ノースイーツ・ノーライフ
"お菓子がなければ、生きられない"。
バカみたいな言葉に聞こえるかもしれないが、これがショコラティッシュの家の家訓であった。
彼が生まれた家は、世間的に見ても恵まれた立場にあった。何一つ生活に不自由しない生活を送れるのは、彼が生まれた国の中では、一部の特権階級しか手に入れない幸せであったため、それだけでも彼がどれだけ恵まれた立場にいたのかが良く分かるだろう。
だが、恵まれているというのは、別に良い事ばかりではない。
生活に余裕が出てくると、人は自然とその次を求めてしまう生き物である。
一つの夢が達成すればより大きな夢へ、それも達成されればまた別の夢へ。そういった事を繰り返しながら、どんどん取り返しのつかないところまで欲望を求めてしまうのが、人間と言う愚か者である。
食べることに余裕を持っている彼の家では、それならばと食べることにお金をかけるようになった。
とりわけ、力を入れたのがお菓子‐‐‐‐とある国においては、"高カロリーだが栄養がない食べ物"ことエンプティフードと呼ばれる、お菓子であった。
栄養がないのにも関わらず、こうして人に愛されているお菓子を極めるという贅沢を達成するために育てられた逸材の最高峰。それがショコラティッシュ・バニラなのである。
彼はこの船に来たことに後悔はしていない。
【超逸材の教師】である中吉田さゆりに殺されてしまった事に関してもだ。
ただ1つ、心残りがあるとすれば‐‐‐‐
やはり、平和島望海を幸せに出来たと言えなかった事だろうか。
【超逸材のパティシエ】ショコラティッシュ・バニラ
性別;男
才能カテゴリー;調理
才能名;【超逸材のパティシエ】
容姿;小柄な黒人男性。わかめを思わせんばかりの長い髪と、右眼を覆う黒い眼帯などからなんとも前が見えにくそうな男で、右手には泡だて器で左手には銀色のアタッシュケースを手にしている。
紹介;小柄ながらもおかし作りにおいては右に出る者がいない、【超逸材のパティシエ】。皆を笑顔にするためにお菓子を作っており、特に自身の料理を気に入っている平和島望海と非常に仲がいい。詳しい理屈ではなく、本能のままお菓子を作っており、初見の材料であろうとも優秀なお菓子を作り出す実力を持つ。
プレゼント;【ショコラティッシュの眼帯】
・ショコラティッシュ・バニラがいつもつけている眼帯。目が悪いとかの理由ではなく、彼の師匠が「視界を敢えて狭めることによりさらぬる力を得るであろう」と冗談交じりに行ったことを本気にした結果の産物。たとえそれが嘘だったとしても、彼にとっては本物の品である。




