☆新しい朝が来た!
外に出ると空気はひんやりしていて、少しずつ目が覚めてきた。海へ向かう途中の自販機で温かい缶コーヒーを二本買って、一本をヒタッチに渡す。
「私エスプレッソが良かったな〜」
「え〜、お揃いでカフェオレでしょ〜」
「うん、たまにはカフェオレもいいか。いただきます」
「ヒタッチは素直じゃないな〜」
きのうの夕方に宮下と一緒に通ったキノコ公園、正式には茅ヶ崎公園野球場の前を通過して、箱根駅伝のコースになっている国道に架かるタイル張りのアーチ型歩道橋を渡り、松林の切通を抜ければ、サイクリングロードから朝焼けの海が目の前に。早朝だけど、ワンちゃんと散歩している人やランニングしている人に、ウェットスーツを着てサーフボードを持った人、私たちみたいに散歩している人もいて、人通りはそれなりにある。空は少し曇ってるから日の出が見られるか心配だけど、それでも東へと歩を進める。
「なんかいいね、こういうの」
「でしょー! 市民自慢の朝だよ! ヒタッチ私のお嫁さんになっちゃいなよ! 創作意欲湧くよー!」
この街には歌を作ったり絵を描いたりする人が多く、才能を開花させる不思議なチカラがある。なんでだろう、海や山みたいな自然を含めて、街のあちこちに芸術が散りばめられているのだ。
「え? なんの冗談?」
「酷いよ! 同性結婚無理なの解ってるけど真顔で言われると傷付くよお!」
「あ、ほら、日の出!」
「わお!」
会話をしているうちに山に掛かった晴れすっかり、江てノ島や鎌倉、それか葉山のあたりの山からひょっこり顔を出したお日さま。
ああ、今日も新しい朝が来た! 陽の光を浴びたら、気持ちがもっとぽかぽかしてきた! 朝陽を眺めながら唇を噛み締めて目を潤ませていたら、あのとき、私が宮下を好きになった日のことを思い出した。
お読みいただき誠にありがとうございます!
今回は取材資料がございましたので、実写はどうだろうかと思いつつ写真を載せてみました。




