見知らぬ地で part4
外に出た途端、冷たい風が吹いた。顔をしかめてマントを羽織る。
5分ちょっと歩くと、中央部にたどり着いた。と、言っても、明確に区切られている訳ではない。店が増えてきたので、そう判断しただけだ。
武器屋や防具屋、魔法屋に情報屋など様々ある。教会や広場など、公共の場所もあり、路上では占いなども行われており、人通りも多い。クロードは活気のある中央部を見て回る。
背中の剣もそこまで珍しくはないようで、帯剣している者も数は少ないながらも確認できた。
だが、その中でもクロードは一際目立っていた。赤髪に深緑の目。クロードの見る限り、このように目立つ者は誰もいない。声こそ掛けられないものの、皆横目で彼を見る。
中央部も充分見て回ったので、もう帰ることにした。周囲の目が気になる、という理由もあるが。
「ここは、どこだ……?」
溜め息混じりに呟くクロード。彼は帰路の途中に道に迷ってしまった。とりあえず東に向かって進んでみる。
少し歩くと、狭めの広場に出た。誰もいない。どうやらクロードは人通りの少ない場所に迷い込んでしまったようだ。
ちょうど広場の中ほどに進むと、クロードの目の前に、いやクロードを囲むようにして、10人程の男たちがばらばらと現れた。
ほとんどの者が粗末な服を着て、体格が良く、棍棒や斧などの武器を持っている。
実はこの集団、警備隊も手を焼くほど(人の見えるところでは犯罪を犯さないから逮捕できない)のならず者なのだが、クロードには知る由もない。
「有り金を全て置いていけ」
リーダー格の30後半くらいの男が一歩前へ出、しわがれ気味の声で言う。
「そうすれば、何もしないのか?」
クロードが後を続けて問う。
「そうだ、金さえ出せばお前に用はないからな」
そう答えて、嫌な笑いを浮かべるリーダー格。
それに対してクロードも負けないほどの笑みを浮かべる。
「そうか。じゃあ、これで通してくれるよな?」
そう言って何も無かったかのように歩きだそうとするが、勿論男たちに止められる。
「おいおい、何の真似だ?」
別の男が苛立ちを含めた声で訊く。
「そう怒るなよ。俺はただ有り金全てを置いたんだ。無一文なんだよ、俺は」
皮肉るように、だが淡々と答えるクロード。
「ふざけるな! 調子に乗りやがって!!」
とうとうリーダー格が切れた。顔が真っ赤になっている。まあ当たり前の反応だろうが。
(調子に乗ってるのはおまえらだろうが。あ~、面倒なことに巻き込まれたなぁ……)
そんなことを思いつつ、頭を掻く。
「お前ら、痛みつけてやれ!!」
典型的な台詞を吐き、その言葉に応えた男達が怒濤の勢いで迫ってくる。
勿論、黙ってやられるクロードではない。剣が入った鞘を手にし、臨戦態勢に。
男達の力任せの攻撃を軽々と避け、時には流れるように受け流す。酷くても掠る程度で済んだ。
腹に、首に、他にも様々なところに拳を、鞘を叩き込んで気絶・昏倒させる。残すはリーダー格のみだ。しかし、既にその姿はかなり遠ざかっていた。今からでは追いつくことは不可能だろう。
「ちくしょう、逃げられたか……」
どちらが悪者なのか分からない台詞を言う。
そして、足下の男達を見て呟いた。
「俺も逃げないとな」
今この状況を見られたらほぼ間違いなく誤解を招くことになるだろう。
そして、クロードもまた遁走した。何人かの転がってる男達を残して。
今回も無事(?)書き終えることができました。
この辺はまだプロローグのようなものなので、なるべく早くメインまで持って行きたい、と思っております。
でも……、物語を作るって難しいですね……
暇をみて書きためておきたいものです。
では、次回もよろしくお願いします!