チャプター4 五等分の花骸 クロの独白
クロ……【超逸材の配達員】さんの、独白についての話。
彼女が犯人として指摘されたからなのか、それとも単純に私の文章力不足なのか分かりませんが、
お気に入り登録数が減って、悲しみながら書いてます……
-The Cariier of Super Talented Person Side-
あの3番目の事件、中吉田さゆりの裁判が終わった後の事だった。
私の、双子の弟である鈴木シーサーがいきなり話しかけてきた。
ハルヒ??「どうかしたんですか、シーサー。私達は、あまり会わないようにしてたじゃないですか」
スズキ・シーサー「……話、ある」
珍しく、主体性を見せるシーサーの話を整理すると、どうやら私とシーサーの関係を皆に紹介しようというのだ。
そう、私とシーサーが、血の繋がった双子であることを。
スズキ・シーサー「吾輩、素顔を……中吉田さゆり、見られた。そのうち、吾輩達、双子、バレる。顔、似てる」
ハルヒ??「そうですね……」
私と、シーサーの顔は良く似ている。
人の容姿と言うのは、親から受け継いだ遺伝子と、どこでどう育ったかと言う環境的な要因。その2つが人の顔や形、身長などといった要素を形作る。
私は、【超逸材の配達員】として戦場を駆け巡り。
シーサーは、【超逸材の漁師】として海の中を潜り続け。
なのに、私とシーサーの顔や身体は、男女差を除けば良く似ている。似すぎている。
つくづく、私は、親の遺伝子と言うモノの存在を、ひたすら驚くばかりである。
スズキ・シーサー「だから……吾輩、1つ、提案ある」
ハルヒ??「提案……?」
その時、提案されたのが‐‐‐‐今回の事件。
シーサー自身が、私に殺されるという計画だった。
設置式の罠を使って、遠隔で相手を殺すという殺人計画にて、鈴木シーサーを殺す。
私の役割はスイッチを押す事だけ。それで私が犯人となって、この狂った監獄から脱する。
一応はなんだけれども、私とシーサーは双子。殺すにしても、なんでシーサーを殺す事になるのかが分からなかった。まったく。
ハルヒ??「意味が、分かりませんよ。シーサー」
なんで、私が犯人なんかをしなければならないのか。
私は、別に外に出る目的も意味もなかった。だからこそ自分ではなく、私を犯人にする事に意味が分からなかった。
スズキ・シーサー「だって。春日、本名、否定。あなた、本名、知られてない。
故、ルール10、春日、勝てる」
ハルヒ??「ルール10と言うと……えっと」
私は慌てて学生手帳をめくって、ゲシュタルトなる我が物顔の野郎が用意したルールを確認する。
>>【10】
>>正しい《クロ》を指摘できなかった場合、《クロ》以外の全員がおしおきとなり、晴れて《クロ》はここから脱出できます
ハルヒ??「これが、どうかしたの?」
スズキ・シーサー「正しい《クロ》。今まで、裁判の投票、記名制。称号、違う」
ハルヒ??「えっと、例えば今回の気象予報士とパティシエの気味悪いほど仲が良い2人組を殺した今回の事件だと、【中吉田さゆり】。そう本名で投票してましたが……」
‐‐‐‐あぁ、なるほど。
つまり、シーサーは【私】の本名の話をしているのだ。
私の本名は、"春日春日"ではない。これは単なる、偽名。
こんなくだらない、見ず知らずの人間ばかりの所で本名が名乗れるかっての。現に、名前ではありませんが、称号を偽っていた人間も居たくらいだし、なにもおかしくはない。
私が犯行を行い、仮に犯行がバレたとしても。
私の名前を、投票する事は出来ない。何故ならば、春日春日で投票しても、無効票になるのだから。
選挙の際に、投票する相手の名前を間違った場合は、無効票となるように。
ハルヒ??「でも、それをゲシュタルトが認める……ているのですね。その顔は」
シーサーの頷きに対して、私は認めるしか出来なかった。
そして、ゲシュタルトと協力関係を築いて、私はシーサーの指示通り、行動に移った。
シーサーをゲシュタルトの内通者だと信じ込ませて、シーサーを本館屋上に置いて、本館の隠しスイッチ‐‐‐‐『1』の部屋にある、本館ごと回転させて貫く槍を発生させるスイッチにて、シーサーを貫いて殺害。
