事情
翌日の夕方、未砂記の家で勉強会をすることになった。面子はオタちゃん、浸地、そして新しく俺たちの仲間に加わった石神井さん。
「おじゃましまーす!」
シャンシャンシャンシャントコトコトコトコ。
「ウナァーン。ナャーン。ニャッ!」
浸地たちが家に入ってきたとき、どこかに隠れていたネコがみんなの輪の内にしれっと入ってきた。
そして俺を除くみんなの膝にズリズリした。
あぁそうですか。
「あっ、石神井さんだね!? はじめまして!! 未砂記です! よろしくっ!」
「はいっ、はじめまして。石神井さやかです。よろしくお願いします」
未砂記は同じ学校なので顔は知っていたようだ。
その後、勉強が苦手な俺と未砂記は眠ってしまい、勉強会は三人だけでやったようだ。
◇◇◇
僕は、小田博文、鉄道員志望の鉄道ファン。
勉強会を適当な所で切り上げ、大甕さんはキッチンを勝手に使って食事の準備を始めた。部屋には僕と石神井さんと、ソファーで眠っている宮下くんと仙石原さん。僕と石神井さんは小学校からの知り合い。互いに気兼ねなく話ができる数少ない人の一人。
「ねぇ小田くん、ちょっと話があるんだけど、いいかな?」
「どうしたの?」
何だろう? かなり不安げな表情だ。
一度、玄関の外に出た。
「あの、実はね……」
彼女の相談は僕が想像だにしない内容だった。
「そう、か……。本当なんだね?」
「うん、どうしよう。小田くん、どうすればいいの?」
「大丈夫だよ。きっとわかってくれる。よく話してくれたね」
とは言ったものの、これは大変なんてもんじゃない。僕がその立場だったらきっとストレスで死んでしまう。彼女を救うにはどうすれば? 早くどうにかしてあげないと。掛け替えのない友人を見捨てるなんて、できないよ。
◇◇◇
三人が帰った虫鳴く夜、再び二人だけのリビング。
「優成ぃ、ちょっと話があるんだけど」
「どうぞ」
「ありがとう。優成には知っておいて欲しいんだ。あなたにはなるべく隠し事したくないから」
急に、まるで別人のような口調だ。俺はこの後、未砂記の壮絶な過去を知る。




