全校生徒アンケート解決
さーて、今日もトイレでご飯と行きますか。
洋式のトイレに座り、弁当箱を開ける。
「トイレに入ってる人。話があります」
うわた。危ない。箸を落としそうになったよ。驚くほど平坦な感情のない声だったし。
「開けなさい。おかずの香ばしい匂いがします。正規の使用方法でトイレを使わない人にはペナルティーです。開けなさい」
どんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんどんドンドンドンドントンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドン!!!
こわいよ。こわいよ。トイレでお弁当を食べようとしたらね……ノックを執拗にする人がいるんですよ!!
「開けなさい。開けなさいはやく開けなさい開けてください。開けろ開けろ開けろ開けろ開けろ。もしや……正規の使用方法で使っているかたですか。それはないですね。私の嗅覚に間違いはありません」
平坦な声こわい! それになんで嗅覚に絶対の自信を持ってるの!?
よーし。コミュ障だけどやめてください何処かに行ってくださいと毅然とした口調で言おう。
「あ、あの」
「やっと話してくれましたね」
あっちょっと優しい声に
「さっさと開けろ」
「ひえええ」
平坦な声に戻りましたね。戻りました。悲鳴がでました。
「開けませんか。では、登ります」
大きい音がした。
「やっと顔を見れました」
声がした。上を向く。
そこには私を血走った目で覗く長い黒髪の女が……
「うえれぎゅああああああ!!」
ふふふ。僕は今日、一人の女の子を天使にするんだ。
僕は一週間前、女の子にフラれた。
それは当然だろう。彼女は穢れなき女の子なのだから。
僕みたいな不浄な男など受け付けないのだろう。当然だ。
彼女は人間の肉体に封印されていて翼を生やせない。
だから僕は彼女を屋上から落として解放させるんだ。
ふふふ。計画は明日。
生徒会アンケートに毎日のように練習した彼女の筆跡を書いてだした。
一年間練習したんだ。誰も僕の筆跡だとは思わないだろう。
彼女が肉体から解放された時に多人数の認識を受けて彼女は天使になるのだ。皆の心の中の天使に。
「ふふふ」
「おっと。トイレに入ってる奴いたな。おい。弁当食べているのか?」
雑音が入った。トイレの外から。弁当など食べているわけないだろう。
「俺はな。さっさと仕事を済ませてカップル撲滅運動に乗り出さないといけないんだよ」
気になる発言があった。
「カップル撲滅運動……」
「ああ。だからさっさと出てこい」
「聞いてもいいですか。男をふる女性についてどう思います」
「……好きの気持ちが強いほどフラれた男はその女の事が憎くなるな。何か適当な理由を見つけて殺してやりたいと思うほど憎く思うだろう」
「そうですよね」
「でもな。殺すなんて論外だ」
「!? 何故です?」
「警察沙汰が一割。警察を舐めるな。絶対に捕まる。そして残り九割だ。フラれた男はな。その子の事が殺したいほどにその女を愛してたんだよ。その憎しみをぐっと堪えて彼女の幸せを願ってやるのが真の男だろ!!」
「で、ですか他の男と付き合うと思うと」
「だからカップル撲滅運動だ。カップルさえなければ女の子は無垢なままだ。男と付き合わなくても女の子は幸せなんだよ。天使のままなんだ」
「天使のまま……」
「そうだ。大丈夫。子供はコウノトリが運んでくれるから大丈夫。百歩譲って人類が滅びてもかまわない。滅び行くとき女の子は無垢なままだから」
こ、こんなにぶっ飛んでる人を始めてみた。
「あなたは神か……」
「そうだ。お前はなんだ?」
トイレのドアを開けて神の前にひざまづき、頭を垂れる。
「ここ、汚いからやめろ」
「……はい」
「で、お前はなんだ」
「僕は貴方の考えに賛同する者。貴方を信仰する者です」
「そうか。では一緒に目指すか? カップルのいない新世界を」
「喜んで!」
僕は見つけた。一人の女性だけでなく全ての女性を天使にするべく、戦っている神を!!
「いたいたおーい。生徒会にグラウンドで修行するの、苦情でてるからやめろな」
「苦情か。失礼した。今度から教室で腹筋に勤しむとしよう」
「おお。頑張れ頑張れ」
腹筋も苦情が来そうだな。
「ところで剣持は何をしていた? 昼休みに姿が見えなかったが」
「ちょっと花壇の整備をな。生徒会の仕事だ」
「ふむ。珍しいな。二人で探したのだが見つからなかった」
「まあな。飯は食べたのか?」
「ああ。食堂にシチューがあってな。美味であった」
アンケートを反映すんのはええ!