3 見知らぬお婆ちゃん と 親戚の叔母ちゃん
俺は海琉に何故こうなったか、事情を聞くと。
少し気まずそうに
「……僕は有李に言ってない秘密があって、僕幽霊見える人なんだ…。別に有李だけとかじゃなくて家族以外の人には言ってないことで、今日初めて家族以外の人に言ったけど……」
驚いた、こんな身近に凄い人がいたとは……
「そんなに気まずそうにゆうこと無い、凄い事だよ!!って事は小5のときに行った肝試しで海琉が必要以上に怖がってたのはそうゆう事だったんだ」
「うん、あの時は3体くらい居て僕達の跡つけてきてたし怖かったよ。それで、夏休みのある日知らないお婆ちゃんの幽霊が僕の布団の上に正座して座ってたんだ。
ベッドの上からお願いしても全く動いてくれなかったから話だけ聞いてみると、自分は女で野球をさしてもらえなかった甲子園にも憧れがあったが野球すら出来なくてその悔しいが強くて幽霊になったらしい。」
だから、あんなに野球部に入って「甲子園に行くのが夢だった」って言ってたのか。なんか腑に落ちた
「今の所、乗っ取られそうな感じじゃないけど」
「ここからだよ、1回で良い1回で良いから僕の体を使って全力で野球をしてみたいって言うんだよ。
やらせてあげたいけど、小さい頃から親に幽霊に同情するなって言われてたし…でも最終的に泣き落としされて。僕って押しに弱いから、1回だけなら良いって言っちゃってさ……それで返してもらえず、こうなって僕の体の後ろに常について変な行動しないか見張ってた………」
「ごめんね、強引に野球部入れちゃって…」
「仕方ない…海琉本人がしたわけじゃないし」
泣き落とし…海琉は優しいからそれが裏目に出たのか
「僕も幽霊みたいになっちゃって変な幽霊とか死神とかに話しかけられるし」
死神だってぇ!!もしかして同じ奴かも
「その死神って、妙に威圧的で目は伏し目で中性的な感じ?それと、身長は170の俺より少し大きい感じのじゃぁ???」
「そうそう!、丁寧な口調だけど時々口が悪い感じの!!!」
絶対同じ死神だ、ここの区域なのかダラクは……じゃなくてダラクさんは。
海琉に死神とどんな事を話したかを聞くと。
「選択肢が3つあるって言われて、1つはこのまま自分の後ろにくっついて取り返す機会を伺うか。2つ目は天国に行くか。もう一つは裏技でおすすめだよって言われたけど、僕は取り返したいから1つ目を選んだ。」
海琉は1つ目を選んだのか、俺の場合1つ目浮遊霊 2つ目地獄 3つ目裏技だったから…選択肢の運が悪いな俺
「そう言う、有李は何故死んで幽霊になってるの?」
「俺も同じで幽霊に嘘つかれて、乗っ取られた感じ。細かく説明すると………………」
これまでの経緯を細かく説明した後3つの選択肢の話をしようとした時、脳内にダラクさんの声が響いた。
(お忘れではありませんか。約束の事)
幽霊の俺だが呼吸が苦しくなる感じがした。
海琉が心配そうに
「大丈夫?体調悪いとか」
「大丈夫大丈夫……3つの選択肢は海琉と全く同じだよ……」
「そうなんだ!でも、戻れる体ないよね…?」
「あ…あぁ、浮遊霊になる選択した」
俺は親友の海琉に嘘をつくことにした、海琉は悲しい顔をしている…
もう後戻りは出来ないんだ、ごめん海琉
「俺はちょっと用事があるから、また時間が合うときにな。ってもう海琉は元に戻ってるかもだけど……応援してる!!」
「うん…また会おう!」
この会話を最後に、俺は有李としてはもう会わないことを決めていた。
(幽霊でも涙ってでるんだな……)
俺はもう家には帰らない、葬式場を後にしてその足で次の体を探しに行く。
「悩んでる人ってどこに居るんだろう…本当はこんな動機でこんな考えしたくないんだけど……今でも間に合わないかな…」
俺はこの選択を既に後悔していた、決まった事は変えられない。それは分かってるけどダラクさんとの約束を破っても良いんじゃないかと心の端で思ってる自分が居た。
ひとまず、行ったことのある近くの川に行ってみると目を疑うような光景を見た。
何故なら、土手に沢山の幽霊が集まっていたから!!
こんな光景見たこと無かった俺は釘付けになっていいると見覚えがある女性を見つけた、しばらく考え込んだ後思い出した!!!あの人は父さんの姉のまりこ叔母さん……
酒、タバコ、金遣い、ついでに男癖が悪くて、何回か離婚した後肝臓が悪くなって3年前に死んだと父さんから聞いたけど…父さんとは縁切ってたみたいだし仲良くなかったらしい。
俺が会ったと言うか見たのは、まりこ叔母さんが金を貸してほしいと家に来た時チラッと見たくらい。
まりこ叔母さんに話しかけようか、話しかけまいか悩んでいると
「あんた、有李くんやない?そうやん!!」
決断する前にバレてしまった…圧が凄い
「久しぶりです。まりこ叔母さん……」
「な〜〜にまだ若いのにもう死んでしもたん!?冬弥(とうや、有李の父)も悲しんでるやろ〜」
圧………が…
「アハハ…まりこ叔母さんはここで何を?」
「叔母ちゃん珍しく女性を探しとんのよ〜なかなか見つからんくて……理由聞きたいやろ。でもごめんな〜理由は甥にも秘密って決まりらしくて、………叔母ちゃんちょっと喋りすぎたな」
決まり、もしかしてまりこ叔母さんも裏技を
「それって…」
まりこ叔母さんは俺をはぐらかすように
「わ〜もうこんな時間叔母ちゃんもう行くわ、なんか用がある時は電気屋の裏路地に生息してますので。ほな〜」
足早に帰っていった。
俺はまりこ叔母さんのことが気になってこっそり後をつける。
まりこ叔母さんは暗い顔をしながら一直線に路地裏へ向かい、立ち止まる。
路地裏は古い建物が建っている住宅街で、人通りも少なくて昔からありそうな古びた神社がある…叔母さんは誰かを待っている感じでウキウキしてると同時に少し怯えていた。
叔母さんは誰を待っているんだろう、幽霊の彼氏とか?それとも〜はぁ、嫌な予感しかしない。
もし本当に叔母さんも俺と同じように裏技の選択を選んだとしても、まだ乗っ取り相手が見つかってないのに会う必要なくないか。不安になってきた…
俺の心配をよそに、叔母さんは髪を整えだす。
ついに、叔母さんの待っている人が歩いてきた。どんな人なんだろうとゴミ箱の影から覗くと、あれ?なんか思ってたんと違う……黒髪に白のロンTにジーパン…彼氏の線が正解だったのか!?
そう思ったのも束の間、その彼氏らしき人が叔母さんの前に立ち指を鳴らすと
あっと言う間に姿が変わり、それは見覚えがあり過ぎる人だった…
悪い予感は的中し
「やっぱり当たってたか…」
叔母さんの待っていた相手は、ダラクさん…だった…
読んでいだだきありがとうございます。
次回もお楽しみに!!