たんじょうび。
それは、特別な日。
美味しいご馳走や
大きいケーキが並んだテーブル。
どれを食べても怒られない日。
それは、特別な日。
欲しいものを買ってもらって
受け取ってもすぐお礼返しをしなくていい。
この日は私が主役だから。
ただ、生まれた日というだけ。
でもそれが一番幸せな日だと皆が言う。
「生まれてきてくれて、ありがとう」と、
たくさん、たくさん言われる日だから、と。
でも、でもね。
私は嬉しくないの。
辛くて辛くて、たまらない。
だって、私が生まれた日じゃないから。
同じ数字であって、同じ日じゃないから。
だって、私は生きていることを望んでいるわけじゃないから。
隙あらば自分を*すことを考えているのだから。
おめでとう、と言われるたび
体がぐさぐさ貫かれるような心地がする。
おめでとう、と言われるたび
生きていることに苦痛を感じてしまう。
「やめて」の言葉をジュースと一緒に飲み込んで、
「ありがとう」の言葉を吐く。
私はただひたすら、
この日が過ぎさるのを待ち続けている。
そして。
『誰も私の誕生日を祝わなくなってください』
と、祈り続けている。