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いちにちひとつぶ ~迷える君への贈りもの~  作者: おじぃ
高校生活 春

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ハートウォーミング・アーリーモーニング

「むふぁあ! きゃあ! やめて! やめてっ!」


「ん〜、何〜」


「はっ! 夢だったのか! 自分より二倍くらいでっかい原稿用紙が倒れてきて潰されそうになる夢見てた!」


 宮下が課題を投げ出して寝転んだのに釣られて私も寝転んだら、いつの間にか外が瑠璃色になっていた。もう夜明けが近いみたい。だからといって慌てないのがこの私。過ぎてしまった時間は取り戻せないのだから、これからどう生きてゆこうかを考える。選択肢は二つ。一つ目はこのまま課題をすっぽかして留年に一歩近付く。二つ目はやれるだけやってみる。でもやる気が起きないから、とりあえず今はやらない。


「そう。私も釣られて寝ちゃったんだけど、未砂記はその後で起きて課題ちゃんとやったんだよね?」


「やだなあヒタッチ! 私がそんなエリートだと思う?」


「ううん、思わない」


「酷いよ! その言い方は酷いよ!」


「でもすぅ君は課題終わったみたいだよ?」


 正面にある宮下の原稿用紙を眺めると、十枚ほぼびっちりと字で埋まっている。ヤバイ、なんか冷や汗かいてきた。正直コイツには負ける気してなかった。


「ななななんとお!? この無気力宮下が一晩で課題を終わらせただと!? いやいや私は騙されないよ。ヒタッチ、残念ながらこれはフェイクだ。きっとサンドアートだよ!」


「サンドアートのほうが凄いわ! 逆に褒め称えるよ! とりあえず未砂記はやる気が起きないんだね?」


「イエーイ!」


「開き直るな! じゃあさ、そろそろ夜明けだし、海まで朝陽でも見に行こうか」


「おお! イッツサウンズグッド! レッツゴーサザンビーチ!」


 つくづく思う。お洒落な海も便利な施設もモロ田舎の田園風景もバッチリ揃ってるこの街に生まれて良かったと。これはオヤジが大企業の社員且つこの街に住んでるって理由で嫁入りした母親に感謝だ。おかげで感性が研ぎ澄まされて作詞作曲バリバリだぜい!


「あれ? ヒタッチ、軽音部の予算の使い道、振り分けてくれたの?」


「ううん、やってないよ」


「ほら、これ」


 私はテーブルの端にあった一枚の紙を摘まんでヒタッチに見せた。


「あ、ホントだ。でも未砂記、わかってるでしょ?」


「えへへ、これ、ヒタッチの筆跡じゃないよね」


「うん、起こして一緒に出掛けようと思ったけど、寝かしとこうか」


「だね。じゃあね宮下、ちょっと行ってくるね」


 私は静かに言ってメモを書き残し、眠る宮下の胴体にブランケットをかけてヒタッチと一緒に潮風薫る早朝散歩へ出掛けた。


『ありがとね! アイシテル!』



 お読みいただき誠にありがとうございます!


 サブタイトルは『心温まる早朝』ということで、皆さまの心を少しでも温められれば幸いです♪


 最後の『ありがとね! アイシテル!』は超マニアックな地元ネタです(^^;

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