チャプター7 クロマク裁判編(9)宇宙人の効率的な倒し方
----そう、今回の裁判で一番の問題があるとすれば、【超逸材の覆面美少女作家】たる乃等野サロンの行動である。
今回の被害者たるゲシュタルトを、この白神山たけるが殺せたのは、乃等野サロンの協力があったからだ。
彼が最期にバラまいた、彼の能力が宿った紙の文字のせいだ。
あの紙がなければ、ぼく達は動けずに、状況を把握できないなどと言う、そんな事にはならなかった。
そして、ゲシュタルト以外の人物を、例えば、ぼく達の誰かが殺されたのかもしれない。
彼こそが、今回の事件が起きた元凶とも言えよう。
だが、これは乃等野サロンの嫌がらせ、なんかじゃない。
これこそが、ぼく達の逆転の一手なのだ。
ユキワリ・キョウヘイ「白神山たける、そして宇宙人達! お前達に、このぼくから判決を言い渡してやる!」
そう、今回の裁判での問題は、実行犯である白神山たける一人しか裁けない事。
あの巨大UFOの中にいる宇宙人を全員、一気に倒さなくては、ぼく達に勝ち目はない。
シラカミヤマ・タケル「----判決? あぁ、その時間ですね。
良いですよ、この白神山たけるを犯人として指摘してみなさいな!」
彼女は、嬉しそうに待ち構えている。
まぁ、白神山たけるを犯人として処刑されたとしても、巨大UFOの中にいる同志を呼び込めば良いだけ、だからな。
彼女を倒す際は、全員を一気にまとめて倒さなければならない。
ユキワリ・キョウヘイ「お前達全員を一気に倒す方法は……たった一つある」
そう、その方法こそが----。
"乃等野サロンの、紙による洗脳能力"。
ユキワリ・キョウヘイ「なんでぼく達は止まったのに、白神山たけるを初めとした宇宙人は止まらなかったのか。
今まで分からなかったけれども、白神山たけるが【超逸材の鑑定士】だということを思い出して、1つ、理由を思いついた」
以前、名探偵の兄の助手として事件を捜査していた時、1つの情報を聞いたことがある。
鑑定士----というよりも、文章や原稿などと言った誤字脱字、そして不備な点を示す"校閲"という職業について、1つ、ある情報を聞いたことがある。
ユキワリ・キョウヘイ「校閲という文章の誤字脱字チェックを行う職業の人は、文章に惑わされないように下から読むようにしている、と」
"春日春目は、御剣緋色と鈴木シーサーの2人と一緒になっで、食堂で昼食を取ることにした"。
一見、何の変哲もないこの文章には間違いがないように思えるかもしれないが、後ろから読んでいくと2つの間違いがあることに気付くだろう。
文章に惑わされて、間違いに気付くために、校閲を行う者は後ろから読んでいるのだという。
ユキワリ・キョウヘイ「そして【超逸材の鑑定士】は、美術品の鑑定のみを行っているんだろう。美術品の中には、昔の人の文章----古代の手紙とかもあるんじゃないのか」
乃等野サロンの文章力は、宇宙人に効かなかったんじゃない。
現に、彼らはサロンの書いた文章を基にして、この地球でコロシアイのデスゲームをしにきたのだから。
ユキワリ・キョウヘイ「縦に、上から読む文章ではなく。
これなら、効くんじゃないかい?」
そう言って、ぼくは白神山たけるに、宇宙人に見えるようにして、紙を広げていた。
ぼくは、見えるように広げていた。
下から読むことで、【お前達は 全員 倒れて 死ね】と読めるように。
強引かもしれなかったので、作るのは悩みました
次回、宇宙人達へのおしおきタイム!