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夏休み戦争  作者: 哭人
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1話 コンビニに行こう

自分自身手探りで話を進めているので正直どうなってくるかわかりませんが、一生懸命書きますのでどうか見守ってやってください。文章力がほしい!!


夏。

遠く透き通った蒼い空に、沸き立つ巨大な入道雲。

蝉はせわしなく鳴き叫び、その声と同じくらい元気な小学生4、5人が俺の横を走りすぎた。

楽しそうである。


夏休み、入ったもんなぁ…。

「いいなぁ、…若いって」

年寄りくさいことを呟きながら、俺は制服のワイシャツのしわを少しのばして、肩から下げた学生鞄をもう一度かけなおした。

 

「はぁ…。俺の、夏休みはぁ…?」

 

夏休み4日目だというのに、『大学受験生』という要らぬ肩書のせいで夏期講習なんてものに出る羽目になった。

そんなことのためにわざわざ高校に出向き、眠い授業を受け、

今現在は、クーラー漬けの身体には厳しい猛暑の中を徒歩で帰宅中である。

講習で隣の席だった野球部の友人は、今日は風があって涼しいくらいだぜ!なんてことを言っていたが、

年中外で走り回っているような奴らの体感温度と一緒にされては困る。

……、やっぱり、暑い!

 

汗を腕で少し拭い、歩を進めた。

 

まだ学校の門を出て500mも歩いていないが、汗は流れ落ちるばかりである。

なんだよ夏。コラお前夏。もう少しクールに生きられないのか夏よ。

 

そんなことを考えながら、とりあえず近くのコンビニに入ることにした。アイス食べたい。

目的のコンビニは、学校からあまり離れていないので学校帰りによく利用する。

コンビニというものは本当によく冷房が効いており、涼むには最適だ。

 

所持金は500円程の筈だが、暑いせいでアイスが食べたくなってしまったのだから仕方がない。良い度胸してるな夏。

 

コンビニの入口前には黒いトラックが停車していた。

暑い熱を帯びていて、もう見るだけで暑苦しい。

こんなのに乗っていたら、中の人はさぞ蒸し暑いだろうなぁ、なんて、少し同情した。

でもアンタ、車停めてるとこそこ自転車用ですよ。

 

そんなこんなで、俺はコンビニに入ったのだった。

 

 

いらっしゃいませー

店員のあまりに素っ気ない挨拶を通り抜け、

まったくこのコンビニのスタッフ教育はどうなってるのか、なんてどうでもいい事で苦笑いしながら店内を見回した。

 

ふと、見知った顔があることに気付く。

 

パックジュースのコーナーに居るのは同じクラスの遠山だった。


気付いていない様子の遠山に後ろからそうっと近づき、肩を叩く。

「とーやま!!」

「うわっとぉだしゃ!な、なんだ、お前かぁ!」

声をかけると、間髪入れずに想像以上のリアクションが帰って来た。

「うわっとだしゃーってなんだよお前…やっぱり変だなぁ」


変だと言われたことに対し必死になって否定している遠山だが、

言動の変さに比べ見た目はかなり凛々しい。

男前とでも言うべきだろうか?

美形、というわけではないが、なんかこうカッコイイものがあるのだ。

モテないんだけどね。

そういえば遠山は剣道部の副部長らしいのだが、その肩書は伊達では無いらしい。

本当に、結構できるのだがトップではなく、トップではないが割とやるらしい。

モテないんだけどね。


「というわけからしてな、条件1・2・3から、結論、俺、まとも!なんだよ!な?わかるだろー」

「いや、わからん。お前そこが変なんだよ。」

「な!な!!お前ェー!」

 

他愛のないいつも何度もしている会話の繰り返し。

だが、今暑さでストレスが溜まっている俺には重要なストレス発散である。

 

「あれ、お前今日剣道部は?」

「んー、今日は部活動停止だよー、どの部もやってないはず。」

遠山はそう言うと目を雑誌コーナーに向けた。

「ほら、あそこ。野球部の一年もいるだろ?

それから、駄菓子のとこには女子テニス部の子居るし。あとあのレジに居るのは確か美術部のー…」

「本当にどの部も休みなんだなー。学校で何かあるのかぁ?会議とか?」

俺はそこそこに相槌を打ちながら、アイスコーナーを目指した。

 

アイスのケースは、他の棚に隠れており、入口から1番見えにくいところに置いてあった。

お、あんな死角に隠れていやがったか。

甘い、甘すぎるぞ、チョコレートアイスよりも甘い。

今やアイスを求めさ迷う猛獣となったこの俺をそんなことで欺けると思ったか…!!!

 

アイスケースから抹茶アイスと棒付きソーダアイスを掴み、レジに駆け寄った。

 

さっき遠山が美術部だと言っていた少女は、何やらだいぶ待たされているらしい。

レジを譲ってもらい、会計を済ませた。

 

 

釣銭を受け取った直後、

「あ!先輩、コンチワ!」

と、軽い挨拶が俺にかけられた。

振り向くと、さっき雑誌コーナーに居た1年の野球坊主だった。

しかし、俺の知り合いにこんな奴は居なかったと思ったけど…?

俺が少し迷った顔をすると、

野球坊主は、あ、わかりませんか??と笑いながら言ってから、スポーツバッグに引っかけていたキャップを被って見せた。

 

………?……あ!

「あぁ!お前、中学の時同じ運動場掃除だった水戸じゃんか!」

何かひっかかると思ったが、髪型がまるっきり変わったので本当にわからなかった。

にしても意外と縁薄いな。

 

「お前、同じ高校だったんだ。しかも野球部か。中学でもそうだったっけ?」

水戸は照れ臭そうに、

「いやぁ…、前は卓球部だったんですけど、最近野球に目覚めたんです!」

と言った。

その後少し話しをきくと、水戸も俺同様アイスを買いに来たらしいのだが、どれにするか選びかねて、結局雑誌を読んでいたらしい。

 

…確か、中学時代、水戸は掃除中に見つけた500円を拾って先生に届けるか放っておくか迷ったあげくに、二年の奴に取られた事があったはずだ。

俺は三年で、ただ無関心にぼーっと見ていたが、当時一年だった彼は先輩に逆らうことも出来ず、

500円を名残惜し気に見送っていたのだった。

 

そういう優柔不断な所は今でも全く変わっていないらしい。

 

「よし、じゃあ俺が選ぶ!」

そう言って、俺は水戸を連れてアイスコーナーに戻った。

 

俺達がアイスケース前に立ち、フタを開けてアイスを覗きこんだ時、

コンビニの自動ドアが開いた。

 

「いらっしゃいま」

相変わらず素っ気の無い店員の挨拶。

それは途中で不自然に途切れたのだが、俺がその不自然に気付くのは数秒後の事だった。

 






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