チャプター2 それでもボクは殺ってない (非)日常編二日目③
トキワギ・トオカ「ぷ、プラモデルの船が実際の船に?!」
センジョウガハラ・ケイマ「なるほど、プラモデルの船が成る事によって本物の船に、か。飛車が龍になる以上に驚きを隠せないが、吾輩なっと……くできるかぁぁぁぁ! どんな錬金術だ?」
タカナシ・アカリ「……ただの合成映像? それともゲシュタルトによるなんらかのトリック?」
皆が戸惑いの声をあげる中、ゲシュタルトは《そんなの関係無いじゃないか》と笑っていた。
ゲシュタルト《合成映像? 魔法? 近未来技術? どんな言葉だったら納得して貰えるのかなぁ? どんな理屈だったら納得して貰えるの?
――――そうじゃないよねぇ? 大切なのはオマエラが外へと出るためのチャンスが、また広がったって事だ。嬉しいだろう、嬉しくてしょうがないだろう? もしかしたらあるかもしれないという僅かな希望にすがるしかないんだよ。じゃあ、頑張ってねぇ! ぐふふぅ!》
背筋をゾクリとさせるような声。そんな声でぼく達に告げた後、ゲシュタルトは消えた。いや、帰って行ったというのが正しいのだろうか。
ゲシュタルトがぼく達の前へと立ち去ると、ぼく達はあの映像に映し出された船にどう判断すれば良いかを話し合っていた。
ナカヨシダ・サユリ「わたくし様は反対するにゃん! あの船はどう見ても罠の可能性が高いにゃん! もしあの船の中に動機があるとすれば、行かなければその動機もみにゃくて済むにゃん! それだから行かない方が良いにゃんよ!」
ヤマト・アユム「ただしその代わり、外への手がかりも見つかりませんよ? このまま閉鎖的状況にて閉じこもってたら、逆にストレスが溜まって最終的には――――」
カスガ・ハルヒ「――――殺人、が起こりますね」
サラッと言い放つ春日さんの物言いに、御剣さんが「おいっ、春日! そんな刺激するような事を今この場で言うんじゃねぇ!」と叱咤する。
シラカミヤマ・タケル「で、でもでも……行かないと後でゲシュタルトになにをされるか……」
ヤマト・アユム「行っても罠。行かなくても罠。それなら、冒険心を持って洞窟へと行くべきですな……と思うよ」
カスガ・ハルヒ「もし行かなかったら殺されるかも、ですね」
ミツルギ・ヒイロ「だ・か・ら! なんで春日はそう変な方向に話を持って行きたがるんだよ!
希望を信じろ、絶望をぶっ潰せ! それがヒーローの仲間である俺達の行動という奴だろう!」
スズキ・シーサー「そのとおりだぴょん。わがはいは、行く方がいいと思うぴょん」
ぼく達は2つの意見に分かれた。それはあの船に行くべきか、罠だと思うべきかという2つの意見である。意見は大体行くべきだという意見の方が過半数を占めていた。
ショコラティッシュ「え、えっとえっと……! とりあえず、行きます?」
ヘイワジマ・ノゾミ「ヘーイ♪ やってミヨゥなのデース!」
そう言ってぼく達の方針はある程度決まっていた。とりあえずはその船が罠かどうかは別として、一旦どんなものなのかを見て判断することとなった。さっさと船の方へと駆けていくが、珍しく白神山たけるさんが話しかけて来た。いつもは弱気で、話しかけて来る事すら珍しいのに……。
シラカミヤマ・タケル「――――えっと、スケットさん。ちょ、ちょちょ、ちょっと良いですか?」
ユキワリ・キョウヘイ「……どうかしましたか?」
そう聞くと彼女は「えっとぉ~、そのぉ~……」と指をちょんちょんと着けたり離したりしながりを繰り返しながら、話すのを躊躇っているようであった。けれども何か覚悟を決めた様子の白神山さんは、「さっきの、ね」という前置きと共に話し始める。
シラカミヤマ・タケル「ボクね、さっき言いましたよね。行かなかったら殺されるかもしれない、という事を」
ユキワリ・キョウヘイ「確かに……似たような事を言っていたような……」
その後に皆が賛成するようになって、そこからあの船に行こうという話になったんだよなぁ。まさか、もしかしてあの発言はぼく達をあの船へと誘導するための発言だったという事なのだろうか?
ユキワリ・キョウヘイ「もしかして、あの船に行くために発言を誘導したっていう事でしょうか?」
シラカミヤマ・タケル「ゆ、ゆゆ、誘導だなんて!? そんな滅相もござりまけ……あぅぅ、噛んじゃったぁ」
「うぅ……」と少し涙目になっていた白神山さんでしたが、顔をぱんぱんっと両手で叩いて奮起する。そしてゲシュパットを取り出す。
シラカミヤマ・タケル「じ、じつは……先程ゲシュタルトが船を本物にした時にゲシュパットが揺れた気がしたの。どうやら、このゲシュパットに新たにあの船の地図が追加されてたみたいです」
「皆さんは船に夢中で気付いて……なかったよう、ですが」とそう言っていた。確かに彼女の言う通り、慌ててゲシュパットを確認すると確かに地図の画面に《2枚目》などという、さっきまでなかったはずの文字が書かれていた。
ユキワリ・キョウヘイ「確かに……なにか書いていますね」
シラカミヤマ・タケル「それによると、あの船の名前は"超逸材船舶型南国シアワセブチ"。南国を意識したアミューズメントな施設みたいで、主な施設は3つみたいです。えっと、ヒーローショーステージに大型スパ、そしてプールというみたいで」
ユキワリ・キョウヘイ「……コロシアイとは真逆みたいな船だな」
純粋にぼく達を労おうと言うのだろうか? あのゲシュタルトがそんな生ぬるいことをするのだろうか?
……分からない、だけれどもゲシュタルトがなにを考えているのかは分からない。だけれどもこれは行かなければならないのだろう。
シラカミヤマ・タケル「どんな意図があるかどうか分かりませんが……なんだか、楽しそうなラインナップだなぁって。
……ひぃっ! 生意気言ってすいませんでしったぁ! で、でもぉ、実際そう思ったのは事実でして――――」
ユキワリ・キョウヘイ「分かったよ、だからぼく達も行こう。この超逸材船舶型南国シアワセブチがなんなのか、どんな罠が仕掛けられているかは分からないが、行かない事には話にならないのは事実だろうしな」
シラカミヤマ・タケル「う、うぅぅぅぅ……っ! そ、そうですね! 行きましょうすぐ行きましょうそら行きましょう!」
そう言って、ぼくは白神山さんと共に皆が行った次の目的地――――"超逸材船舶型南国シアワセブチ"という次の船へと向かって行った。
そこではぼく達が考えた以上の、世にも恐ろしい計画が、ぼく達を待ち受けていた。
《チャプター2 それでもボクは殺ってない》
動画サイトにて、「ダンガンロンパ The After -絶望学園のミライー」というDRTAというグループ様が作られました、ダンガンロンパの非公式動画がありましたので見させていただきました。
私なんかじゃ考えもしないくらい絶望を深く書かれた作品で、とても楽しかったです。
自分は手品師くんとメイドちゃんがお気に入りですかね。
面白い作品を見て書く気力が湧いてきました。こちらも負けじと(こう書いたら失礼かもしれませんが)頑張ります!