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いちにちひとつぶ ~迷える君への贈りもの~  作者: おじぃ
浸地の小学生時代

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納得いかないこの社会の仕組み

 未砂記には保健室へ行くように勧められたけれど、高熱や大怪我でもないのにそれは大袈裟と思い、我慢して二人で教室に直行した。しかし、それは間違いだったのかもしれない。


「あれ? ヒタッチの机がない?」


 きょとんとしながら私の机がある筈の教室後部出入口に一番近い壁側最後部のスペースを見遣る未砂記と、やっぱり教室なんか来なければ良かったと後悔する私。この列だけ、机が一つ足りない。


 教室中をよく見渡すと、教室中央部付近の一列だけ、所定の五人より一人分多い六人分の机が配置されている列があるのに気付いた。気付かれにくいよう、他の列も前後の机の間隔が不均等になっている、巧妙な手口。


 やがてホームルームの時間となり、担任の中年男性教諭が壇上に立つ。


大甕おおみか、席はどうした? っていうかあれか。おいお前ら、あの手この手でクラスメイトをおとしめるのいい加減やめないか。今回ので嫌がらせされたの何人目だ」


 トラブルが頻発すると査定に響く。とボソリ漏らした担任は、無言のまま指差しで出欠確認をして、空席が欠席者のものか、浸地のものかを見定めるため教室を見渡した。結果、私の机は教室の中央付近にあると判明。かなり判りにくい位置だ。


「ヒタッチ、机、元に戻そっか」


 未砂記以外誰ひとり口を開かない教室で、私と未砂記の二人で机を元の位置へ戻す。教室には通路を空ける机が床を擦る音だけが響く。未砂記以外の全員から一斉に負の感情を突き刺されているようで、全身がゾクゾクする。


「大甕さんって自分だけが悲劇のヒロインだと思ってない?」


 一時間目が終わった後の休み時間。窓際の隅で固まる女子四人グループの会話が聞こえてきた。


「だよねー。私なんかこの前ちょっと机から目を離した隙に教科書とノート全部盗まれて、ママにお願いして新しいの買ってもらったばっかりなのに。いじめられるのがつらいのはみんな一緒なんだからさー、単に順番が回って来ただけであからさまに落ち込んだ顔しないでほしいよねー」


 胸がずんとして、頭に重たい痺れ(しびれ)が走り、呼吸が少したかぶる。それを必死に抑える。周囲に気付かれないように。


 とてつもなく、気色が悪い。あの集団を中心としたこのクラス全員が。


 確かにみんな同じと言われれば、イジメという事柄そのものは客観的かつ狭義きょうぎにはそうかもしれない。だからといってそれを正当化して良いとは私は思わない。みんな同じと言って、面倒事を遠ざけている。あたかもそうやって我慢することで、事案がクリアされたような錯覚という虚構の安堵へ逃げ込もうとしている。それで精神を安定させられる人もいれば、そうでない人もいる。そして多くの人は、後者を余計な荷物として処分しようとする。


 この世に生を受けて約十一年。少しずつ、社会の仕組みが見えてきた。

 お読みいただき誠にありがとうございます。この頃は更新が遅くなりまして申し訳ございません。


 浸地の心理描写は小学生にしては難しい言葉遣いとなっておりますが、稚拙表現によるじれったさの解消と、彼女が進学校の生徒という設定を鑑みた結果としました。

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