遭遇 part5
お待たせしました;
今日は8月32日。
何とか期日には間に合ったようです。
クロード、クロード……
誰かの呼ぶ声がする。俺はまだ眠いんだ、もう少し寝かせてくれよ。
クロード、クロード……
ったく、何なんだよ!
クロードはそこでようやく目を開く。
「ここは……、どこだ?」
見回すと、そこは一面白の少し眩しい世界。彼はそんなところに立っていた。
(クロード、心して聴いて下さい)
柔らかい女性の声がした。
慌てて辺りを見るが、周りには誰もいない。しかし、声は確実にこの空間から聞こえる。というより、この空間そのものから聞こえてくるような感覚だ。
「誰だっ!? 姿を現せ!!」
クロードは周りに向かって叫ぶと、また声が返ってきた。
(残念ながら、私に姿は存在しません。ですが、あなたが望むのであれば……)
クロードの眼前で光が人間を形作っていき、そこから金髪碧眼の女性が現れた。
「!?」
突然の展開の連続に驚くクロード。
(早速ですが本題に入ります。これから言うことを心に留めておいて下さい)
勿論クロードは納得できるはずがなく、
「質問に答えろっ! お前は誰だっ!!」
終いには剣まで抜きそうな勢いである。
しかし、女性は全く動じず、終始平静な状態で続ける。
(残念ながらもう時間がありません。あなたは選ばれた運命の子。これより向かう旅路には様々な困難が待ち受けているでしょう。しかし、それを乗り越えて行かなければなりません。ですが、私は信じています。クロード、……なら……と、……を……る……)
女性の声は次第に小さくなっていき、途切れ途切れにしか聞こえなくなり、やがて消えた。声と同時に女性の姿も徐々に薄れていき、この空間には彼のみが取り残された。
「ったく、今のは何だったんだ……!?」
そう呟いた瞬間、身体が引っ張られる感覚がした。
「ここは……? あれは……、また夢だったのか……?」
気が付くとクロードはベッド上にいた。
さっきのことは一体何だったのだろう。やはり何も分からない。だが、1つだけ確信していることがある。
(これは、現実だ)
彼は疑問を口にしたが、心では分かっていた。理由は無い。そう思ったのは、理屈ではなく直感だ。誰かに話せば馬鹿にされるかもしれないが、クロードは確信を持っていた。
(あの女性は何を知っていて、何を俺に伝えたかったんだ? 彼女は最後に何を言っていたんだ?)
「ったく、もう何なんだよ!? 運命の子とか意味分かんねぇし!」
無性に苛立ち、途中からは不満が口に出ていた。
「あ~、やめだ、やめ」
あれこれと考えても仕方がない。いずれ分かることだろう。今するべきことは、前に進み記憶を取り戻すことだ。
さっきの出来事はとりあえずは心の奥に留めておくだけにしよう。この記憶が役立つときは、今ではない。
そして、そろそろ行かなくては。
いつまでもここにいる訳にはいかない。確かにこの村で新しい生き方を選択することもできるだろう。
(だが、それは俺の生き方ではない。それに、この現状から目を背けてはならない)
失った記憶の手掛かりはゼロに等しい。左右どちらに行けばいいか、それすらも分からない。
そのため、とりあえずはこの国の首都へ行こうかと思っている。場所はガインに地図を見せてもらったときに覚えておいた。そこで様々な情報も入ってくるだろう。
資金はこの宝石を売れば当面は持つはずだ。足りなくなったら働き口を見つければ良い。
午後は旅支度をしよう。具体的に何を用意すれば良いのかは分からないが、これ以上ガインに迷惑をかける訳にはいかない。
出発は明後日、朝には出発したい。長い旅になるだろうが、手掛かりを1つ1つ拾い集めていこう。
ごめんなさい、前書きで調子に乗りました……
今日は9月1日。
少し過ぎてしまいましたね。
次はなるべく早めに投稿したいと考えています。
それでは!