取り調べ
「さあ全部吐くんだ! どうして逃げた!」
先ほど俺と仙石原がディナーをしていたテーブルに、再び一杯のカレー。その前には連行された浸地が座っている。仙石原は刑事の如く取り調べを始めたが、どちらかと言えば論文執筆を怠った仙石原が取り調べられるべきではなかろうか。
仙石原から平塚まで追って捕まえたと電話があったときはびっくりした。道理で戻りが遅いわけだ。その間、俺は自宅で執筆作業を少し進めた。しかし、わざわざ時間のかかるバスで逃げるか? 逃げたヤツをそこまで追うか? と。まあ、前者は納得だな。
「逃げるでしょそりゃ。めんどくさい」
浸地にとっては面倒他ならないだろう。論文執筆はとっくに終えたらしいし。
「めんどくさいじゃないよおお!! 面倒から逃げてたら未来は切り開けないんだよおお!! しかも電車で逃げたら捕まると予測してバスで逃げるなどと姑息な手段を使いおってこの知能犯が!!」
仙石原はテーブルをバンバン叩いて激昂しているが、どう考えても非があるのは浸地を呼んだこちら側だ。
「面倒から逃げてたら未来は切り開けないんだよね? じゃあ早く書きな、論文」
「ふむふむ、それも一理ある。しかしだね大甕くん。人は一人では生きられないんだよ。未来を切り開くにも信頼できるパートナーが必要なんだよ。それに選ばれたのが大甕浸地、キミってわけさ」
こらこらどこぞの少年名探偵みたいにウインクしながら人を指差すな仙石原。
「そう? まあ、そんなに言うなら……」
あぁあぁ、浸地も単純だよな~。照れて顔紅くしてポリポリしちゃって。
「よし! ではまず一緒にお風呂入ってリフレッシュしよう! 宮下! 覗くときは言ってね!」
「おう」
「覗くな!」
さて、二人が風呂入ってる間に四百字くらい進めるかな。




