、昨日のうちに事件を起こさないと秘密がバラされるというゲシュタルトの脅しを回避できないから。
ユキワリ・キョウヘイ「犯人が毒液をなんの装飾物に入れたかは後にしましょう。問題は犯行時の、犯人のミスの話です」
トキワギ・トオカ「ミス……ってなんですか? スルーパスの事?」
ショコラティッシュ「えっと、もしかしてあの映像を撮られていたこと、かな?」
……それもミスとは言えるかもしれない。
犯人にしてみれば、映像として残るとは考えていなかったのかもしれない。
もしただ見ただけなら、後で何とでも言い訳出来るが、映像と言うちゃんとした形で残っている以上、言い逃れがし辛いのは確かである。
ユキワリ・キョウヘイ「犯人のミス……それは爆発。
ガラス瓶が爆発した際、仮面を被っていたとは言えども水着の犯人。勿論、至近距離で喰らえば髪の数本は焦げる。
……それが証拠でしょう?
鮮やかな色液を中に入れる遊戯室の駒をアクセサリーとして使ってプールに侵入した、【超逸材の棋士】戦場ヶ原桂馬さん!」
ばんっ、と指差す先には焦げた髪を冷静に見ている――――【超逸材の棋士】、戦場ヶ原桂馬の姿があった。




