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英雄に育てられた少女は、どうやら世界を救うようです!  作者: 喜山 涼
第3章 「やがて夜空を照らす者達へ」
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3章ー15話 「人見知りと野生人」


「そういえば、あんたあれどうやってんの?」


「ん、あれってなんだ?」


「あれよ、あの見ただけで人の強さとか判断するやつ。そういやシャーリーとかシルクールさん見たときとかも一目で戦闘力を見極めてたみたいな感じだったしさ」


 なんやかんやで並んで歩くアイリスと山猿。

 場所は学院の内部の廊下。といっても普通の学校の廊下より何倍も幅が広い、何人でも横に並んで歩けそうな廊下だ。そのため新入生でごった返している本日も詰まったりといった様子は見受けられない。

 二人は入ってすぐに正面入口の学内図で老婦人に言われた1-1クラスの場所を確認し、今は教室までの移動の最中である。


「いや、普通に感じ取れるだろ。なんつーかこう、こいつ強いな!みたいな感じで」


「そりゃ戦闘態勢とったりすれば何となくわかるかもだけど、平時じゃそこまでわかんないわよ」


「そういうもんか? 近くに強い奴がいりゃ肌で感じ取れんだろ」


「それはあんただけだっての…」


 そう言って、アイリスは溜め息を吐く。

 先程はただ驚いただけだったが、冷静に考えれば山猿の感知能力は凄まじい。何せ見てもいないのに集団の外のアイリスの存在を見抜いたのだ。まあ、正確に言えばアイリスの戦闘力を感じ取ったと言ったほうが正しいのだが、過程はどうあれ驚嘆に値する能力だ。


「まあ、野生の勘って感じかな。はぁー、それにしても絶対さっきの件で変に悪印象がついた気がする…」


「ハハッ、そんなこと気にしてどうすんだっての。つーか、お前さっきからキョロキョロしすぎじゃね?」


「うっさい…! あたしは人多いところが苦手な上、最初は結構人見知りすんの」


 老婦人と同じところを指摘して来た無神経男にイラッとしてそう答えるアイリスだったが、その様子を見て山猿は不思議そうに首をひねり、摩訶不思議なものを見たかのような表情をつくる。


「は? 何言ってんだお前。俺様がお前と一緒に行動したのはそんな長くねーけど、そんな様子微塵もみせてなかったじゃねーか?」


 山猿のその指摘は正しい。実際に山猿がアイリスと一緒に行動した死の森攻防戦とその前後アイリスはシルクールや討伐隊の面々とも普通に初見で会話していた。しかし、それには理由があったのだ。唯一絶対の理由が。


「あの時はだって、シャーリーがいたじゃない」


「??? 小娘がいたから? ……だからどうした?」


 言っている意味が理解できないと言ったふうに顔面全体で疑問符を浮かべる山猿。しかし、アイリスも同じく何でわからないんだ?とばかりに首を傾げる。


「いやだから、シャーリーの前で弱いとこ見せるのは論外なわけよ。あの子にちょっとでもかっこ悪い、ダサいとかぜーったいに思われたくないの」


「――あれだよな、お前って何かいかにも常識人感出してるけど相当変わってるよな」


「あんたに言われたくはないわね――っと、着いたわよ」


 そんな会話をしているうちに目的地に到着していた。

 大きな扉に1-1の表札。1-1クラスは一階の一番奥にあるため歩く道中に他の一年生のクラスの前を通ってきていたが、そのどの教室よりも少しだけドアが大きい。それはおそらく教室内部の大きさにも比例しているのだろう。

 

 すでに大半の生徒は教室内に入っているのか廊下にはほとんど人がおらず、この一番奥の教室前に至ってはアイリスと山猿の二人しかいない。

 

「人間戦闘力測定器さん。で、このクラスはどんな感じなの?」


「なんか馬鹿にされてる気がするが…」


 そう言いながらも山猿は教室の扉の前に立つ。そして、その口元が小さくつり上がるのを後ろからアイリスは見た。


「ハハッ、いいじゃねーか。有象無象の坊ちゃん嬢ちゃんは同じだが、中に少なくとも三人は相当つえーのがいやがる」


「というか、本当に壁越しでもわかるんだ。野生ね」


「うっせ」


 悪態を吐くがその表情と声音はとても楽しげだ。おそらく今まであったことのない強者に心躍っているのだろう。

 アイリス自身も自分と同じくらいの歳で同じくらいの強さを持つ存在に興味があった。そのため山猿と同じく声が少し弾んでいた。そして、


「三人ということはやっぱり特待生組かな?」


「さあな、それは実際に見てみればいいだけの話だ」


「それもそうね」


 二人は同時にその扉を開け放った。

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