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いちにちひとつぶ ~迷える君への贈りもの~  作者: おじぃ
7年前

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幸福度上昇中

 不思議なビーズを手にした私は半信半疑でそれを一日一粒ずつテグスに通していった。特に不幸な生活を送ってはいないけれど、損はないと思った。


 当時私には中学三年生の従兄がいた。川越かわごえ勇一ゆういち、将来は病や怪我に苦しむ人々を救いたいと語る、本当の意味で『医者』になりたい学生だった。


 ちょうど私の家に来ていた彼に、少しでも夢に近付ければとそのビーズ細工のセットを一つ渡し、一日一粒ずつテグスに通すよう伝えた。


「これ、なにかのおまじない?」


「そう、勇一くんがお医者さんになれるように」


「へぇ、ありがとう。さっそくきょうからやってみるよ」


 私は彼が喜んでくれて嬉しかった。このビーズに効果があるかは定かではないけれど、これでもっと受験勉強を頑張ってくれれば本当に夢を叶えられるかもと少し期待している自分がいた。


 2月、私の元に吉報が届いた。勇一くんが私の家に遊びに来たときだった。


「ありがとう。さやかちゃんのおかげだよ」


「ううん、きっとあのビーズのおかげだよ」


 なんと、努力が報われたのか、彼は合格圏内とは程遠い高校に一般入試で合格した。これで彼は夢へ一歩近付いた。


 4月、勇一くんは高校に通い始め、そこで出会ったある女性に恋をした。


 ……のだと思う。私の家に遊びに来るなりリビングのソファーに置いてある座布団にニヤニヤしながら抱き着きウンウン言いながら左右に小刻みに転がっていた。


「勇一くん、大丈夫?」


「大丈夫だよ。けどなんだかむず痒いんだ。胸やけしたのかな? こんなこと、いままでなかったから自分でもなんだかわかんないよ」


 勇一くんはニコニコしながら嬉しそう、いいえ、どちらかといえば楽しそうに病状を訴えた。


「その病気、きっとお医者さんでも治せないよ?」


「大丈夫だよ〜ぉ、胸やけなら胃腸薬で治るから〜」


 言いながらもその後、日に日に胸やけは更に激しくなったらしいけれど、勇一くんは胃腸薬を服用しなかった。


 そんな勇一くんには後日、更なる幸福が訪れたのだけれど、その辺りから彼らの運命が大きく変わりゆくのだった。

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