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いちにちひとつぶ ~迷える君への贈りもの~  作者: おじぃ
高校生活 春

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立場逆転

『論文書くの忘れてたから今からウチに来て手伝って! 今から駅まで迎えに行くね! 今宵は徹夜でパーリーナイト!』


 バイトを終えて携帯電話のメールを開くと、こんなふざけた文章を受信していた。送信者は言うまでもなく未砂記。普段私はバイトを終えると『湘南ライナー』という2階建ての電車で帰るが、駅では未砂記が待ち伏せしているので、時間がかかるけど今日は隣の平塚ひらつか駅までバスで行こう。


 ふふふ、バカなヤツ。待ち伏せ予告したら別ルート考えるに決まってるしゃん。私は予定通りバスに乗って平塚駅に到着した。バスを降りたら地下道を抜け、改札口へ続く上りエスカレーターに乗る。エスカレーターを降りたらパスケースを出して改札機にタッチ。ゲートが開いたら下り電車のホームへまっしぐら!


「逃走者確保ー!!」


 な、ななななにーいっ!?


「駅で待っててもいつもの時間に来ないし何回かメールしても返信ないからおかしいと思ったんだよねー。そこで私推理した。ヒタッチは私の魔の手から逃れるべく平塚までバスで行って、そこから電車に乗るのではと!」


 突如背後から一人の女が不意に現れ、私は右手を掴まれぐいっと引き寄せられた。


「その頭脳、論文に使いなよ。私を追いかける時間を執筆に使いなよ」


「言い訳は署で聞くから。さあ私と一緒に護送車に乗るんだ! こら手を振りほどこうと抵抗するな!」


 女がぎゃあぎゃあ声を荒げていると、ちょうど階段下の上りホームに電車が入ってきた。抵抗空しく、私はそちらへ引き摺り込まれる。


「ああもうわかった! わかったよもう! 公共の場なんだから静かにしなさい!」


「よし、それでいい。さあ乗るんだ湘南新宿ライン快速高崎(たかさき)行き!」


「この車両は途中の籠原かごはら止まりじゃない?」


「細かいことはいいんだよ! 15両中10は高崎まで行くんだよ! きっとこの車両も魂は高崎まで行ってダルマの目入れをされるんだよ!」


 私の質問に対し、女は訳のわからないことを供述している。


 ほら、いつの間にか刑事と被疑者の立場が逆転した。


 仕方ない。今宵は眠れぬパーリーナイトと致しますか。

 お読みいただき誠にありがとうございます!


 繋ぎのコメディー回です。


 先日、本作を誤って完結扱いにしてしまったようです。ご迷惑をおかけいたしまして誠に申し訳ございません。

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