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1章ー幕間2 「英雄たちと魔神」


 これは、私たちが住んでいる王国が出来るまでのお話。


 むかしむかし、人間と魔族はずーっと長い間戦っていました。


 はじめはどちらが攻撃したのか、はじめはどちらが悪かったのか今はもうわかりません。


 でも人間も魔族も必死に戦っていたため、決着は全くつきませんでした。


 そんなとき、一人の勇敢な男の子がこの戦いを終わらすため立ち上がりました。


 男の子の名前はグリシラ。男の子は強くなるために小さなころから剣を振っていました。


 グリシラは勇敢で、弱い者いじめが大嫌い。みんなを守るヒーローのような少年でした。


 すくすくと成長し、18歳になったグリシラは辺りでは敵う者がいないまでに強くなりました。


 「俺は魔神を倒す。だが一人では無理だ、協力して戦ってくれる仲間が欲しい」


 グリシラはこの戦いに終止符を打つために仲間を募って、直接魔族の長である魔神を討つことを決意しました。


 しかし、仲間は4人しか集まりませんでした。みんなはグリシラの考えを無謀だと思ったのです。


 落ち込むグリシラの所へ、集まった4人のうちの1人が近寄ってその頭をそっと撫でました。


 雪のように白く長い髪をした美しい少女でした。そしてグリシラはこの少女を知っていました。


 「あなたは昔、私を助けてくれた。だから今度は私があなたを助けるわ」


 その少女は子供のころグリシラが弱い者いじめから助けた女の子でした。


 少女の名前はリーヴァイン。グリシラの力になるため聖道と呼ばれる独自の力を身に着けていました。


 「僕も魔神討伐に加わらせてもらうよ。平和な世界のために」


 その少年はグリシラと昔から一緒に修行していた幼馴染でした。


 少年の名前はリレイシュ。戦いの実力はグリシラには敵いませんでしたが、剣技だけならばグリシラよりも上でした。


 「我はそろそろこの不毛な戦いにうんざりだ。ここらで終わらせよう」


 その男は人間の最上位に立つ魔法使いでした。


 男の名前はムファム。火水風土雷光闇の魔法を操り、5人の中で唯一遠距離から強力な一撃を放つことができ、魔道具の開発も得意でした。


 「あたしは強い奴と戦えればそれでいい。だから、魔神と戦うためおまえに協力してやる」


 その女は力を求め戦いに明け暮れていた武人でした。


 女の名前はミレスタ。素手の戦闘では他の四人は彼女に傷一つ負わせることは敵わない程に頑丈な肉体と屈強な腕力を持っていました。


 この4人となら魔神を倒せるかもしれない。グリシラの瞳に希望が宿り、5人は魔族の領土である魔界へ旅立ちました。


 五人の力は圧倒的でした。


 前衛で戦う―グリシラ・リレイシュ・ミレスタ。後衛から魔法攻撃をする―ムファム。防御と回復でサポートするリーヴァイン。


 5人は魔物たちを次々と打ち破り、ついに魔神の前へとたどり着きました。


 「俺様を討ち滅ぼしに来たか、人間よ」


 魔神の力は圧倒的で、5人でも五分五分の戦いをするのがやっとでした。


 5人と魔神との戦いは長く、中々決着がつきませんでした。


 しかし、ついにグリシラの聖剣が魔神の心臓に突き刺さり決着がつきました。


 5人は見事に魔神を討ち滅ぼしたのです。


 人間界へと帰った5人を人々は英雄だと讃えました。


 「俺が新たな国をここに造る。名前はサリスタン王国。みんなが笑って暮らせる国だ」


 人々はその宣言を喜んで受け入れ、グリシラは皆の推薦の元に王となりました。


 「俺にはお前が必要だ。俺と結婚して一緒に生きてくれ」


 「はい、よろこんで」


 王になった夜。グリシラはリーヴァインへ婚姻の申し込みをして、二人は夫婦になりました。


 リレイシュとムファムは、二人とこの国を支えるためサリスタン王国に残って王国設立にも大きく貢献しました。


 ミレスタはまた新たな強者を求めて、王国を去りました。


 こうして長く続いた人間と魔族の戦いは終わりを告げたのでした。


 そして王国ではこの5人を王国五勇星と呼んで、建国の英雄として語り継ごうと決めましたとさ。


                                       おしまい


 あとがき


 これを読んでいる皆さんの時代も平和であることを願います。


                               シュレイミー・クリフト


*****―――


「あー、やっと終わった。長編の絵本製作って大変だー」


 男――シュレイミー・クリフトがグーッと伸びをして、手にしていたペンを置く。

 

 シュレイミーは昨年まで王城で働いており、引退した際にこの五勇星に関する絵本を書こうと決めていた。

 建国当初から王城で働いていたシュレイミーは、すぐ王国を出たミレスタとも多少親交があり5人全員と知り合いだったのだ。


 自分が書いた本を見返すシュレイミー。やっとの思いで絵本を完成させたのに心なしかその表情には複雑そうな笑みが浮かんでいた。


「……子供向けにしたから全員性格が少々変わってるけどこれはしょうがないよね、うん。大丈夫、ダイジョウブ。……あー、見つかったら5人中4人くらいからボコボコにされちゃうかな…」


 ――でも、まあ僕みたいな凡人の書いた本なんて一部の人しか読まないだろう、心配しすぎかな。


 そう思いつつも引き出しの中に絵本をしまうと、


「よし、決めた! あと10年たって僕が生きてたらこの本をムファムさんの魔道具で何個か複製して売ってみよう。その頃には、さすがにみなさん丸くなってるでしょ」


 そう決めて、シュレイミーはささっとベットに入り眠りについたのだった。


 そして、10年後この本はシュレイミーの手によって発行され、今ではもっとも多くの人に読まれたサリスタン王国を代表する絵本となった。


 ――これは450年前のとある絵本作家のお話。

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