チャプター6 なぜ私達のセカイを誰も覚えていないのか? (完)結編(8) ワタシと、小鳥遊と、仕事と。
「ダン〇ンロンパ」みたいに、なにかしっかりとした作品----自分が"良いな"と思った作品を軌道に乗せると、やっぱり書きやすさが違いますね
こうして、ワタシ達は2つのチームに分かれる事となったデス。
1つは、ここで残ってゲシュタルトの死の真相を探るチーム。
ここには、雪割杏平、常盤木十香の2人。
ゲシュタルトの死体は気になるし、雪割さんは積極的にここに残ることを決意したのであるのデス。
常盤木さんは1人では、雪割さんの身が危ないからという理由で、護衛役といったところデスかネ。
もう1つは、船が流れ着いた先である、本物の《幸福ヶ淵学園》を調査するチーム。
ここには、小鳥遊灯里、御剣緋色、久能環の3人。
なお、ちなみに橋渡さんはどっかに消エタのデスよ。
----今の所、一番怪しいのは彼女……デ、良いンデスよね?
☆== School Investigation Team ==☆
学校の授業の中で、ワタシが唯一、ちゃんとした記憶に残っている授業と言えば、ソレはやっぱり物理の授業デショウ。
コレは物理の教授がそれだけ個性的だったとかじゃなくて、ワタシが物理を好きだったとかでもないノデス。
ただ単に、その時の授業内容が、未だにワタシの理念の1つに入っていると言う事デショウ。
----《仕事》。
物理、それも力学の授業で、その日は"作用・反作用の力"について習っていた。
1つの物体に対して、押すと働く力が作用、それを止めようとする自然の力が反作用----まぁ、簡単に言ってしまえば、そういう力を知ってもらうための、何の変哲もない授業。
ワタシもいつものように興味はなかったんですが、教師が《仕事》という言葉を出してから、様子が変わった。
指定されたページには、1人の若者が石を動かそうとする様子が描かれていた。
その岩はとっても大きくて、人間1人では到底動かせそうにもない、というかなんで動かそうとしているのかが不思議なくらいの大きな岩だった。
"100kgの岩を、人間1人で1時間頑張って押したが、1cmも動きませんでした。この時、人間はどれだけ仕事をしたでしょう?"
確か、教師が出した問題は、そういう形だったかな?
他の人がどう答えたかまでは流石に覚えてなかったけど、ワタシは"1013円"と答えた。
岩を押すだけの単純な仕事ではありますが、仕事は仕事です。
せめて、東京都の最低賃金分くらいは、払わなければ失礼、というものです。
しかしながら、解答は----"ゼロ"。
1cmも動いていない、つまりは成果を出していない以上、なにも仕事をしてないって事らしい。
なんとも不合理な、不条理だとは思いますが、ワタシはそれ以降、考えるようになったのです。
----なにか役に立つこと、それが仕事だと。
そしてこれは、そういう仕事、であるべきだ。
なにか、この事件に役立つ情報を----探し出さないと。
----そう、探し出すべき! なのデスっ!
タカナシ・アカリ「で、今はどういう状況ですか?」
クノ・タマキ「……っ?! えっ、えっと、ですね!」
危ない、危ないデス。
今は、小鳥遊さんに言われたお仕事----この学園の謎、と言うのを調べてるんデス。
現在、ワタシ達がいるのは、学園長室。
この学校のネットワークの原点であり、全てのネットワーク情報の権限がこの部屋のパソコンから流れています。
この部屋のパソコンをハッキングして、今、有用な情報を探っているのですが----
クノ・タマキ「ろくな情報がナイのデス……」
タカナシ・アカリ「どれどれ……ちょっと見せて」
と、小鳥遊さんに、パソコンを取られるぅ……って、あぁ! パソコン返してぇ~!
タカナシ・アカリ「"宇宙人の見分け方"、"外宇宙と内宇宙の違い"、"猫の正しい買い方"、"ペルソナシリーズ二次創作のお知らせ"……確かにろくな情報がないですね」
クノ・タマキ「本当にぃ! 本当に、返しテェ~!」
タカナシ・アカリ「あぁ、これは失礼」
差し出されたノートパソコンを奪い返して、ワタシはようやく安心する。
まったく、スペアはヒーローに奪われたから、今はないから、これが、これがないとぉ……!
クノ・タマキ「(えっと、他になにか----)」
なにか、ないのかな?
うん、なにかを見つけ出さないと、仕事がぁ!
クノ・タマキ「……! これって……」
タカナシ・アカリ「うんっ? なにか、ありました?」
ワタシがちょっと声を出してしまって、小鳥遊さんに気付かれてしまった。
あぁ、またぁ……パソコンがぁ……!
タカナシ・アカリ「"意識を飛ばす思想伝達システム。直接、特定の人形機器に手を触れなければならないが、人間の意識を飛ばすAIシステム"ですか。
……なるほど。これさえあれば、誰かの意識が残っているという可能性も----」
パソコンを取り返して、ワタシも頷いていた。
クノ・タマキ「……たっ、多分だけど、このシステムさえあれば、今まで死んだと思っていた人間デスら……生きてる、可能性? あるカモ……だけど……」
タカナシ・アカリ「えぇ、そうね。もしかしたら、私達もこのシステムを使って選ばれたのかも……。
意識だけ電脳にあって、この肉体はただの人間によく似た機械。だったり?」
……なんか、どこかで聞いたような設定、のような?
タカナシ・アカリ「……情報がある以上は、その可能性も?」
クノ・タマキ「えっと、それはないかなぁ~デス? これって、意外と人間的に負荷がカカッテ、理論的ニハ宇宙人、それも我慢強い人が1人……とかデス?」
うん、多分そのくらいの可能性、なんですよね……。
タカナシ・アカリ「----なんで、そんなに詳しいの?」
クノ・タマキ「えっと……そのぉ、えっと……」
とっ、とにかくっ! スッゴイ情報、ゲットなのデスっ!
もしかしたら、いままでの仲間の誰かが生きている可能性……これは裁判に役立つかも、デスっ!
〇"宇宙人の見分け方"
……久能環がパソコンから手に入れた情報の1つ。乃等野サロンの書物に惹かれてやって来た、分かりやすい見分け方。宇宙人は身体的に、地球人とはっきりわかる特徴がある
〇K-Unoシステム
……意識をデジタル化することで、無限の可能性を手に入れる画期的なシステム。特定の機器にしか出来ないが、意識を転送することで無限の命を手にする。別名エクステンドシステム。
意識のデジタル化の負荷が大きく、地球人では耐えられない。なお、宇宙人でもかなり気合がないとダメ……らしい。