特殊イベント「痛いのは嫌なので無関心に極振りしたいと思います。」
気付いてたら出来ていたので投稿。
ちなみに、今回のキャラ詳細紹介ページは2人分。
長くなったので、分割します。
-Kasuga Haruhi Side-
ミツルギ・ヒイロ「春日! 十香を慰めといてくれよなっ! なんか怯えてるみたいだからな! 頼んだぜっ!」
カスガ・ハルヒ「えっ?! ちょっと……」
私の返答もろくに聞かずに、胸糞ヒーロー野郎……失礼、御剣緋色と言う名の男は勝手に、鈴木シーサーの死体を調べに行ってしまった。
カスガ・ハルヒ「まったく……」
トキワギ・トオカ「…………。」
私はと言うと、落ち込んでいる常盤木十香という女の世話係……慰めを命じられてしまっていた。
いや、本当に。私がなんでそんなことまでしなくちゃいけないのか、全く理由が分かりません。
カスガ・ハルヒ「もう、居ないし……」
先程まで雪割杏平と小鳥遊灯里の2人と一緒に死体を探っていたようですが、もう居ないようです。いつの間にか下に降りたみたいですね。
何と言うか、所々聞こえてきた情報から推測すると、どうやら久野環さんが怪しいみたいですね。まぁ、あの段ボール女が怪しいのは元からなので、別に変ではないですが。
カスガ・ハルヒ「(とは言え、つまりは彼女をなんとかしないといけないんですよねぇ……)」
私の隣では、落ち込んだ様子の十香の姿がありました。
なんとなーく、ぼそぼそと呟いている内容から察するに、目を覚ましたら隣で顔の潰れた鈴木シーサーの死体を見つけてしまった。つまりは、ひしゃげて血まみれの顔を目撃しました、という事らしい。
そりゃ、ちょいとトラウマ物になりますわな。うん。
トキワギ・トオカ「うぅ……ハルヒッチ……」
悲しげに言いつつ、さりげなく私の腰に手をやるんじゃありません、全く。
弱いんですよ、そこ。
カスガ・ハルヒ「……はぁ」
仕方がないので、私は彼女の隣に座り込む。
寒さはどんな地域であろうとも配達させられてきた私にとっては屁でもないのですが、流石に雪の上にすわるのは勘弁願いたい。けれども動く様子のない常盤木十香の姿を見るとここに居ざるを得ない状況なので、仕方なく、私はポケットからカイロを取り出す。
1つを温めだすと、もう1つを彼女へと渡す。
カスガ・ハルヒ「はい、カイロです。温まりますよ」
トキワギ・トオカ「あっ、ありがとってあっつぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!」
彼女は渡されたカイロをそのまま雪の上に落としてしまう。と言うか、落ちた個所から雪が解けていってしまう。
カスガ・ハルヒ「気を付けてくださいよ、それ。そのカイロ、一気に60度近くにまで上がる特製のカイロなので」
トキワギ・トオカ「最初に言っといてよ、そういう事は!? なんなの、確かに寒かったけどここまで熱いのは要らないよ!? と言うか、ハルヒッチの手も火傷しちゃってるじゃん!?」
さっきの落ち込み具合が嘘のように、常盤木さんは私の、ほんの少し火傷をしている私の手を優しく撫でていた。
私はと言うと、そうやって優しくされていることに、どことなく居心地の悪さを感じていた。
カスガ・ハルヒ「(‐‐‐‐こういうのは、昔からどうも苦手です)」
トキワギ・トオカ「ねぇ、ハルヒッチ。前から聞こうと思ってたんだけどさ、なんでそんなに、優しくされるのが苦手そうにしているの?」
どうも、私の気持ちは顔に出ていたみたいですね。
おかしなことです、あのヒーローなんかだと全く気づかないんですが。
トキワギ・トオカ「ねぇ、あたしって……そんなに嫌い、なのかな?」
うるうると、涙目でこちらを見ている常盤木さん。その足元でカイロがじゅぅじゅぅと、雪を溶かしているのが気にならないんでしょうか?
‐‐‐‐これって、私の身の上を話さないとならない流れ、なんでしょうか?
