設定補足 Q&A その②
Q:転移魔法術式について
A:何かと作中で登場することの多い転移魔法術式です。これはいわゆる瞬間移動のようなものですが、使用するにあたってそこそこの数の縛りがあります。
そもそもこれを起動させるためにはまず事前に『点A』と『点B』と『その間の動線』の三つを定めてそれを術式に設定する必要があります。これが中々に難解で『十弟子』レベルでもそこそこの時間がかかります。そのためグリシラが大量に持っている魔剣格納用の転移魔法術式が刻まれた巻物はかなりのレアアイテムです。これを例に出すとアイリスやグリシラの使う魔剣が普段ある場所が『点A』、巻物が『点B』ということになります。
そしてこの術式の構築難易度は『動線』の距離と転移させる物質の質量に依存します。そのため人を長距離移動させる転移魔法術式はセシュリアにもつくることはできません。裏を返せば近距離で小さい質量の物質を転移させることの難易度は比較的低くなります。そのためメチャクチャ昔の話ですが、アイリスがデイジーの家に初めて泊まりに来た際にお風呂でデイジーは即席で転移魔法術式を構築して通信魔道具を取り出すことができたわけです。
ちなみに『点A』と『点B』には当然始点終点の縛りはありません。『点A』から『点B』に飛ぶこともできますし、その逆も然りです。
Q:王城を守る結界について
A:前話にて登場した設定です。その簡単な説明はキャロンがしましたがここではもう少し説明を付け加えさせて頂きます。
まず始めにあの結界は外からの攻撃侵入等を完全に阻む代わりに、内から外には問題なく出ることが可能です。あと一つ例外として王族は出入り共に結界の影響を受けません。
防御力に関してはほとんど概念防御に近いほどの強度を持っており、力によって砕くのはほぼ不可能です。故にそんなことを企む人間はほぼいませんが許可を得ずに侵入するには、壊すのではなくキャロンの様にバレずに穴を開けるのがベターとなります。ちなみにキャロンは謙遜していましたが、あの短時間であれができるのは『十弟子』でも半数いないくらいです。
なお結界は転移魔法術式の動線もはじくので、キャロンは結界の内側に転移魔法術式を刻んでいました。その転移先が判明するのは次の幕間となります。
Q:サリスタン国立中央学院の現状について
A:現在は休校状態、そして休校期間は現時点では半年間の予定で復旧作業に王国総出で取り掛かっています。『聖女』がいたことにより、死者重傷者はかなり抑えられましたがそれでも少なくない数の人間があの襲撃で命を落としています。犠牲者の比率は、一般の観光客、学生の保護者や家族、学生、学院の職員の順に多いです。その上、『聖女』の結界により護られていた学院本校舎以外の学院施設及び市街はほとんどは崩壊状態です。
本来ならば人的被害物的被害の両面、そして家族を亡くした生徒のメンタルケアの観点から見ても休校期間半年は短いですが、『サリスタン国立中央学院は王国の育成の象徴であり』尚且つ『一番新たに募るのが大変であろう各教科の担当教員は全員無事で、今後も引き続き働く意思がある』という二点を主な理由に王国上層部は半年という期間を定めました。
Q:聖道院の東西南北について
A:聖道院現役組は基本的にこの四つのどこかに属します。作中でも説明しましたが、寝起きの場所が変わるだけで基本的にここに入ればこれが得られる等の特典や日々の生活や仕事の違いなどはありません。しかし四人のリーダーがそれぞれ個性的なのでそれぞれのグループにはそれに由来した特徴があります。
東:活発で豪快、武術にも興味がある者が多い。
西:冷静で争いを好まないインドア派が多い。
南:聖女の信奉者が多い。
北:日々を楽しく生きる自由を好む者が多い。
ざっくりとこのような感じですね。
これが基本的に修道女が四つの内のどこに所属するかを選ぶ指標になります。もちろんそれ以外でも個人的にリーダーを慕っていてそのリー代が束ねるグループを選んだり、どこでもいいやといった考えで適当に所属するグループを選ぶ修道女もいます。
修道女は修業期間を終えた後にこの四つの中から一つのグループを選びますが、新入組には西と南が人気で東と南が不人気です。ちなみに既存キャラですと、シオンが元東、ファルセが西、ミリアンが南、スタラが北です。もしアイリスがグリシラに出会わずに聖道院に入っていたら東が一番相性が良さそうですね。
Q:王城を守る兵について
A:彼らは基本的に戦闘の腕や技術で選ばれている訳ではありません。簡単に言ってしまえば、古くから王国に仕える歴史の長い貴族の家の人間からのみ選ばれています。つまり血筋です。
というのも、もしもの時に王族を護るのは全て二章で登場したシェルやちょくちょく登場しているリネットが所属している『王家直属護衛部隊』の仕事であり、彼らの護衛という観点から見た職務はあって無い様なものです。
しかし王城を護るという王国兵としては大変光栄で栄誉のある仕事のため、いつ頃からか貴族の人間だけがその職務に就くことを許されるようになりました。