その後、顔を潰した。
顔を潰したのは、単なる自己的な理由だ。
彼の顔が、あまりにも辛そうで、それが自分の辛そうな顔に見えて、思わず……。
裁判は、シーサーと思い描いたとおりに進んでいる。
私をクロとして指摘するだけの舞台は整い、今は投票の最中。
後は私をクロとして指摘して、無効票によって私がこの監獄から抜ける。
他の皆を巻き込んだのは済まないとは思っているが、ここから出たら、私の、【超逸材の配達員】としての力をフル活用して、このふざけた事を考えた奴らを、泡吹かせてやる。
それが、シーサーのお願い。シーサーが、配達員である私に託したモノなのだから。
ミツルギ・ヒイロ「なぁ、春日」
と、そんな事を思っていると、投票を終えたのか、うざったらしいヒーロー野郎が話しかけてくる。
ミツルギ・ヒイロ「お前は、ここから出て、どうするつもりだったんだ?」
うざい、でももうどうでも良い。
どうせ彼はこの後、無効票によって死ぬのだ。たまには素直に答えてあげましょう。
ハルヒ??「……シーサーとの約束を、果たすつもりでした」
ミツルギ・ヒイロ「約束? それって、どんな?」
ハルヒ??「シーサーは、このふざけた裁判を二度と行わないよう、そう願いを託しました。事実、私が外へと出ることが出来たのなら、私の【超逸材の配達員】としての技術で、それを行うつもりでした。
私は、人から来たものを届ける。願いを聞き届ける。それが私の、【超逸材の配達員】としてのポリシーですので」
そう、それが私のポリシー。【超逸材の配達員】としてのポリシー。
他人の願いを唱えるだけの、ただの想いを繋げるだけの機械。それが私の生き方なのだから。
ミツルギ・ヒイロ「分かった……だが、お前は?」
ハルヒ??「えっ?」
ミツルギ・ヒイロ「他の人の想いを繋げるという、お前の生き方は素晴らしいと思っている。だけれども、お前自身の想いはどうやって伝えるんだ?
お前の、春日春日自身の想いは、どうやって伝えるんだ?」
私の、想い?
ハルヒ??「(なにを、言ってるの……?)」
私の想いだなんて、どうでも良いじゃないですか。
しいて言うならば、他人の想いを繋げることですよ。【超逸材の配達員】とかの、配達員としての想いですよ。
それで良いじゃないですか、バカなの? 死ぬの? と言うより、死ぬんですけども。
ハルヒ??「はぁ……本当に、最後まであなたは馬鹿です。それなので1つ、良い事を教えてあげましょう。
あの時、私が鈴木シーサーに変装して、あなたの元へ行ったその訳を」
ミツルギ・ヒイロ「‐‐‐‐?!」
【全員の、投票が終わりました!
これより、結果を発表します! なお、今回は本名とは違う無効票が多かったので、無効票は除外させていただくよぉ! ぐふふぅ!】
‐‐‐‐あらあら、良い所だったのに。
でもまぁ、これで終わりですよ。
さようなら、皆さん。あなた達の事は大嫌い、だったですけれども、【超逸材の配達員】としてあなた達の想いは、受け継ぎ、引継ぎ、聞き届けますので。
タカナシ・アカリ「春日さん……」
と、小鳥遊さんがこちらを見ていた。
タカナシ・アカリ「あなたの発言から、あなたの狙いが、私達に【春日春日】なる名前で投票させる事。そうだと分かりました。
そこでルールを思い出して、正しい《クロ》を指摘しなければいけない。そう思い出しました」
……やっぱり、小鳥遊さんは気付きましたか。
彼女なら、気付くとは思いました。
でもまぁ、気付いたとしても、関係ないのですが。
どうせ、私の名前を当てるなんて、ノーヒントで私の名前を当てるなんて、無理なんですから。
タカナシ・アカリ「----けれども、私を、舐めない方が良いですよ」
【綿串花星……七票
春日春日(無効票)……二票
他生徒……零票なりけり】
ハルヒ??「えっ……?」
モニターに映し出されたのは、【超逸材の配達員】である私の、本名。
‐‐‐‐綿串 花星。
当てられるはずもない、私の本名だった。
次回!
【超逸材の配達員】さんへの、おしおきです!