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いちにちひとつぶ ~迷える君への贈りもの~  作者: おじぃ
浸地の小学生時代

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強くなりたい

『イジメっていうのはね、苛められるほうにも原因があるの。苛められたくなかったら大きい声で反発したり、何も気にしないであっけらかんとするくらい強くなりなさい』


 昨夜、イジメについてお母さんに相談したらこう言われた。そんな決まり文句で解決できるような問題じゃないし、前に苛められた子の様子から、反発したら相手は面白がってもっと手を出してくる。逆に気にしないフリをしても同じで、出口が見えない。


 世界は愛に満ちているとか、優しさで溢れているなんてよく言われるけど、あれは嘘だ。学校だけじゃない。街を歩く人の白けた顔や勝手な振舞い、電車での肘討ち椅子取りゲームなどを見ていればよくわかる。


 お母さんもみんなも、無責任なこと、言わないでよ。


 キレイゴトという気休めにもならない麻酔薬は、現実と化学反応して心身を蝕む猛毒に変わる。思考を停止させ、ときにオーバーヒートを引き起こし、呼吸困難になるくらい激しい動悸と胃痛を伴い、精神的ダメージと相俟って眠れなくなり、もう、自分が何なのか判らない。


 あぁ、今日も学校に着いてしまった。校門を抜けて目の前にある木では、クマゼミが「シネシネシネシネー!」と嫌がらせのように鳴いている。セミは結婚相手と出会うために必死なのは理解しているけれど。


「死ねじゃないよお!! 生きるんだよお!! アライブだよお!!」


 生徒が校舎に向かって歩くなか、ひとり木の前に立ち止まり、セミの声がするほうを見上げながら説教をしている生徒がいた。未砂記だ。イジメの被害を少しでも軽くするために昨日から遠ざけてしまっているけれど、こういうときはそれとは無関係に知らない人のフリをしたくなる。


「あっ! ヒタッチ! 昨日からなんなのさー! 待っててって言ったのに先に帰っちゃうし、今朝はいつもの電車に乗ってなかったし」


 気付かれないように黙って通過しようとしたら、呼び止められてしまった。未砂記は今日も変わらず笑顔が満開で楽しそうだ。


「ごめん。昨日は用事を思い出して、今朝は体調が悪くていつもの電車に乗れなかった」


 嘘の混じった言い分に、私は未砂記と目を合わせられず、口ごもり気味に答えた。


「えっ!? 大丈夫? 保健室行く?」


 にも拘らず、未砂記は私を咎めようとはせず、真っ先に心配してくれる。クラスの低俗な人間を恐れて、保身のために未砂記を遠ざける自分はとても弱い人間だ。あんな奴らに負けないくらい、強くなりたい。強くなりたいけど、そんな簡単に強くなれない。


 どうしたら、強くなれるだろう。負けたくない。あんな奴らに、負けたくないよ。

 お読みいただき誠にありがとうございます!


 二ヶ月ぶりの更新となりました。遅くなりまして申し訳ございません。

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