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見知らぬ地で part5


「やっと着いた……」

 クロードはどうにか自力でガインの家まで辿り着いた。風貌のことをあれこれ訊かれたら面倒なので町民には訊かなかったのだ。

「帰ったぜ!」

 扉を開くなり言ったクロードだが、返答は無し。ガインはどこかに出掛けてしまっているようだ。

 鍵も掛けられていない。それはクロードのためだろうが。

(それにしてもさっきの奴らは何なんだ? ……ったく、身なりのせいで何か誤解されたのか?)

 そして彼はまた眠ることにした。先刻の喧騒で疲れたためだ。

 何度も寝ているはずなのにすぐに眠りにつけた。記憶を失ったことも1つの原因かもしれない。


 彼は再度暗闇にいた。

 この世の全てを覆うかのような暗闇に。

 と、彼の眼前に淡い光が灯った。

 その光は上下に揺らめいている。

 彼はそれに手を伸ばすが掴めない。

 それは何度やっても同じだった。

 そして――


 クロードは身体を横たえたまま目を覚ました。上体を起こしベッドの上で考え込む。

(不思議な夢だな。さっき見たものと良く似ている。誰かが何かを伝えたいのだろうか)

 先刻の夢と併せて考えると、とても偶然とは思えない。クロードに知る術は無いが、絶対に関わりがあるはずだという確信を持った。

 そろそろガインが帰ってきているかと思い部屋を出てみたが、まだ帰ってきていないようだった。

 またしてもやることが無いクロードは部屋に引き返し、剣を良く見てみることにした。

 傍にある鞘を手にとりゆっくりと抜く。刀身が見えてくるにつれ、淡い銀光が輝きを増していく。

 すると先程とは異なることが起こった。

 何と、刀身が少しではあるが伸びたのだ。更に剣にはほとんど重さを感じない。とても扱い易そうだ。

 と、不意に何者かの声が聞こえた。いや、頭に響いてきた。

《記憶を失ったようだな、主よ。だが、これまで通り力になろう》

 低く重い男の声だ。当然、クロードの周りには誰もいない。

 と言うことは――

「まさかこの剣か!?」

 あまりの出来事に驚き、声を上げるクロード。

《如何にも。そして、一つ忠告をしておく。記憶が戻るまで我を使うときは本当に必要な時のみに限定すること。それ以外は他の剣を使うように。さもなくば主に災いが降りかかるであろう…》

 そして、何かが遠ざかる感じがした。剣に話し掛けるが返答はない。

 なので心で話し掛ける。

 これからよろしく頼む、と。

 しっかりと伝わっているであろうことを信じて。

 


次で第1章は完結です!

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