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いちにちひとつぶ ~迷える君への贈りもの~  作者: おじぃ
高校生活 冬

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大晦日

 翌日、大晦日、きょうも引き続き俺と未砂記は家の大掃除をしていた。こうもトラブルのない日常は、俺にとって決して当たり前とは言えない、非常に貴重なものだ。昨年、家族と過ごした年末は、喧嘩と暴力の正に地獄絵図だった。あぁ、なんて幸せなのだろう。


 午後、未砂記が家にオタちゃん、浸地、石神井さんを呼んだ。


「なぁオタちゃん、ビーズの意味はもう聞いたんだろ?」


「うん、でも意味は仙石原さんから聞いたほうがいいよ」


 オタちゃんは就職試験の少し前、二学期の初頭頃にビーズの製作を終えた。俺と同じ日から始めたのに一体どういうことだ?


「優成にもそろそろ教えてあげるよ。だからそれまで待っててね!」


 と、未砂記。前にもそんなことを言われた。俺は「はぁ」と、気の抜けた返事をした。


「本当に、そろそろ教えてあげる」


 そろそろとはいつなのか。明日か、明後日か、再来年あたりか。気が遠くなって、意識も遠くなってきた。昼寝をしよう。



 ◇◇◇



 昼寝をしているうちにみんなは帰ってすっかり夜になっていた。時間は紅白歌合戦が始まる少し前だった。


「優成、お風呂入りなよ。今年の汚れは今年のうちにね!」


「あぁ、未砂記はもう入ったん?」


「入ったよ! 優成が爆睡してる間に。今から年越蕎麦茹でるから、優成が出たら食べようね」


 お言葉に甘えて、ゆったり脚を伸ばせるバスタブに入浴中。


「ぷはぁ、いい湯だなぁ」


 独り言で微妙な満足感に浸る。


 風呂といえば、この家での寝泊まりを始めた夜、ここに未砂記がとか妄想してひっそり興奮してたな。未砂記が聞いたら変態だとか思うだろう。だが大概の男子はそんなものだ。修学旅行のときなんか、一人が言い出すと、ほぼみんなが同じ様なことを言い出して盛り上がる。心のベールを脱いで、異常なまでの変態っぷりを発揮するんだよな。群集心理って恐ろしいわ。


『群集心理』とは、例えば、そこにいる多くの人が誰かや何かに対して共通の不満を抱いているとき、その中の一人が文句を言い出すと他多数の人もそれに続いて文句を言ったり暴れたりするときなどの心理状態。


 一言で言えば、


『赤信号、みんなで渡れば怖くない』


 俺は風呂に入ると、どうでもいいことを長々と考える癖がある。


 さて、そろそろ出て、年越蕎麦でもいただくか。重い腰を起こして、長湯による目眩めまいでふらふらしながら風呂を出た。

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