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いちにちひとつぶ ~迷える君への贈りもの~  作者: おじぃ
高校生活 夏

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裸エプロン

 花火大会が終わり、俺は未砂記の家に上げてもらった。


 築15年の一軒家、海岸地区ではやや広めの50坪くらい。南側に庭があり、土地全体の面積は60坪程度だろう。


 いま未砂記は入浴中で、家には俺と未砂記のほか誰もいない。


 俺はテレビも点けず、広いリビングのベージュ色で大きなソファーにポツンと座っている。未砂記は普段、この広い家で一人きりなのか。


 なんだか落ち着かない。あまり散らかっていないからか生活感があまりなく、どこか寂しい。


 未砂記の生活を想像しながら40分が過ぎたころ、彼女が風呂から出てきた。


「お待たせー! お風呂入っていいよ!」


「ん~と、あなたの目の前にいるのは誰でしょう?」


「なに言ってんの!? 優成でしょ? 彼氏のこと忘れるほど馬鹿じゃないよ」


「なるほど。じゃあ、俺の性別は?」


「男の子でしょ? 私レズじゃないよ。そこまで馬鹿にされると傷つくなぁ」


「で、その格好は?」


 上半身は大きめの白い無地のシャツにピンクのブラが透けて見える、男の前とはいえ真夏のクソ暑い季節の格好としては割と普通。しかし下半身はおそらくパンツ一枚。シャツが大きいのでパンツはギリギリ見えないチラリズムが男心をくすぐる。


「あっ、もしかしてエッチな気分になっちゃった? 私、大人っぽくてセクシーだからね!」


 いやいや、あなたの外見は大人っぽくないですよ? 顔は割と童顔だよな。


 思うことは色々あるが敢えてスルーして風呂へ。


「うわっシカト!? これが恋人に対する態度ですか!?」


 返せそうな言葉が見つからないのでシカトして風呂に入る。俺って、かなり感じ悪いんだろうな。


 浴室は広く開放感がある。浴槽の湯はメントール入りのミルキーバスで心地良い。それに風呂独特の匂いも自分の家の正人が腐らせたものより格段に良いものだ。それに、さっきまでここには未砂記が……。



 ◇◇◇



「優成? まだ出ないの?」


「ん?」


 風呂のモニターの向こうから未砂記が俺を呼んでいる。


「もう1時間以上経ってるよ」


「はい!?」


 要らぬ想像を膨らませているうちにすっかり眠ってしまったようだ。湯はかなり冷めていた。少し温かいシャワーを浴び、さっさと風呂を出る。


「俺としたことが……」


 とりあえず着衣してリビングに戻る。そこには少し色褪せた青いジーンズを履いた未砂記が、テーブルの上にみじん切りにされた玉葱の炒飯や、ほうれん草入り卵スープを二人分用意して待っていた。


「遅いよぉ、間抜けな寝顔さん」


 俺は爆睡すると口を開けてしまうのだ。


「見たのか、俺の間抜けヅラ。ところでこれは、未砂記が?」


「そうだよ! ほかに誰がいるのさ」


「それもそうだ」


 女の子の手作り料理は嬉しいものだ。それにここなら正人の帰宅を恐れずゆっくり食事ができる。一度で二度美味しいとはこのことか。それにしても未砂記が料理できるなんて、失礼だが意外だ。


「優成のためにいっぱい愛情込めてつくったからいっぱい食べてね!」


「サンキュー。いただきます」


「いえいえそんなご主人様ぁ。私もいただきます!」


「ご主人様?」


 時々変なことを言う子なので本音を言うとそんなこと気にも留めていないが、敢えて突っ込んでみた。


「優成が絡んできた。珍しい」


 なんだその冷静な反応は!? 俺が絡むのがそんなに意外だったか!?


「うるせぇ」


 それしか返せる言葉がなかった、頭の回転が悪い俺。


「早く食べなよ。冷めちゃうよ」


「あ、はい」


 未砂記は俺が一口目のスープを口に運ぶのを興味深そうにじっと見ていた。


「どお?」


「美味しい。マジで」


 匂いは美味しそうだが味はどうかと予想していただけに驚いた。


「でしょ!? 良かったね! いい彼女ができて!」


「それを言わなければなぁ」


 食事を終えると未砂記は食器を洗うため台所へ。お世話になっている俺が何もしないのも良くないし、ここまでやらせてしまうと肌がむず痒いので何か手伝おうと後を追った。


「どうしたの? 裸エプロンやってほしいの?」


 その一言で手伝う気をなくした。そして無言でその場を立ち去る。


「あっ! またシカトした!」


「何か手伝おうと思って来たの!」


 すると未砂記は急に俺を包むように穏やかな笑みを浮かべながらいった。


「知ってる。優成ってそういうヤツだよね。今日くらいなにも気にしないでゆっくりしなよ」


「いや、でも……」


「いいから! 次からは手伝ってもらうからね!」


 また見透かされた。俺に気を遣わせないために、わざとあんなことを言ったんだ。


「サンキュー。じゃあお言葉に甘えて」


「じゃあテレビでも見てて! ちょうどいまなら世界遺産の番組が大画面で見れるよ!」


 実質一人暮らしなのに大画面のテレビ。これは単身赴任の父親が送ってきたらしい。


 リビングに戻った俺はさっそく世界遺産の番組をフカフカなソファーから大画面で拝む。一度はその遺産の数々を訪れてみたいものだ。それから間もなく未砂記が戻り、俺の隣に座った。


「優成ぃ、明日ネコちゃん退院だからね」


「おっ、そうか、そりゃ良かった。でもホントにいいのか? ここで面倒みてもらって」


 未砂記は以前から家でネコを預かってくれると言ってくれている。


「うん! 全然問題ナッシングだよ! それよりさ、そろそろ私の部屋、行かない?」


 そういえばそうだった! 寝る部屋いっしょじゃん! ほかの部屋はすべて使ってるみたいだし。やべ、どうしよ。

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