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未砂記とヒタッチ、ふたりはなかよし♪

 大切な人の命を奪った凶器で、誰かを幸せにできるのか、私には少し自信がない。それは、心の何処かで相手を疑っているに等しい。


 ついさっき、私は絶賛片想い中の男子とその友達に、ある特殊な力を持つビーズを渡した。取り扱いを誤ると危険なアイテムだけど、きっと彼らなら渡しても大丈夫と、疑うより強く思ったからだ。


 彼とは中学三年生以来、3年ぶりに同じクラスになれたけど、私は校内で擦れ違う度に挨拶をしたり、彼の教室の前を通る時や、同じ軽音部なので、部活中にさりげなく目を遣っていた。


 私、仙石原未砂記が同級生の宮下優成を良い意味で意識し始めたのは5年前、中学一年の夏休み前。


 良い意味でというのは、宮下の第一印象はイケメンとは程遠い地味なキノコ頭で何を考えているのか想像出来ず、将来は殺人事件やテロを起こしそうなオーラが漂っている上、口下手で誤解されやすい性格だから。でも、イジるとちゃんとノッてくれるし、日が経つに連れて気怠そうでのんびりした彼の性格に親しみを覚えるクラスメイトも多くなった。基本は単独もしくは少人数で行動し、大勢と群れることはないけれど、特に女子からは恋バナを持ち掛けるとキョドったりするとかでイジリ甲斐があって人当たりもそんなに悪くないから、秘かに人気を集めていた。



 ◇◇◇



「未砂記ー! 一緒に帰ろー!」


 私の想いを知りながら、高校一年生の間ほぼ丸1年、宮下と付き合っていたのが、いま声を掛けてきた親友の大甕浸地おおみかひたち。私は“ヒタッチ”と呼んでいる。美人で長い黒髪フェチという噂の宮下にとっては絶好のルックスで、気立て良く親しみやすい性格のヒタッチは、のんびり屋の宮下とは相性バッチリだろう。別れた今でも友だちとして良好な関係を築いている。


 だけど、本来ふたりは別れる必要などなかったはず。これは私の確信に近い推測だけど、ヒタッチは私の宮下に対する想いを知りながら付き合うのに負い目を感じていて、我慢できなくなり別れを切り出したのだと思う。私もヒタッチも、それについては互いに口に出さない。ふたりが別れた後、ヒタッチはただ、宮下とは友達関係の方がしっくりくると私に話し、多くは語らなかった。


 ヒタッチと宮下はお母さんが同郷の福島県会津あいづ地方で、お互い近所に実家があり、親子二代、物心付いた頃からの幼馴染み。


 付き合うきっかけは、高校入学から一ヶ月も経たない放課後の教室で、宮下が告白したらしい。ヒタッチから告白されたと相談された時からしばらく、私は喪失感と絶望に暮れ、毎晩ベッドで嗚咽を漏らし泣きまくった。やっと二人の仲を心から応援できるようになったのは三ヶ月くらい経った夏休み前だった。


 少し陽が陰ってきた部活上がりの17時。私はヒタッチと一緒に学校の最寄駅である茅ヶ崎ちがさき駅まで歩くことにした。私の家は学校と茅ヶ崎駅のほぼ中間地点にあるけど、ヒタッチは茅ヶ崎から下り電車で30分弱かかる小田原おだわらから電車通学しているので、付き合うのだ。


 小学生時代、私とヒタッチは横浜よこはまの私立学校に通っていたので、当時は決まった時間の電車、決まった車両の同じ位置のドアで待ち合わせて一緒に通学していた。ヒタッチいわく、あの頃乗っていた『みかん電車』は新型車両の導入により昨年春に姿を消したそうだ。街の雰囲気も徐々に変化し、時の流れを感じる。


 街も人も、人の心も、みんな変わりゆく。変えるべきもの、変えてはならないものまでも。


「ねぇ未砂記、いつも駅まで来てくれてるお礼に、今日はモス奢る!」


「マジで!? モスですか!? あの高級なモスですか!?」


「そう! あの高級なモス! ロッテプラスでもマックでもいいけど!」


 ロッテプラスはロッテリアプラスの略で、全国でも数ヶ所しかないんだとか。他の街にあるロッテリアより落ち着いたインテリアで、限定メニューもある。


 こうして大親友と一緒に過ごす時間は、とっても、とっても幸せだ。好きな人は先取りされちゃったけど、私、ヒタッチにはすごーく感謝してる! 一緒に居てくれるだけで、とーっても嬉しいんだ!


「よっしゃー! ぜんぶ行こー!」


「あんたどんだけ食うんだよっ!」


「へっへっへっ、奢って貰う時の私の胃袋はブルァックァフォーラゥ」


 決まったぜ! 『ブラックホール』のネイティブ発音!


「じゃあ次郎五杯くらい奢ってあげる」


 あ、せっかく決まったネイティブ発音スルーしやがった。


「やだなぁ、私はギャル曾根じゃないよ?」


「フッ、ブラックホール撃ち破ったり!」


「ヒタッチ、なんて哀れな勝利なんだ……」


「う、うるさいなぁ!」


 イジると頬をムッと膨らますヒタッチはちょっとかわいい。


 時代ときは流れて、取り巻くものは変わってゆくけれど、きっと私とヒタッチの友情は、こんな感じでずっと変わらないだろう。


 あ、冒頭で今回は恋バナメインみたいな雰囲気出しといて、殆ど語らなかったね。それは次回ってことで、ばいばい!

 お読みいただき誠にありがとうございます!


 うーん、ジャンルが、ジャンルが……。ただ今後の展開を考えるとファンタジーなんだよなぁ。

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