下着泥棒
掃除を終えて、近所のコンビニで買いもの中。
「宮下さん、こんにちは」
俺に挨拶してきたのは、石神井さん。なんて礼儀正しい清楚で良い娘なんだ。
「こんにちは、石神井さん」
石神井さんは、俺が持ってる店内カゴを見つめた。やべ、そういえばコンドーさん入ってる……。
「あっ、これ、私も好きです」
少し頬を赤くしながらカゴの中身を見つめる。
えぇーっ!? まだ傷付いてなさそうなのに、こういうの意外と好きなの? 実はけっこう凄まじかったりするのか!?
「へ、へ〜ぇ、そうなんだ……」
「えぇ、結構イケますよ? いままでにない感じです」
結構イケる!? 今までにない感じ!?
「へ、へ〜ぇ、じゃあさっそく試してみよう……」
「えぇ、是非! 意外と合うんですね、ポテトチップスとマヨネーズ」
あっ、そっちかぁ!
石神井さんが見ていたのは、コンドーさんの隣に置いた、ポテマヨチップスだった。こっちはこっちで意外だな、こういうの食べるイメージないから。
「あと、煙草は駄目ですよ?」
煙草? 煙草は吸わないし、レジの後方に置いてあるから間違ってもカゴには入れないはずだが。
あ!!
言って、石神井さんはカゴの中の箱を手に取った。
「い、いや、こ、これはっ、は、ココアシガレットだよ? 意外とイケるんだよ!?」
どうやら石神井さんは、コンドーさんを煙草と勘違いしたらしい。なんだか冷や汗をかいてしまった。
「あっ! そうでしたか。失礼致しました」
石神井さんが隣にいるし、割と大きめの声でココアシガレットと誤魔化したせいで、会計時、これまた清純そうな若い女性店員の目が異常に気になった。
未砂記の家に戻った俺は、色々あって疲れたのでソファーで昼寝。ネコが出入り出来るように少し窓を開けてあるので冷える。夏だと暑く、たまに枕元にネコが捕獲した鳥や虫が置いてあるので怖い。
◇◇◇
「コラッ、お前、ガールフレンドの下着盗んでブルセラに売ろうとしたんだろ?」
警察の取調室だ。俺が下着ドロ? いやまさか。
「なに言ってんだ、ほら、俺の一本やるから、正直に言ったほうが楽だぜ?」
警官は俺に煙草を勧めた。
「あぁ、じゃあ遠慮なく」
未成年に煙草勧めてるよ。法を犯した者を取り締まる警官が。
「未成年の喫煙は駄目なんよ?」
警官は自ら勧めた煙草を自ら引っ込めた。そりゃそうだ。
「わぁってるよ。それに、俺は生憎タバコはやらない主義なんでね。とにかく、それでも俺はやってないから、アンタ、面倒なんでしょ?真犯人捜すの」
◇◇◇
なんだ、警察でのくだりは夢か。寒いので手を口元に置き、からだが縮こまっていた。
うわ〜、なんかさらさらふわふわで気持ちいぃ〜、ズリズリ。
ん? 俺、なににズリズリしてるんだ?
「うわっ、優成、隠れてそんなことするなんて最っ低」
?
「現行犯だよ」
現行犯? だからやってないって。それにあれは夢だろ? コイツ夢を覗けるのか?
!!!?
「いやっ、違う! 違う! これはっ!?」
な、なんで!? なんで俺の手の中に未砂記のピンクのパンティーがあるんだ!?
「このバカチン!!」
ボコッ!!
「ぬぁふぉぁっ!!」
未砂記に急所を殴られた俺はその場で疼くまった。
シャンシャンシャン♪♪
「にゃ〜」
どこからともなくネコが現れ、疼くまる俺の頭上に何かを置いていった。
「あっ、そういうことかぁ!! ごめんね優成」
ネコが置いていったのは俺のトランクスだった。つまり、未砂記のパンティーを置いていったのも多分コイツだ。
「ごめんじゃ済まねぇ……」
急所を殴られた痛みは相当なものだ。ゴールデンボールにジワジワ響く。
「でも、パンティーでズリズリしてたのは事実だよね?」
あっ、そういえば。
「いやそれも違う!! 寝ぼけてて!!」
ボコッ!!
「どふぅああああ!!」
「ゴメン、いまのはノリでやった」
テヘヘって顔しやがって。こっちがどんなにつらいかわかってるか?
「お、覚えてろ……」
そのまましばらく、情けなく縮こまり、晦日の夜を迎えた俺だった。明日はいよいよ大晦日》。
今年は残り1日。今宵も変わらずテグスにビーズを一粒通す。