カスガ・ハルヒ「…………。」
トキワギ・トオカ「ねぇ、教えて欲しいんだけどなぁ……」
黙っていたんですが、それはいけない、みたいですね。
カスガ・ハルヒ「常盤木さん、あなたは10年前の特撮ヒーローとか、ヒーロー番組って覚えてますか?」
トキワギ・トオカ「それって、関係ある事なのかな? うーん、10年前は覚えてないなぁ。他だったら覚えてるかも、だけど。
えっと、13年前のサッカーボール戦隊シューティージャーでしょ? 9年前のマスクライダー・タロットでしょ? それから、5年前が……運命戦隊レボリューションだったかなぁ?」
なんで、そんなピンポイントで覚えてるんでしょうか。
と言うか、13年前って、私達は高校1年だからまだ3歳かそれくらいなんじゃ……。
カスガ・ハルヒ「(と言うか、なんか微妙なラインナップのヒーローですね)」
----サッカーボール戦隊シューティージャー。
スポーツをこの世から排除するなどと言う良く分からない目的を持つ悪の組織を、サッカーと言うスポーツを用いてスポーツの楽しさ、重要さを教えていくという戦隊ヒーロー。
何故、サッカーがメインだとか、それに敵組織がスポーツモチーフの怪人だとか、ツッコミまくりの作品でした。
‐‐‐‐マスクライダー・タロット。
古より伝わる22のタロット、それが世界に散らばって人にとりついて、そのうちの1枚の力を宿した【愚者】の力によってヒーローとなった者の、成り上がり伝説。
途中からタロットでは足りなくなったのか、意味が分からないギリシャ神話を引っ張り出した謎作品。
‐‐‐‐運命戦隊レボリューション。
色々と運命が、革命して、レボリューションしている、ただそれだけの、英雄ヒーロー伝説。
……視聴者おいてけぼりだったですね、あれ。
カスガ・ハルヒ「(と言うか、まさかこの3作品って?!)」
私は気付いた。
この女、ワールドカップのあった年のヒーローだけ覚えてるっ!?
カスガ・ハルヒ「まぁ、戯言ですが」
トキワギ・トオカ「……? で、数年前のヒーローがどうかしたの?」
あぁ、そうでしたね、そういう話でした。
カスガ・ハルヒ「海外、特に日本ほど平和じゃない国ですとね、そういう日本のヒーローが流行ってたりするんですよ。日本では数年前に放送終了だったとしても、海外では今現在放送中とか。
だからね、行くと、子供達にねだられるんですよ」
トキワギ・トオカ「なにを、ってあぁ。変身ポーズとかかぁ」
そう、変身ポーズ。
これがもう、死ぬほど恥ずかしい。
なにせ、彼らにとっては今現在活躍しているヒーローでも、私にとっては既に過去の遺物。というか、まったく興味がないヒーローの世界だ。
私からすれば、数年前に流行っていた一発芸をやれ、と一緒くらい恥ずかしい。
平和じゃない、自分達の今の現状を忘れるのにヒーローものは良いのかもしれない。それは認める。
けれど、それに私を巻き込まないでほしい。
私を、巻き込まないでほしい。
カスガ・ハルヒ「子供たちの変身ポーズ好き……あれは、どの国でも同じですよ。そして、どの国でもうざったらしく、絡まられましたよ。まったく。妙にポーズにイチャモンをつけて、嫌なところで無駄に細かくて嫌になる」
やれ、右手の振りが悪いだとか。
やれ、もう少しベルトの回転が速いだとか。
カスガ・ハルヒ「そういう、嫌な記憶もあって、ヒーローは嫌いですね。大嫌いですね。死ねばいいです。
ヒーローのように、なんの見返りもなく優しくする人間も、そう言うお人よしなんかは、そのせいでわりかし嫌いですね。はい」
私はヒーローが嫌い、だ。
子供が嫌い、だ。
人の優しさなんか、私にとっては不要なモノだからだ。
カスガ・ハルヒ「だからあなたの事も、それなりに嫌いですよ。優しすぎて利用される、お人よしのサッカー選手」
トキワギ・トオカ「えへへ……」
私が嫌いだと言っているのに、常盤木さんは何故か嬉しそうに顔を緩ませている。
嫌いだと言っているのに、嬉しそうにするだなんて、ちょっと頭が可笑しいんじゃないんですかね。
カスガ・ハルヒ「何が可笑しいんですか、常盤木十香」
トキワギ・トオカ「だって、あたしの事を"お人よし"って。つまりは、それだけあたしが、"良い人"だと思ってくれるって事、だよね」
それが嬉しくて、なんていうけれども、私からして見れば頭が可笑しいとしか思えない。
トキワギ・トオカ「でもね、私からすれば、ハルヒッチも良い人だと思うよ?
文句を言いつつ、子供たちのためにヒーローの変身ポーズもちゃーんとやってるみたいだし。今だって、別にヒイロッチの言葉を無視しても良いのに、わざわざあたしの横で座って待ってくれているし」
……むっ、別にそんな事はないんですが。
子供達のヒーロー変身ポーズの要求を断らなかったのも、あのヒーロー野郎の指示に従ったも、どちらも同じ意味だ。
拒否すれば面倒、それだけの話だ。
トキワギ・トオカ「ハルヒッチは、あなたの言葉通りだとしたらね。"お人よし"って奴だと思うよ?
そう、そんな事を言っちゃうくらい、めちゃくちゃ優しいんだよ。ハルヒッチは。自分が気付いてないかもしれないけど」
‐‐‐‐そんな事は、本当にない。
私が、お人よし? そんなことないと思いますよ。
カスガ・ハルヒ「(だって、それだったら私は自分の事を、もっと嫌ってないといけないんだから)」
ーおまけー
カスガ・ハルヒ「ちなみに、十香が言ってたヒーロー番組。その全てに、御剣緋色は出てますよ」
トキワギ・トオカ「マジでっ?!」
カスガ・ハルヒ「マジ、で。だから嫌いなんですよね、あの人」




